第125話 いろんなステーキ
「いやあ~本当においしかったなあ。それに別の部位も味が違っていろいろと楽しめたよ。どれも好きだったけれど、俺は3枚目が好きだったかな」
ドラゴンステーキを食べ終え、片付けを終えてキャンピングカーの中でまったりタイムだ。もちろんキャンピングカーを透明化しているので、以前よりも安全に過ごせている。
「ええ、どれも味が違いましたね。私は2枚目の味が好きでした!」
「僕は3枚目が好きだった!」
「俺は最初のやつが気に入ったぜ!」
「ホー!」
フー太は1枚目のようだ。右の翼を挙げている。……3枚目だったら、また片足を上げて表現していたのかな?
小さめに切ったとはいえ、みんな結局3枚以上のステーキを平らげた。カルラとジーナに至っては5枚も食べたんだからすごい。ちなみに俺とフー太は食べなかったが、3人は食後のアイスクリームまでしっかりと完食していたぞ。
今回は3種類の部位を用意した。最初の肉は腰辺りのサーロイン、2枚目が肩回りのロース、3枚目はお尻に近いランプあたりの部位をステーキにしてみた。肉の部位や味付けを変えれば、同じステーキでも味は全然違うものだ。
俺もそこまで肉の部位に詳しくないから、ヒレとかミスジとかの部位まではわからなかったな。そもそもドラゴンが牛の部位と同じになるのかもわからないが。
「肉の味もうまかったけれど、味付けがどれもうまかったぜ。やっぱりシゲトは料理がうまいんだな!」
「ああ、ありがとう」
まあ、料理の腕というよりかはアウトドアスパイスや醤油にポン酢なんかの元からこのキャンピングカーに積んでいた香辛料や調味料のおかげであるが。
ドラゴンの子供でもだいぶ大きかったから、まだまだ肉の量はある。まずは定番のステーキだったけれど、他のいろんな料理も作ってみたくなる。カルラが増えたけれど、ダナマベアよりも遥かに食べられる肉の量が多いから当分の間は楽しませてもらうとしよう。
「さて、とりあえずドラゴンの解体は終わったけれど、素材の方はどうしようかな。カルラ、やっぱりドラゴンの素材ってかなり高価だったりするの?」
他のみんなはドラゴンという魔物自体知らなかったので、唯一ドラゴンを知っていたカルラに聞いてみた。
「かなり高価なもんっていうのは聞いたことがあるぜ。冒険者ギルドに行けば高値で買い取ってくれるだろうけれど、さすがに冒険者でもねえやつが、どうやってドラゴンを討伐したのかって話にはなるだろうな」
「やっぱりかあ。このキャンピングカーで旅をしていることはあんまり知られたくないんだよね。それにどうやってドラゴンを倒せたかって聞かれたら、燃料のことを話さないといけなくなりそうだ。燃料のことがバレるとさすがにまずいんだよ」
キャンピングカーという存在がバレるだけならまだいい。だが、燃料のことがバレるとちょっとまずい。
というのも、香辛料や調味料のように燃料補給機能を使えば、毎日燃料を増やすことができる。今回のドラゴンを倒した時のように強力な武器として使用できることが権力者たちにバレてしまうと、監禁されてひたすら燃料を生産する日々なんてこともあり得るかもしれない。
今まで以上にキャンピングカーのことは秘密にしておかなければならなくなった。
「あんまり大事にならないように少しずついろんな街で売っていくか。それなら商売をしながら旅をしている間に偶然入手したと言えるかな。あとはオドリオの街にあるエミリオさんへ一気に買い取ってもらえないか相談してみるのもありだ」
寄った街ごとに少量ずつ売っていけばあまり目立つことはないだろう。あるいは多少リスクはあるかもしれないが、定期的にアウトドアスパイスとコショウを卸すつもりであるエミリオ商会のエミリオさんに相談してみるのもひとつの手だ。
まずはノクターラの街へ行った時にドラゴンの素材がどれくらいの値段で売られているか確認してからだな。今はまだダナマベアの素材と香辛料を売った時のお金がまだ残っているし、それほど焦る必要はない。
「へえ~こいつは面白れえな! それにすっげ~柔らかいぞ!」
「本当にそっちでいいのですか。後ろで3人でも大丈夫ですよ?」
「おう、俺はこっちでいいぜ。むしろこっちが気に入った!」
今話しているのは今晩カルラがどこで寝るかだ。これまではジーナとコレットちゃんが後ろの寝室スペースで寝ていて、俺とフー太が前のソファと簡易ベッドで寝ていた。
新しく加わったカルラはどこで寝るのかについて、後ろの寝室スペースでもコレットちゃんはまだ小さいし、十分に3人でも寝られるのだが、どうやらカルラは寝室の手前かつシャワーの前にある組み立て式のベッドがいいそうだ。
まあ、最近のは組み立て式ベッドでも十分過ぎるほど寝心地は良い。それに組み立て式のベッドってなんだか秘密基地感があっていいんだよね。
「どちらも試してみて、カルラの好きな方で寝るのがいいと思うよ」
「おう、そうするぜ」
さすがに乗車人数が5人になると少し手狭になってくるな。
バスコンタイプのキャンピングカーじゃなかったら、かなり厳しいところだった。高かったけれど、このキャンピングカーを購入して本当に良かったな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます