True Eye 【season1】 -War 4- 鳥か?飛行機か?いや狼だ

【Phase1:とある拠点の物資消失事件】

某日,True Eyes Mercenary Company拠点


TE隊員達には皆寮の一部屋が与えられている


その為基本的には休日…というより任務の無い日は自室で過ごしたり,もしくは元々所有してる家へと帰っている


突然の任務に備えそれすら許されていない隊員もいるのだが基本的に不自由がない為文句も出ていない


自室をとんでもない改造したりする奴もいるが…


TE拠点/寮内通路


突然扉が吹き飛んだ


それはもう突然だ


「カレンごるぁぁぁぁあ!!!てめぇ何回部屋で爆発起こすつもりだ!!!」


吹き飛んだのは爆発でお馴染み,カレンの部屋の扉である


「おかしいっすねぇ,朝ごはん作ってただけなのに…」


「食堂に行きゃいいだろうが!てめぇの爆発でこっちの部屋の壁にもヒビ入ってんだよ!!」


不幸にもそのカレンの隣の部屋はVである


普段は医務室で寝てたりするが寮の方で寝たりもするのである


「んー…うるさいわねぇ…もう少し寝かせてよ…」


反対側の部屋から出てきたのは美香だ


「てめぇも何裸で出歩いてんだ!部屋に帰りやがれ!」


「服…どこだっけ……」


「わっ……わぁっ……」


「アルは見るんじゃねぇ!」


カレンの爆発音はある意味朝の知らせでもある


続々と部屋から隊員達が出てきている


「ったくうるさいなぁ…少しは大人しくしろよなー」


「ほんとだよ,朝から廊下で怒鳴り声あげて…」


「殺されてぇのかてめぇ!!」


平和な朝などない


これが拠点の日常なのである


「で…何その赤いハンバーガー」


「名付けてカレンバーガー!あげないっすよ?」


「いらないよ…何が入ってるのかその色で分かる…」


カレンは辛い物が好きだ,髪色のせいだろうか


そして廊下に転がっているタバスコの瓶


そのハンバーガーが如何に人間の食べ物ではないかを物語っている


「まだ6時前じゃない…朝ごはんの用意してないわよ…?」


「美香よりマシだけど下半身全裸のシルヴィアさんは羞恥心持とうよ…」


「良い眺め…好きだ……ッ!」


「ほら,ニーアが盛りだしたじゃん」


羞恥心もなければ節操もない


これが大人だ


これが傭兵だ


これがTE隊員なのだ


「おいお前ら,早起きは結構だが廊下で騒ぐのはやめておけ,まだ寝てる奴もいるからな」


「……………」


全員唖然としている


そりゃそうだ


可愛らしいピンクのパジャマにキャップまで被った社長ルイスがいたのだから


「まだ寝ぼけてるのかな…」


「タチの悪ぃ悪夢だ…」


「寝直そう…」


そう,これはきっと何かの間違いだ


まだ皆夢の中にいるんだろう


各々が自室へと帰っていき廊下には誰もいなくなった


のだが…


「あーーーーーっ!!!!!!」


「うるせぇぇぇぇぇええ!!!!!」


ほらまた始まった


しかも扉は吹き飛んでカレンの声は廊下にダダ漏れだ


「誰じゃぁぁあ!!私のハンバーガー食べたの!しかもお酒まで無くなってるぅぅぅう!!」


「うるせぇ!!朝から酒飲んでんじゃねぇ!!!ぶっ殺すぞ!!!」


「だーかーらー!怒鳴り声あげるなよ!寝れないじゃん!!!」


1分もこいつらは静かに出来ないらしい


「私が作ったハンバーガー無いんすよぉ!誰っすか盗んだのは!?」


「宇宙人じゃないかい?ほら,あそこUFO飛んでるよ」


「…は?マジでなんか飛んでるんだけど……まぁいいや,盗んでもあんなもの食べる奴いないだろ」


あんな激物食べたら体に悪い


そりゃ誰も食べないだろう


だが現にカレンのハンバーガーが無くなったのは事実だ


「……ん?白い毛…つまり盗んだのは…白い髪の色してる誰かっす!!!そうとしか考えられない考えたくない!!!」


「カレンー?私あの玩具貸しっぱなしだっけ?」


「ちょっと誰!スコーン無いんだけど!朝のティータイムをスコーン無しで過ごせって訳!?」


「相変わらずうるさいねぇ,誰かアタシの工具持ってった?」


再び集まりだす隊員達


しかしおかしな話だ


皆何かしら無くしている


いや,本当に無くしているのか?


ここまで色々な物が無くなっているとなると誰かが意図的に隠す,もしくは盗んでいるのかもしれない


「さぁ今ならまだ許してやる!お前達5人の中に犯人はいるのは分かってるんすよ!」


「何やってるの…あれ…」


「空腹のカレンは歯止めが効かないからな…」


TE隊員で白髪


ルイス,ニーア,アル,カルネスヴィーラ,ソフィーの5人はカレンの目の前に正座させられていた


何故正座?と思うがそもそもカレンの言う通りに正座してる5人も5人である


「差し詰めカレン隊員の大切にしていたハンバーガーが盗まれました…ってところだね」


「何それ」


「知らないのかい?日本人が大晦日に見る番組にそういうのがあるんだ」


まさに傭兵の使いあらへんでの様な状況だ


「まずはアル!さっきまで何してたんすか!」


「…普通に一ノ瀬隊長と寝てましたけど…」


「咲夜!どう言う事!?私だってアルと寝たい!!」


「お前は手を出すからだめだ,それに私だって好きで寝かしつけてる訳じゃないんだから…」


「…まぁいいや,アルはいっていいっすよ,次カルネスヴィーラ!何してたんすか!」


「…………」


「カルネスヴィーラ?」


「Zzz………」


カルネスヴィーラは基本的に夜中まで起きて作業している


まだ眠いのだろう


「フンッ!!!」


「ちょっとカレン!?」


パァン!!と勢いよくカルネスヴィーラの顔面を棒の様な物で殴り飛ばすカレン


安心してください


シリコン製です


更に隊員は特殊な訓練を受けています


「次!ニーア!」


「シルヴィアのXXX見てました」


「フンッ!!!!」


まぁこればっかりは殴り飛ばされても仕方ない


「はぁ…馬鹿馬鹿しい…私だってスコーン無くなった被害s」


「おいカレン,いくらなんでm」


あぁ


ソフィーとルイスまで殴り飛ばされた


完全に暴走状態に入っている


怒り喰らうカレン討伐任務が貼られてしまった


「チェェェェエストォォォォォ!!!!」


「殺すっ!!!」


「…どうするのあれ」


「放っておけ,慣れる」


もはやそんな状況に反応も示さない隊員達


こんなのが日常とは世も末である


『あーあー,聞こえますか?凛です,ちょっとモニタールームまで来てもらえますか?』


隊員達へ無線が入る


どうやらモニタールームで監視をしていた凛が何かを見つけた様だ


「朝からどったんばったん大騒ぎだな…お前らいくぞ」


「このっ!このっ!!私を殴ってタダで済むと思わない事ね!」


「いだだだだだ!やめっ!?ソフィー!!」


「…あの2人は?」


「好きにやらせておけ,私の懐が温まるだけだ」


隊員の治療にも金を取るのかこのメディック


とは言え任務外での治療は毎度金を取っている


花粉症の時期には法外な値段で薬を売っぱらっている


医者とは一体…


TE拠点/モニタールーム


ここは静かだ


すぐに静かではなくなるのだが


「お疲れ様です先輩方…実は先程監視カメラに不審な影が写りまして…」


「侵入者か?」


「白狐さん…と思ったんですけど…とにかく見てください」


つい5分前の映像


拠点屋外


倉庫


寮の通路


隊員の自室


………ん?


「…なんで私らの自室の映像まであるんだ?」


「趣味です」


あぁ,やっぱりまともな奴がいないわこの傭兵組織


プライベートもないのかこの拠点


「……誰だこいつ?」


「白狐さん……ではないですよね,明らかに小さ過ぎます…子供の様ですね…」


「少なくとも隊員ではない…侵入者と断定していいだろう」


どうやらサファリパークよりも酷いやり取りをしている間に何者かがこの島へと侵入してきていたらしい


しかしどうやって?


近海にはサメがうようよといる


空から?


それならレーダーで気がつくはずだ


「はぁー……朝から疲れた」


「よぉソフィー,カレンは?」


「動かなくなった」


「そうか,そりゃよかった」


よかった???


まぁいい


どうやら向こうでは決着がついた模様


勝者ソフィー・イリーナ


後でチャンピオンベルトが贈呈されるだろう


「ほら,コーヒー」


「はぁ?そんな泥水私に飲めって?」


「上等だてめぇ今日を生きれると思うなよ」


第二戦のマッチングはV vs ソフィーの様だ


コーヒー党と紅茶党


どうやらここの隊員は事あるごとに争わなければ気が済まないらしい


「きのことたけのこどっち食べる?」


「荒川,これ以上戦争を起こそうとするな」


本当に戦争はいつ起こるか分からない


ちなみに隊員の中ではたけのこ派が多いだとか


じゃあ間をとってたけのこの山にしようと言った荒川は全治2週間の怪我を負ったのはいい思い出だ


いい思い出とはなんだろう


「…とにかく,拠点内に怪しい奴がいるのは確かだ,今日は全員でそいつの捜索だ」


「特徴は?」


「白髪,映像にも映っていた通り獣人だ,背丈は子供くらい,あとは情報がない」


「それってあそこにいる奴?」


「そうそう,あそこにいる奴………は?」


全員が視線を一気に向ける


間違いない


映像に映ってた奴だ


しかも今度はハンモックを担いでどこかに走っている


「あ"ーー!!私のハンモックが!」


「私のだよ!」


「荒川のでもエイミーのでもどっちでもいい!あいつを捕えろ!!」


「発砲許可は?」


「交戦する様なら許可する」


「それじゃ私は皆さんの士気が上がる様な曲でも流してますね」


途端に流れ出すBGM


何かのゲームだろうか


だが随分と激しいロック調の曲だ


「殺せ!生かして帰すな!」


「ひゃっはぁぁぁぁ!!」


「凛,曲を切っておけ,こいつらならやりかねない」


そんなこんなをしていると既に奴の姿はなくなっていた


ほんの一瞬なのに随分とすばしっこい


「あーもう速い奴…!」


「いたぞ!いたぞぉぉぉぉお!!!」


今度は屋外に置いてあるベンチを持って走っている


なんだあの速さは!?ってくらいにすばしっこい


「くそっ!見失いました!」


「なんなんだあいつは!?」


獣人でもあんなに速く動ける奴はいない


という事は必然的に導かれる答えは…


「あんな小さいのでも妖…各員戦闘体制,あんなのが島にいるんじゃ安心して夜しか眠れないからな,全員2人1組で行動しろ,随時連絡を入れてくれ」


「射殺許可は?」


「あー…可能な限り捕獲,どこから侵入してきたのか聞きたい事もあるしな,ただし交戦してくるのなら…」


「剥製にしてもいいですか?」


「…………」


やっぱりこいつらろくな連中ではない


「物を持ってどこかに走り去って行ったって事は必ず奴のアジトか何かがあるはずだ,だけど普段私らがあまり警戒していないような森の中や岩場とかを念入りに捜索してくれ」


「朝飯前っしょあんなの捕まえるの」


「まぁ軽く捕まえてあげるかな」


「そんな大した奴でもないだろうし終わったら朝ごはんね」


「私この捜索が終わったらもう一回寝るんだ…」


お手本のような死亡フラグを立てている


とはいえ本当に死亡フラグにならないことを祈るくらいだ


小さくても相手は妖


油断しようものなら全滅も有り得る


奴が何者で,どこからきたのか


その正体を突き止めなければならない


【Phase2:罠と獲物と大馬鹿野郎】


妖は妖らしく生きろ


そんな価値観が大嫌いだった


ただ死にたくなかった


逃げて逃げて逃げ続け


生きて生きて生き続け


気がついた時には2本の足で立っていた


自分は妖となったんだと


けれど妖となってからの世界は過酷そのものだった


より強い妖に襲われ


常に命の危機に陥っていた


ただ生きていたいだけだった


生きる為に逃げ続けた


自分は弱い


圧倒的に力不足の妖だ


戦っても死ぬだけ,それなら逃げた方が生きる可能性は高い


逃げ続けて幾つもの国を歩き,泳ぎ,渡った


人や妖がいるからいけないんだ


そう思い誰もいないこの島へと渡った


ここは天国だった


食べ物にも困らないし海岸には時たま色々な物が流れ着く


…だというのに奴らはいきなり現れた


勝手に島へ乗り込んできて勝手に建物を建てて我が物顔でこの島を使ってる


正直腹がたった


けど向こうは人数も多いし逆に利用してやることにした


奴らに気づかれないように奴らの使ってる物を持ち出すことにした


しかし今日は厄日だ


何故なら…


森の中/シルヴィア&カレン


「森の中って言ってもね…拠点周り以外は手入れもされてないし…」


「うがぁぁぁぁ!どこいったあのちびすけ!とっ捕まえて後悔させてやるっすよ!!」


「ハンバーガーなら後で作ってあげるわよ,カレン」


「……………」


今まで見つかっていなかったのに今日に限って奴らに見つかってしまった


普段なら寝てて誰もいないのにいきなり扉が吹っ飛んでびっくりして屋根裏へと隠れた


その時に美味しそうなのが置いてあったから持って来た


他の奴らも部屋が留守だったからいくつか持ってきたけど見つかるとは思わなかった


とにかく奴らをどうにかしなくてはならない


この島の事は誰よりも知っている


上手くやれば逃げ切る事も出来るはずだ


「……気配がする…」


「シルヴィアは勘が鋭いっすねぇ,私なーんにも感じないっすよ?」


「…見てこれ,野生動物捕獲用の罠…最近使われた形跡もある……踏まないように気をつk」


「シルヴィアァァァァア!?」


よし,まずは1人罠にかかった


あの罠は普段島の獣を狩る時に使用している


罠にかかっただけでは逃げられることが多かったのでその周辺に落とし穴を掘っておいた


間抜けな奴が1人落ちていった


ざまぁみろ


「きゃぁぁぁぁあ!!!虫!虫がいる!!カレン助けて!!!」


「虫…触るのは嫌っすね…そうだ!グレネードで」


「殺す気!?」


ここはしばらく放っておいてもいいだろう


また別の感知器が作動した


次の獲物の場所へと向かおう


森の中/V&アル


今度も2人組


どうやら奴らはペアで行動して捕まえるつもりらしい


まとまって来られたらたまったもんじゃないけどこれならいくらでもやりようがある


「ったく…なんで私まで探さなきゃならねぇんだよ…」


「仕方ありませんよ…侵入者ですから」


「私は何も盗まれちゃいねぇけどな」


おっかなそうな女と小さい子供


よく怒鳴り声をあげてる奴は捕まったら殺されそうなので何も持っていってはない


なのにどうして捕まえにくるんだ?


「そもそも私は寝不足なんだよ…最近は新薬の開発でな」


「Vさん…変な薬は作らないでくださいよ?」


「作った事ねぇだろ」


「一滴で魚が浮くような激毒作ったじゃないですか…」


「失敗は誰にだってある」


「だからって拠点の水槽で試さないでください,エミリーさん怒ってましたよ?」


「刺身出してやったら満足してたよ」


「……もしかしてエミリーさんが飼ってた魚を食べさせたんですか!?」


「しっかりと解毒はしたから大丈夫だろ」


「倫理観の方を言ってるんです…」


「……あ?なんだこれ,ルーシーの酒か?」


「どうしてこんなところにぶら下がって…明らかに罠ですね…」


さぁ罠にかかれ


そしてさっさとこの森から出ていけ


「…………」


「Vさん…もしかして取ろうと思ってません?」


「当然罠なのは分かってる,だがこんな仕組みが分からねぇほど馬鹿じゃねぇ,紐の先を見てみろ」


「木の上に繋がって…あ!振り子みたいに木材と繋がってます!」


「避けてろ,紐を切断する」


「大丈夫ですか?」


「罠を放置するより無力化しておいた方がいいだろ,それにこの位置じゃ当たら」


「Vさん!?」


よし


まんまと引っかかった


紐で繋がってるように見せたのは囮だ


本命は側の茂みに隠しておいた


まんまと罠の目の前に突っ立ってくれていたお陰で派手に吹っ飛んだ


「…………」


「V……さん……ひっ!?」


「アル,一度拠点に帰るぞ,持ってくるもんがある」


「持ってくるもの……とは?」


「火炎放射器だ」


「………はい」


よしよし…あいつら来た道を戻って帰っていった


いいペースだ


この森で一番強いのは他でもない自分だ


残りの奴らも全員追い返してやる!


海岸/コノエ&ソフィー


「……あの…ソフィーさん…いいんですか?」


「何がかしら?」


「私達は森の中を捜索しなくて…」


「大人数で入っても探索場所が被るだけ,暫くは様子を見て状況を見極めてから捕獲に移るわ」


「なるほど…あ……この紅茶美味しい…!」


「でしょう?私の一推しよ」


海岸で椅子に座ってのんきに紅茶を飲んでいやがる


海岸は障害物がない為見つかりやすい


遠くから撃退する必要がある


そういえば先日拾った本で面白そうなものがあったから作ってみたアレを使ってみよう


「ところでソフィーさん,侵入者は何が目的なんでしょう?」


「さぁ?そもそもどうやってこの島へ侵入出来たのか…とは言え私達でさえこの島の全貌を知っている訳じゃないしね」


「そもそもこの島は地図にすら載って…いえ,正確には最新の地図からも消された島です,この島自体はなんなんでしょう…」


「コノエは知らないんだったわね,この島の秘密」


「秘密…ですか?」


「この島は私達の拠点があるから地図から消されている…そう思うでしょ?けれど実際は別の理由があって消されているの」


「別の理由…」


「元々この島は世界政府の所有していた島,けれど利用価値が無かったのか私達TE部隊がこの島を買いあげてね,拠点の秘匿性もあって地図から消されていた方が都合が良いというのもあったけれど」


「なるほど,しかし世界政府が所有していたなんて知りませんでした」


「何かの施設でも建てるつもりだったのか…けれど場所的にも使いにくいと判断されたんでしょう,そして近海には海賊がよくいる…何があるか分かる?」


「海賊…もしかして…!」


「この島にはかつて伝説の海賊が残した大秘宝が眠っていると言われているわ」


「本当ですか!?」


「嘘よ」


「嘘なんですか!?」


「本当はこの島自体が世界政府の実験場,私達は自由に使わせて貰ってる代わりにその実験対象にされているのよ」


「あ…なるほど…そういう事なんですね…!」


「嘘よ」


「いい加減にしてくださいよソフィーさん!本当は何なんですか!?」


「ここはUFOが墜落しやすい島らしいわ,だから民間人が来ないように地図から消されているのよ」


「はぁ〜…もういいですよ……ん?ソフィーさん…何か飛んできてますよ」


「はいはい,UFOかもね」


「本当ですって!私逃げますからね!」


「私を騙そうなんて早」


よし,直撃だ!


確か投石器?とかいうやつでこれなら遠くから狙って蹴散らす事が出来る


流石に石は重いからそこら辺の泥を丸めた特大の泥団子だ


初めて使ったけど狙い通り奴らに直撃


海岸の椅子とパラソルは木っ端微塵だ!


ざまぁみろ!


「………………」


「ソフィーさーん?生きてますー?」


「…コノエ,手を貸して…」


「うわぁ…泥だらけ……何だか畑から引っこ抜かれたゴボウみたいになってますよ…」


「…コノエ,アレ持ってきて」


「アレ……?」


「私の対物ライフル」


「あぁ……分かりました」


「殺す,私のティータイムを二度も邪魔した奴は許さない,楽には殺さない,苦しめて殺してやる…まずは片足からかしら……」


うわ…何だかすっごいおっかない雰囲気になった


泥だらけにしたのは逆効果だったかもしれない


なら今度はこっちを投擲してみよう


「……!なるほど……方角はあっちか……」


あちゃぁ…今度は外れてしまった


「…何これ,サトウキビ……?」


これ以上ここに残っていたら奴らに気付かれそうだ


さっさと次の場所に行って他の奴を追い払う事にしよう


山岳地帯/ルーシー&荒川


「はぁっ……はぁっ……」


「もうへばったのかい?だらしないねぇ」


「何でルーシーは疲れないんだい…私はあまり体力には自信がないんだ…」


「よくそれで傭兵やってられるね,鍛え直してやろうかい?」


「遠慮しておくよ,私はルーシーみたいに筋肉ゴリラにはなりたくないからね」


「筋肉は全てを解決するんよ」


あ,車に乗っておかしくなる奴とゴリラみたいな奴だ


わざわざこんな山岳まで捕まえにくるとはご苦労な事だ


すぐに帰る羽目になるのに


「それにしてもルーシーは工具盗まれたらしいね?あんなにたくさんあるのに」


「んぁ?たくさんあっても同じじゃないよ,いいかい?こっちがモンキー,こっちがスパナ」


「同じじゃないかい?」


「よく見なぁ!バカちんが!」


「そもそも同じ用途なのに何故たくさんあるんだい?」


「使いやすさが違うからねぇ」


「私にはよく分からないね」


確かこの道にはあれが置きっぱなしになってたはず


奴らなら絶対に食いつくはずだ!


その隙に一網打尽にしてやる!


「それにしてもここ初めて登ったけど随分と眺めがいいんだね」


「んまぁ特にくる理由もないかんね,プロテインとか生えてたら来るんだけどね」


「プロテインは自生しないよ,しっかりと畑に植えなきゃ」


「頭大丈夫かい?」


「ボケたからのったのにあんまりだよ,ルーシー」


「でも車に乗るとおかしくなるじゃん?」


「皆がそういうけど私には記憶がないんだ,騙しているんじゃないかい?」


「免許返納した方がいいと思うよ」


「あんまりだよ………ん?ルーシー,あれ見えるかい?」


「んぁー?あ!あれは!!」


「これルーシーの車じゃないかい?」


「そうそう!!気づいたら倉庫から無くなってたアタシの車!」


「どうしてこんな場所に…というか探さなかったのかい?」


「いやぁ〜誰かが借りていったのかな〜って思って,その内帰ってくると思ってたからさ〜」


「つまりあまり大切じゃなかったんだね」


「なぁーに言ってんの!車は一台一台愛を込めてカスタマイズしてんよ!」


「私はあまり車に詳しくないけど…幾らかけたんだい?」


「給料6ヶ月ってところかな」


「そんなにかい!?」


「アタシは車くらいしか娯楽がないからね,よぉーしよしよし…ちゃんと迎えに来たよぉ〜」


「車愛もここまで来ると異常だね…」


よし!奴らは思った通り前に持ってきた車に食いついた!


あとは崖の上からこの岩を落として奴ら諸共潰してやる!


「えーっとこの子の鍵は…おっと…落としちゃった」


「鍵ばかり付けて重いから坂道を滑り落ちてるね」


「待て待て〜,アタシから逃げるんじゃあないよ!」


あ…奴らあの場所から動いて…


「「!?!?」」


車だけしか潰せなかった


作戦は失敗だ…


「あ………あ…………」


「……ルーシー…大丈夫かい?」


「アタシのマリアァァァァァア!!!!!」


「マリア?」


「この子の名前だよ!!誰だい!こんな事したのはぁ!!!」


「…きっと侵入者じゃないかい?」


「許さないよ!アタシの愛車をスクラップにした責任は取らせてやらないとね!!」


「うわっ!?岩を殴るのはやめ……ってやっぱりゴリラじゃないか…」


「この岩みたいに頭かち割ってやんよ!!」


人間じゃないなあの女


野生動物用の罠を仕掛けておいた方がよかったのかもしれない


それかバナナ


とは言え山岳地帯の方なら奴らにバレる心配もないし放っておこう


あと作動した感知器は残りひとつ


さっさと撃退して家に帰ろう


廃屋/咲夜&カルネスヴィーラ


「うーん,人が住んでた形跡はあるけど古いな…」


「隊長〜,クマちゃん見つけたやよ〜」


「きったな!」


「なんか随分とお粗末やね〜」


「まぁでも手がかりはあったよ,ほら白い体毛がそこら辺に散らばってる,つまり侵入者の拠点だった可能性が高い」


「自分で建てたのかな?」


「そうだとすればかなり知能が高い可能性があるな…とは言えもう使われてないみたいだし他の場所に拠点がある筈」


「あ!これ懐かしい!隊長ほら旧式のゲームやよ〜」


「あー…砲撃をくらっても壊れないで有名な…」


「かなり大切にしてたみたいやね〜」


昔の家に勝手に入ってきた奴らめ


それにしても無くしたと思ってたゲーム機はあそこに忘れてきてたみたいだ


どうにかして取り戻したい


あ,そうだ


前に遊んだアレの残りがあった筈


「…それにしても侵入者…にしてはおかしいな」


「んにゅー?」


「侵入してきたのなら何かしらこっちにしてくる筈…それなのに物を盗んでいくだけ…もしかしたらただこの島に住んでるだけなのかなって思ってね」


「私達よりも先に?」


「この古屋の老朽化具合からしてその可能性が高い,もしかしたら元々この島に住んでたのかもしれないな…それならレーダーで探知されなかったのも納得出来る」


「ふむふむ,それじゃあ寧ろ私達が侵入者?」


「かもしれないな,って事は私らの対応次第で敵対するかもしれない」


「気をつけないとやね〜」


奴らはまだ古屋の中にいる


今がチャンスだ!


「ん?何か物音が…」


「あちゃちゃちゃちゃ!!!」


「うわっ!?花火かこれ!?」


前に遊んだよく分からないやつが役にたった!


あとは奴らが持ってるのを取り返すだけだ!


「こいつ…!映像に映ってた…速い!?」


「ガゥ!グルルルァ!」


「あ!ゲーム機持ってった!」


「おい待て!止まれ!!」


「隊長!撃った方が!」


「それもそうだな…威嚇射撃だ,当たるなよ」


「……!」


何かを撃ってきた


ふと奴らの方に視線を戻せばあのよく分からない物を持ってる


「…私達に敵対する気はない!話をしないか?」


「すっごいもふもふしてるやね〜,狼?」


「…………」


「見た感じ犬科の獣人の特徴だな…言葉は分かるか?」


奴らが何かを言っている


いきなり撃ってきた奴らを信用出来る訳もない


そういえば奴らの持ってる物はこっちも持ってるんだった


「あれは…武器庫から無くなってた一丁だな…おい!敵対するつもりはない!」


「ガルッ……グルァ!」


確か横のレバーを倒して


ここに指をかけて


引っ張る!


「うわっ!?」


「隊長ぉ!撃ってきたやよ〜!」


なるほど,これはこうやって使うのか


そして今のでどうすればあの弾が飛んでいくかも分かった


「まずい!遮蔽物に身を隠せ!」


「うわぁぁぁあ!」


隠れたから当たらなかった


けどコツは掴んだ


あとは奴らが出てくるのを待つだけだ


「どうする〜?撃つ?」


「いや……こうして…」


何か出してきた


それに向けて撃つ


でも奴らじゃない


「うわぁ…狙いはかなり正確だ…」


「やっちゃった方がよくない〜?」


「いや…その必要はない」


また出てきた


今度は間違いなく奴らだ!


ここを引っ張って…あれ?弾が出ない?


「弾切れだな,最後に言う,こっちに敵対する気はない,銃を下ろしてくれ,じゃないと撃つ事になる」


「話は聞いた方が利口やよ〜?」


「…………」


弾切れ


あの細いやつの事か?


あれがないと撃てないのか


けどもう持ってない


逃げるしかない!


「待て!!!くそっ!速い!」


「銃弾を避けるなんてびっくりやよ……」


「行くぞカルビ!奴を追いかけるぞ!」


「カルネスだよ!!!」


追いかけてくる


でもこっちの方が断然速い


少し回り道しながら逃げればすぐに見失うはずだ


一度家に帰ってあの弾の入った細いやつを持ってこよう


そうすれば奴らも今度こそ終わりだ!


【Phase3:おファックの時間ですわよ】


「あらおかえり,何かあった?」


「ガゥッ!」


「あらあら…随分と遊んできたのね,泥だらけよ?」


「ガゥー」


「おやつ作っておいたからお風呂に…あら?」


彼女はいつも美味しい物を作ってくれる


今日のおやつはクッキーのようだ


サクサクしててとても甘い


普段なら帰ったらお風呂に入っておやつを食べるのだがまだ奴らを追い払えていない


「銃を使ったのかしら?マガジンは…はい,ちゃんと使い方覚えてきたのね〜」


「ガウ!」


「でも人に向かって撃ったらダメよ?撃っていいのはバケモノとおやつを無駄にした人だけ,分かったかしら?」


「ガウガウ!」


「よしよし,それじゃあまた遊びに行っていらっしゃい」


彼女に見送られて再び家の外へ


この家の周辺には大量の罠が設置されている


近づいてくるのならそれらで時間を稼げる筈だ


「……!」


なんだ?


一斉に気配がし始めた?


奴らは2人で行動していたはず


6…8…


一斉に捕まえにくるつもりか


でも罠で足止めされている間に追い返していけば…


でもおかしい


気配が一ヶ所だ


それにこの変な音と地響きは…


「アハハハハハハ!!!天候は快晴気分は上々!お待たせ致しました皆の完璧で究極の傭兵荒川 静です!本日は環境省も黙っちゃいないこちらの10蓮チェーンソー伐採機でご登場!ご搭乗とかけてみました!さぁ第一コーナーを曲がってそのまま直線で一気に突き放す作戦のご様子!チャンネルとアクセルはそのまま!さぁ今ここでニトロが点火されたぁぁぁあ!」


「全員しっかり捕まってろ!一気に突っ込んで制圧するぞ!」


「だからって荒川の野郎を乗せるんじゃねぇ!私らを殺す気か!?」


「罠だらけなんだから仕方ないだろ!それにこんなもん使ってんのバレたら大目玉だ!」


「許可もとってねぇのかよ!?」


「うっ……私酔ってきた…」


「ガゥゥゥ!?!?」


なんなんだあいつら!?


訳の分からない機械に乗ってきやがった!


あれじゃあここら辺の木も罠も意味を成さない


こうなったら逃げるか?


いや,彼女がいるからそれは出来ない


何としてでも追い返さなくちゃいけない


「さぁゴールは間も無く!お手元の荷物はしっかり持ったか?ICカードの残高は?車輌の隅でガタガタ震えて命乞いをしているお客様もさぁ立ちあがろう!線路は続くよどこまでも!私達の戦いはこれからだ!おぉっとぉ!目の前に障害物を発見!インド人を右に!!!」


「おい馬鹿!急にハンドルきるな!!!」


「やばい!全員対ショック!」


「「「「とっくに対ショック!!!」」」」


あの馬鹿でかいのが転がってくる!


何て奴らだ!


物を大切にするってことを知らないのか!?


「げほっ……うぇっ……いってぇ……」


「2度とこいつと車に乗らねぇ…」


「全員大丈夫か?」


「腕の骨が折れた……」


「人間には215本も骨がある,1本ぐらいでガタガタ抜かすんじゃねぇ!」


「ターゲット発見!こちらに気付いてます!」


「全員戦闘準備,油断するなよ」


「ぶっ殺してやる」


「確実に殺す」


「生かして帰さない」


本当になんなんだ奴らは!


悪いのは奴らなのにどうしてこうも殺意を向けてくるんだ!


「それにしても…あれは家か?」


「随分と造りがいい…それに大きい」


「なんなんだあの小さい奴は…」


出て来ようとしない


それなら誘き寄せるだけだ!


「うわっ!?撃ってきた!?」


「狙いはかなり正確だ,マガジン交換の隙を狙え!」


「纏めて吹き飛ばした方が早いっしょ!!」


「いいや燃やし尽くす」


「形も残らない程吹き飛ばしてやりたい」


「サンドバッグにしてやろうかねぇ」


くそ!くそ!くそ!!


今日は厄日だ!!


あいつらこっちのタイミングが悪い時を狙って撃ってくる!


このままじゃ時間の問題だ


何があっても追い払わないといけないのに!


「……!全員射撃を止めろ!誰か出てきた!」


「あ?誰だあいつ…敵か?」


「あらあら…外が騒がしいと思ったらお友達を連れてきたのね?」


「何者だ!!」


「シュガー・ラーシアスと申します,貴女達はアレンくんのお友達ですか?」


「アレン…それがあのちっこい奴の名前か?」


「ガルルルル!!!」


「落ち着きなさいアレンくん,お友達が来たのならまずは挨拶でしょう?」


「グルルゥ……」


「……何はともあれあのアレンとかいう奴がいう事を聞いている…飼い主ってところか?」


「まぁ無駄に血を流す必要もない,私はTE部隊隊長一ノ瀬 咲夜,この島はTE部隊の島だ,どこから侵入した?」


「私は家出中です,船で遭難してこの島へ辿り着きました,海岸で倒れているところをアレンくんに助けられたんです」


「生身で流れ着いた…どうりでレーダーにも反応が無かった訳だ……」


「おい咲夜,あの女はいいとしてアレンとかいう奴はぶち殺していいか?」


「同じく,タダじゃ済ませられない」


「落ち着けお前ら……ツッ!全員戦闘準備!!」


今度はなんだ?


飛んでくる何かがいる


まだ奴らの仲間か?


「凛!何故敵の戦闘ヘリが来てるのに連絡しなかった!?」


『こちらからレーダー反応無し,熱源反応も…もしかして…』


「くそっ!ステルス機か!?」


なんだ?


あいつら飛んでる奴の方が気になるみたいだ


「あらあら,あれでも取ってきましょうか」


「ガウッ」


「どこの国だ!?あんな馬鹿でかいもんくっ付けりゃいいってもんじゃないぞ!?」


「ヘリ…というよりかは戦闘機に近いですね…」


『…聞こえるか傭兵の屑共,こちらの照準は既に貴様らに向いている,妙な真似をしてみろ,殺すぞ』


『いや〜やっぱりこの島に来て正解ですね〜アニキ』


「……………」


「……………」


『連中何も出来てないですよ!高い金払った甲斐がありましたね!』


『最新鋭の要塞型ヘリだ,そんじょそこらの武装なんか問題じゃねぇ』


「おい咲夜,やっちまっていいか?」


「あー…許可する,叩き落とせ」


「ソフィー,あいつのプロペラを落とせ」


「分かってる」


『ん?おいあいつらこっちに向けt』


うわ…なんか馬鹿でかい銃で飛んでる奴落とそうとしてる


こいつらやっぱり野蛮だ


『ちょちょちょい!?何故奇襲したはずなのにあんな装備持ってるんだ!?』


『あのアロハシャツぜってぇ許さねぇ!!とんでもねぇ場所の座標教えやがったな!?くそっ!!!!』


「対物でも撃ち落とせねぇか,硬てぇな」


「厄介な物を作るところもあるみたいね,もう一発いっとく?」


「同じ箇所狙えばいけるだろ」


何であいつらはあんなに好戦的なんだ?


死ぬのが嫌なら逃げればいいのに何故戦うんだ?


