第150話 カラフルなスイーツ
「野菜みたいなものはなかったけれど、結構な種類の果物があったな」
「昨日のオレンジ色の実を入れて4種類もありましたね。どんな味がするのか楽しみです」
「ホーホー」
1~2時間ほど泉の周囲をぐるっと回ったところ、いろいろな種類の実を手に入れることができた。このオアシスにはキノコなどは一切生えていなかったが、いくつかの実のなった植物を発見した。
もしかすると果物ではなく野菜なのかもしれない。というか、野菜と果物の違いってなんなのだろう?
種が入っている実とかになるのだろうか。でも野菜でも当てはまるものはあったよなあ。あとは実が甘いかどうかとかかな。面倒なので果物ということにしておこう。
「虫はいたけれど、やっぱり大きな生物はいないみたいだね。まあ、当然と言えば当然か」
周囲が完全に黒い砂漠に囲まれているから、このオアシスに辿り着くのは難しいのだろう。もしかすると鳥なら上空からオアシスを見つけられるかもしれないくらいか。
「木々も見たことないものばかりでしたね。やはりこのオアシスの中で独自の生態系ができているようです」
「うん、ジーナの言う通りだと思うよ」
むしろなんで元の世界の砂漠よりも暑そうなこの黒い砂漠のど真ん中にこんなオアシスができたのか謎すぎるくらいだ。
まあ、魔物がいないという事実は俺たちにとってはとても助かるが。
「それじゃあ泉に戻ってのんびり過ごそうか」
「うん!」
「ホホー!」
オアシスを回って様々な果物を手に入れることができた。とはいえ、このオアシスの生態を壊さないようひとつの木からひとつずつだけにしておく。せっかくこんなにすばらしい場所で、カーナビがあればまたこのオアシスまで何度も足を運ぶことができることわけだしな。
キャンパーとして自然に配慮することは大事である。もちろんゴミなんかも出さないつもりだし、異世界だからこそこういったことはしっかり考えないとな。
「さてと、どの果物も問題なさそうだし、何を作るか迷うところだな」
午前中はオアシスをみんなで周り、軽く軽食をとったあとの午後は泉でのんびりと過ごしている。
今日も天気がいいので昼を過ぎたあたりから一気に暑くなってきたから、泉で泳ぐのはとても気持ちが良かった。しかしみんなとは違ってそれほど体力はないので、先にキャンピングカーは戻ってなにかおやつでも作ろうと、収穫した果物と睨めっこをしている。
それぞれの木からはひとつずつしか回収はしなかったが、それでも結構な量の果物を回収することができた。泉で泳ぐ前にほんの少しだけ食べて身体に異常がないことはすでに確認済みだ。
果物を使ったアイスクリームを作るのもいいが、固まる時間が必要なので、そっちは夜にみんなと一緒に作るとしよう。せっかくいろんな果物があることだし、せっかくならあれを作ってみるか。
「みんな、おやつができたからちょっと休憩しようか」
「ホホ~!」
「シゲトお兄ちゃん、ありがとう!」
おやつと聞いてみんなが泉から上がってくる。もう2時間近く泳いでいるからちょっと休憩だ。
みんなよっぽど泉で過ごすのが楽しいのか、放っておいたらずっと泳いでいそうである。俺も久しぶりに気を抜いてのんびりと過ごすことができている。やはり魔物や盗賊がいないというのは大きいな。
ちなみにみんなはいつもの服ではなく、濡れてもいい服で泳いでいる。日中は暑いから洗濯物はすぐに乾くのは地味に助かるぞ。
「うおっ、こいつは綺麗だな!」
「これは食べ物なのですか!? すごいですね、とても綺麗です」
「俺の故郷のスイーツの『フルーツパフェ』だよ。カットした果物にホワイトミルブルの乳から作った生クリームとアイスクリームを載せてみたんだ」
今日のおやつは幻のオアシス産の果物をふんだんに使ったフルーツパフェ。時間もあることだし、結構凝ったものを作りたくなってしまったんだよな。
赤、オレンジ、緑、黄色のカラフルなフルーツと、真っ白な生クリームを交互に挟み、一番上には前に作ったアイスクリームを盛り付けてみた。
生クリームの方はホワイトミルブルの乳から作ったものになる。冷やしたホワイトミルブルの乳に砂糖を加え、バターを作る時とは異って空気を含めるような感じでかき混ぜていくと生クリームの出来上がりだ。バターを作る時は生クリームを作る時以上に混ぜなければならないので大変である。
ホワイトミルブルの乳ひとつでバター、アイスクリーム、生クリームまで作れてしまうのだから便利だ。これからも引き続きホワイトミルブルの乳を見つけてたら購入しておくとしよう。
今回はカットしたフルーツの方が主役なので、砂糖は結構少なめにしてある。さて、味の方はどんなものかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます