第36話 ダービー狂想曲
例の記事が出ると競馬界はやはり大荒れに荒れた。
俺はJRAのお偉いさんに呼ばれてクレームの嵐、大谷さんには「アレ本気だったんですか!」とまた大騒ぎ、日原騎手にもプレッシャーかけんで下さいと苦笑されたり、外村さんからも孫の進路を勝手に決めるなと大目玉をくらい
ただオグリが引退し盛り上がりに欠けていた競馬界にとって世の中が再度競馬に目を向けるキッカケになった様で結果
「ご覧ください、本日日本ダービーが行われる府中競馬場、朝8時にも関わらずこの長蛇の列です!」
ワイドショー等でも俺の発言が取り上げられて世間では賛否両論で大盛り上がり、結果第58回日本ダービーは空前の大盛況を見せているのだ
「先頭の此方の方にお話を伺って見ましょう、本日は何時位から並んでいらっしゃるんですか?」
「いや本日というか、水曜から並んでますね」
「えーー! そんなに早くからですか? それはやはりカザマテイオーが目当てでしょうか?」
「そうですね、皐月賞は強い勝ち方でしたけど、本物かどうかはまだ疑問ですし」
カザマテイオーは皐月賞で強い勝ち方をしたとはいえ、脚元の関係で最後まで追い切っておらず歴代の名馬と比較してどうなんだ? という意見がまだまだ多いようだ
「例のオーナーの発言についてはどう思いますか?」
「随分と自信がある様ですし、それ程自信があるなら見てやろうと思いました」
「有り難う御座います、現場からは以上です」
うわ〜これはプレッシャーだな〜、大谷さんと日原さんには申し訳ないと思うが、これも強い馬の宿命って事で納得してくれ(他人事の様に言う)
「兄貴、凄い盛り上がりだね!」
「昨年のオグリちゃんの有馬記念を思い出しました」
本日はいつメンとブラザーズで来てます、やはり美和子さんは人混みはドクターストップという事で自宅で晴彦さんと観戦してます
「それじゃあ行ってくるね!」
今日も今日とてパドックへと向かう2人、今日はどんな応援幕を用意している事やら
2人よりも先に馬主席に向かうと
「あ、やべ!」
「小僧、どこ行くつもりじゃ?」
馬主席にいた外村氏に捕まってしまった、再度ネチネチと説教を受ける羽目に
「しかし凄い来場者数だな!」
「誠司兄、皐月賞の時より全然人が多いね!」
旧山名兄妹も余りの人混みに驚いている模様
「当然だろ、テイオーの晴れ舞台だぜ!」
俺が自慢げに語ると
「いやテイオーもだけど、お前の発言の所為だろ?」
「小僧、まだ反省が足りん様じゃの!」
しまった藪蛇だったわ、そのまま小次郎達が戻って来るまで延々と説教を受け続ける羽目になってしまった、トホホ
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