いや,そうか


自分も彼女を守る為に奴らを追い払おうとした


きっとそれと同じなんだ


「アレンくーん?おいでー?」


「ガウ!」


彼女も馬鹿でかい銃を持ち出してきた


そしてあの銃は確かこうやって使ってたはずだ


「接続完了,照準よし,目標に狙いを済ませて…おファックですわよー!」


「うわっ!?」


『被弾!!装甲貫通!機体のコントロール不能です!!』


『何故こうなるんだ!!あのアロハ許さn』


爆発四散


しかしこの銃を使うととても疲れる


あまり好きじゃない


「レールガン……?驚いた…そんなものがあるなんて…」


「私が組み立てたものなのよ,威力は見ての通り,うるさい蚊トンボを撃ち落とすのに便利ですわ」


「へぇ…随分と器用だな…さて……私も私で仕事をしなくちゃいけない,一先ず私らの拠点へ来てくれないか?」


「もちろん構いませんよ,この島に私達以外が住んでいたなんて知りませんでしたし」


「んじゃ撤収…ってVにソフィー…ルーシーはどこいった?」


「遊んでくる,だそうです」


「あー…うん,放っておくか」


よく分からないが奴らは敵ではないらしい


彼女がついて行くのならついて行こう


それにしてもさっきからどこかで悲鳴が聞こえるがなんなのだろう


まぁいいか


TE拠点/ブリーフィングルーム


「…って訳で,あの2人は元々島にいてたまたま会わなかっただけなんだ」


「なるほどな,ご苦労,あと荒川は減給な,自然を破壊するのは重罪だ」


「あいよ,そんでデータベースによるとシュガー・ラーシアス,セントラルシティの企業のお嬢様だそうだ」


「確か銃器メーカーの令嬢だろう?2年前のコンクールで全種目満点を叩き出したウェンポンマスターだ」


「あのウェポンマスター?確かに最年少でその称号を得た奴がいるってのは噂にあったけど…」


「行方不明になってたと思ったらこの島にいたとはな,俺も驚いている」


「それで…2人はどうする?」


「…元々この島にいたのなら無理に追い出す事もないだろう,今まで通りに戻るか…それとも…」


「あーなるほどね,了解」


「あぁでもあのアレンとかいう奴は隊に加えると支障が出るだろう,雑務をやらせてやればいい,給料も出す」


「んじゃ2人に聞いてみるわ」


【ではこの問題はこれまで,次の問題は…】


「…………」


「シュガー,アレン,話が…って何してるんだ?」


「あら咲夜さん,この子に言葉を教えているのよ」


「スピードラーニングってやつか,2人に話があってな,シュガー,君の事は調べさせてもらった,あのウェポンマスターと会えるなんて光栄だよ」


「もう昔の事ですわ」


「私らはTrue Eyes Mercenary Company,所謂傭兵企業だ,優秀な腕を持つシュガーには是非力を貸してもらいたくてね」


「えぇ,もちろんですわ」


「……え?そんなあっさり?」


「いつかはこうなる事はわかっていましたわ,あの夢の様に,いつか私は必ず銃を握る選択をしなくてはならないと,それが今なのですわ」


「…本当にいいのか?私らは…」


「人ならざる者,ですよね?咲夜さん」


「……そこまで知っているのなら深くは聞かない,んでアレンは…おーい,アレンー?」


ふむふむ


なるほど


随分と簡単なんだな


言葉っていうのは


完全に理解した


「おーいアレンー?」


「………?」


「話を聞いてなかったのか,シュガーはTE隊員となる事が決まってな,そこで一緒にいたお前も拠点での仕事を任せたいと思ってる,どうだ?」


「お?まさかまさか勧誘っすか?いやぁ〜また賑やかになるっすねぇ!」


「そのちっこいのもかい?」


「まぁ賑やかになるのならいいじゃない,よろしくね?」


なんだか勝手に手伝う事にされているけれどまぁ彼女がここに身を置くというのなら一緒にいる方が楽しそうだ


「おばさん共誰?」


「「「…………」」」


とりあえず名前を聞いてみよう


その方が呼びやすいからな


「おばさん,聞いてんの?」


「まずはマナーを教え込む必要があるっすね」


「そうだね,しっかりと教えてあげようじゃないか」


「えぇ,みっちりと」


なんなんだこいつら


名前を聞いてるのに勝手な事ばかり言って


名前を聞かれたら答えるのが礼儀だとビデオでは言っていたのにこいつらは礼儀も知らないのか?


「おい,おばs」


記憶はここで途切れている


何故だか知らないがとても怖い目にあった気がする


本当に今日は厄日だ


人をおばさんと呼ばない事


物を勝手に持っていかない事


色々なルールを設けられた


それに同じ妖のおっかない奴までここにはいるときたもんだ


けれど不思議と嫌な気持ちはない


自分自身でもここの居心地を気に入りつつあるのだろう


特別に何か変わる訳じゃない


いつも通りに暮らしいつも通りに生きるだけ


何も変わらない


これが自分の生き方


TE部隊という群れについていこうと決めたんだ


もしもの時


その時が来た時にはする事も決まっている


それまで生きる


生きていなきゃ何も出来ない


だから生きるんだ


それに今までよりも美味しいご飯やおやつが食べられる


何だかんだ悪くない


さて,今日も頑張って生きるかな


-Next war-

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