第22話 束の間の休息①
早朝便での帰宅を果たし、みんなと別れる。
家に帰りメールを確認すると、『無事帰宅』という旨の報告が送られてきていた。
それともう一つ、大鳳さんと幸希くんから。
『川田幸希さんとお付き合いすることになりました。いろいろありがとうございます。よろしくお願いします。朱雀』
『朱雀ちゃんと付き合うことになったから一応報告! 弓道の話ですごい盛り上がったわ! 大切にするから、よろしくな☆』
文面から二人の幸せがよく伝わってくる。僕は二人に一言ずつ
『おめでとうございます』
と送ると、携帯を閉じた。というのも
「主、少し話がある」
いつもと違う雰囲気の悠麒さんに言われていたからだ。
彼の待つ会議室に足を運ぶ。扉を開けると、意外なメンバーが揃っていた。
「『青龍』の波青龍牙、参上しました」
「元『朱雀』の大鳳朱音、参上しました」
「元『白虎』の古白虎之介、参上しました」
「『玄武』の霧玄武瑠、参上しました」
「『麒麟』の悠麒麟児、参上しました。以上、従者五名です」
この名乗りをするということは、余程のことがあったのだろう。それに、大鳳家・古白家代表が先代であることも気になる。
「本日の集会は報告会です」
悠麒さんの一言で、ようやく、集まった理由を理解する。
「報告のある者は挙手を」
手を挙げたのは朱音さんと虎之介さんだった。まぁ、用がなければ来ないか。
「まずは私から。大鳳家の現状について。先日主にご迷惑をおかけしましたことを、改めて、謝罪します。申し訳ありませんでした。娘の病は治る気配がなく、やはり、次期朱雀はあの子になるかと思います。ただ問題は霊力が少ないことです。彼女に朱雀の役目が務まるか。その相談に参りました」
朱音さんは先日のことを気にしているようだ。僕は大鳳さんで問題ないと思うが、相談には後で乗ろう。
「では、次は私が。我が孫・虎雄についてです。五年ほど早いのですが、神化の儀を行いたいと思っています。主を守っていくためには、相応の力が必要です。本人は了承しています。許可の方をいただきたいのです」
虎之介さんの提案には少し驚いた。二十五歳になる前に神化の儀を行った前例はあるが、古白さんがその一人になるとは。しかし、儀を早く行おうが、遅く行おうが、さほど大差はない。本人が了承しているのなら、許可しよう。
これで終わりかと、一息つこうとした時
「最後に、僕から報告します」
悠麒さんは静かに起立した。
「主の不在時、各地で霊の暴走が起きました。対処済みです。しかし、こちらは伝えておいた方が良いかと思い、報告させていただきます」
空気が張り詰める。彼から放たれた言葉。それは僕ら五人を
「僕の経験から推測しますと、近いうちに大戦が起こります。神、霊、人。全てを巻き込んだ、最悪の大戦です。最悪の場合、複数の種族が絶滅まで追い込まれるかと。無論、人間も例外ではありません」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます