自称クズが主人公の死に戻りモノだが、非常に読み口の良い作品

※読み合い企画からのレビューです

自称クズの盗賊が迷宮内で殺されると、死ぬ一歩前まで巻き戻されていた
彼は、どうしようもないカスの仲間たち（主人公談）と共に、その能力を利用して迷宮を踏破していく──という導入から始まる本作品は、名作ゲーム・ウィザードリィ風の冒険譚だ

難易度までウィザードリィとなっているため、死に戻りという能力もあいまって、死にまくること死にまくること
しかし、その苦労がダイレクトに読者に伝わり、階層を突破したり、レベルが１上がっただけでも、非常に満足感がある

また、主人公やその仲間たちも魅力的だ
自称クズの主人公は、たしかにクズな面も実際にある
仲間たちを胸中でこき下ろすし、クズな行動を取ることも多い
だが、仲間と共に生き残るために、ひとつの危機に対し何年も諦めずに死に戻り続ける一途さ、心の強さ、そして仲間への愛情に満ち溢れている
本当にクズなら、仲間なんて捨てて逃げればいい
クズだカスだと偽善者だ貧乳だと喚いていても、その行動だけで、仲間たちのことが好きであることがわかってしまうのだ
本作は、主人公のそういったところが尊く感じられる傑作と言えるだろう

是非、この自称クズの物語を読んでみてほしい
人は選ぶかもしれないが、面白さは保証する