第123話 ドラゴンの解体作業
昼食を食べて、解体用の服に着替え、いよいよドラゴンの解体作業を始める。
ちなみに昼食はお手軽なホットサンドだ。やはり簡単にできるておいしく、中身をいろいろと変更できるホットサンドは昼食には最適である。
あと、みんな食後にアイスクリームを食べたがっていたけれど、さすがに朝昼晩でアイスクリームを食べていたら間違いなく太るので、基本的にアイスクリームは晩ご飯の後に少しだけ出すことにした。
カルラは特にがっかりしていたけれど、移動はキャンピングカーだし、砂糖の入ったアイスクリームはほどほどにしないといけない。解体作業や先日の山登りみたいに多少は運動をしているから、晩ご飯のあとに少しだけならたぶん大丈夫だろう。
「……改めて見ても大きいな。これで子供だっていうんだから、大人だったらどれだけになるんだか」
「ホー……」
「改めてみると、よくこのドラゴンを倒せましたね……」
俺たちの目の前には昨日倒したドラゴンの遺体がある。もっとも、燃料の爆発で黒焦げになった部位や内臓は置いてきたから、これでもだいぶ小さくなっている。
「まずは食用になりそうな部位を切り出して、アイテムボックス機能で収納していこう。その後は売れそうな鱗や爪や牙なんかを順番に少しずつ分けていこうか」
「うん、僕も頑張る!」
「おう。ドラゴンはとんでもなくうまいらしいから楽しみだぜ!」
そう、カルラの言う通り、ドラゴンは食べることができるらしい。
ドラゴンの肉にはとても興味があったが、あの恐ろしいドラゴンを目の前にした時はそんなことを考えている余裕はなかった。どうやって逃げるかを考えるだけで精一杯だったからな。
だが、いざドラゴンを倒したとなると、その肉の味には興味しかない。やはり異世界に来たのなら、ドラゴンの肉は一度食べてみたかった。ちなみに龍人族であるカルラがドラゴンを食べることは共食いにはならないらしい。まあ、似ていると言えば似ているけれど、明らかに別種族だよな。
「……皮の部分はだいぶ固いな。包丁でもうまく切れないぞ」
「おっ、それなら俺に任せてくれ」
そう言うとカルラは自分の爪を伸ばし、その爪を器用に使ってドラゴンの肉を切り分けていく。道中聞いたところ、カルラの爪は伸縮自在らしく、その爪はかなりの斬れ味があるようだ。
「助かるよ。それじゃあ、肉の切り分けはカルラに任せて、俺はアイテムボックス機能に収納していくか」
アイテムボックス機能は俺にしか扱うことができないから、カルラが細かく切り分けてくれたドラゴンの肉を収納するのは俺の役割だ。
「カルラ、こちらの方もお願いします」
「おう、任せておけ」
ジーナは持っているロングソードを使って、ドラゴンの身体を大きく切り分けてくれる。彼女が持つロングソードはドラゴンの首を両断できるほど固く、鱗も斬ることができるようだ。
ジーナが大きく切った部位をカルラが細かく切り分けて、俺が収納するという役割分担だ。
「シゲトお兄ちゃん、こんな感じで大丈夫?」
「うん、いい感じだね。肉を切り分けたら俺たちも手伝うから、それまでよろしくね」
「うん!」
コレットちゃんには持っているナイフでドラゴンの鱗を一枚ずつ剥がしてもらっている。魚の鱗のように包丁で一気にできればよかったのだが、ドラゴンの鱗は一枚一枚が大きく、結構な力を入れないこともあって、ナイフを使って一枚ずつ丁寧に剥がしていくしかないようだ。
ドラゴン用の鱗取りが欲しいものである。元の世界のゲームとかではモンスターを倒したら簡単に素材を手に入れることができるけれど、現実はこうして魔物を解体して、素材を自分たちで分けていくしかないのである。
「ホーホ―!」
「フー太、キャンピングカーが見えないから、あんまり遠くに行っちゃ駄目だよ」
「ホー♪」
フー太には俺たちが解体作業をしている間、周囲に魔物が近寄らないかを見張ってもらっている。ドラゴンの血の匂いに誘われて魔物が寄ってくる可能性もあるからな。
空から周囲を見張ってくれると俺たちも安心できる。それに前みたいにウサギなんかの小動物がいたら狩ってくれるようだ。
ただ、透明化しているキャンピングカーは俺にしか見えないから、以前とは違って俺たちからあんまり離れ過ぎないよう気を付けてもらわないとな。
「……よし、半日でほとんど終わったみたいだ。やっぱり人が増えると作業はそのぶん楽になるね」
「ホーホホー♪」
「ええ、カルラがいてくれたおかげで、だいぶ楽でした」
「カルラお姉ちゃん、すごかったね!」
「いやあ~それほどでもねえよ。それに俺はちまちました作業が苦手だから、そっちの方は助かったぜ」
無事にドラゴンの解体作業が完了した。以前に解体したダナマベアよりも大きな身体をしていたが、カルラが加わったこともあって、予想よりも早く終わってくれた。
鱗の方も一枚ずつナイフで剝がしていったから大変だったな。どうやらカルラはこういった細かな作業が苦手なようだ。そのあたりはみんながいるからな。適材適所で得意な作業をしていけば十分だ。
「それじゃあ、順番にシャワーを浴びて晩ご飯にしよう」
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