第154話 オアシスでの休日


「野菜と甘辛く味付けしたお肉のサンドウィッチ、ゆで卵、揚げたカツ、そっちのはツナの味だよ」


「「ピィ♪」」


「うん、手伝ってくれてありがとうね」


 俺が朝食を作っていると、みんなも起きたら手伝ってくれた。精霊の二人も小さいながらも頑張ってくれた。みんなで楽しく料理をするというのも楽しいものだな。


 せっかくなので、いっぱい作りだめしておいた。特に朝は早くから移動することがあるから、こういう時間に余裕がある時に作りだめしておく。これまでにアイテムボックスに溜めておいた焼いたパンも使った。


 パンは日々の朝食に使っていることもあり、何度も天然酵母などを使ってた試してきたので、四角く柔らかく作ることができるようになっている。


「どれもとってもおいしいね! こっちのはフワフワしているよ!」


「ゆで卵のサンドウィッチは素朴だけれどおいしいよね。俺も結構好きだな」


 そこまで超絶的においしいというわけではないけれど、ゆで卵のサンドウィッチは結構好きなんだよな。お店でサンドイッチを買う時はひとつくらい買っていた。


 個人的には卵が盛り盛りのほうがなお好きである。


「こちらのカツのサンドウィッチもとてもおいしいです。野菜とソースがたっぷりかかっていますね!」


 ジーナが食べているカツサンドは以前に作ったカツをパンに挟んだサンドウィッチとなる。パンに挟むため、ソースは少し多めにかけてある。シャキッとした野菜の食感とザクザクとした衣を付けたカツがソースと合わさって、柔らかいパンとよく合うのである。


「こっちのもうめえぜ! やっぱりパンにはこの甘辛いタレがよく合うな」


 砂糖、醤油、みりんを煮詰めたタレで焼いた肉に絡め、野菜と一緒に挟んだ。こういった甘辛いタレはパンとよく合う。


「ホーホー!」


「初めて作ったツナもいい感じだね。しっとりとしたツナの風味がマヨネーズと玉ねぎとよく合っているよ」


 今日は自家製のツナを作ってみた。普段はツナ缶しか作ったことのない俺だが、作り方は知っている。作り方といっても、魚の切り身をオリーブオイルに浸し、ニンニクとアウトドアスパイスを加えて弱火でじっくりと加熱するだけである。


 ツナはそのままオイルに浸しておけば一週間以上はもつらしい。アイテムボックスがあればそれ以上に保存できるからそれほど意味はないかもしれないがな。ちなみに魚はマイセン湖のある街で購入してきた魚を使用した。


 いろんな村や街を巡って、アイテムボックスの中には様々な食材が集まってきた。もしかするとアイテムボックス機能が一番便利な機能かもしれない。今度魚が多く売っている街へ行ったら、これまで以上にいろいろと仕入れておこう。


「「ピィ!」」


「気に入ってくれたならよかったよ」


 精霊の二人もおいしそうに様々な種類のサンドウィッチを食べてくれている。精霊二人の分は少し小さめに切っておいた。それでも精霊の大きさから考えると少し大きい。


 それに自分たちで作った料理は普通よりもおいしく感じるものだからな。


「さて、最後のはフルーツサンドといってデザートみたいなものだから、一個ずつだよ。まあ昨日のフルーツパフェと同じようなものだけれどね」


 最後のサンドウィッチはほぼデザートだな。昨日のフルーツパフェと一緒で、パンにカットしたフルーツと生クリームを挟んだ。


 フルーツサンドは食事としてのサンドウィッチとしては邪道と思われているかもしれないのだが、実際に食べてみると本当においしい。甘いパンもいっぱいあるのだが、フルーツや生クリームをパンに挟んでまずいわけがないのである。


 しかもフルーツはこの幻のオアシスで採れた普通の果物よりもおいしく、生クリームからパンまですべて手作りだ。改めて考えてみても贅沢なフルーツサンドだな。


 もちろんこのフルーツサンドは精霊さんも含めてみんなに大好評だった。




「おおっ、これは楽しいな!」


 澄んだ泉の上をすべるように飛んでいる。


 これが空を飛ぶという感覚か。こいつは最高に気持ちがいいな!


「どうだ、シゲト?」


「ホーホー」


「ああ、最高だよ! ありがとうな、カルラ、フー太」


 ブランコのように木の板の上に座り、その板の両端から伸びているそれぞれロープの先には翼を広げたカルラと、大きくなったフー太がいる。


 そう、大きくなったフー太ではコレットちゃんを乗せて飛ぶことはできても、俺やジーナを乗せて飛ぶことは重くてできなかった。しかし、空を飛べるカルラが旅に同行してくれるようになったおかげで、俺とジーナも空を飛べるようになった。


 空を飛ぶというよりは乗り物に乗っている感覚だけれど、それでも最高の気分だ。もちろんブランコのような状態で少し危険だからそれほど高くはなくスピードも控えめだが、水面の上を自由に飛び回っている。


 もしもここから落ちてしまっても、泉の上なら大きな怪我はないだろう。ついに空を飛べる間隔を少しだけ味わうことができて大満足だ。


「シゲトお兄ちゃん、次は僕の番だよ!」


「その次は私の番です!」


「「ピィ!」」


 大人の俺でもこれだけ楽しんでいるのだから、他のみんなも楽しめるだろう。


 泉で泳ぐのも楽しいが、こうやってみんなで遊ぶのも楽しいものだ。

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