第35話 第一の関門 皐月賞

 やってきました中山競馬場、本日は春のG1牡馬の祭典スピード能力が試される皐月賞です


「ついに来たな!」


「ついに来たね!」


「ついに来ましたわね!」


 競馬組の3人がカザマテイオーの晴れ舞台の為に関東の舞台に初参戦です


「いや〜人が一杯だね〜」

「そうね〜、流石にこんな多いのは初めてだわ」

「永遠、手ェ離すんじゃないぞ?」

「ふぇ〜、こんな人混み初めてだね〜」


 今回は家族全員に来て貰いました、と言うのも美和子さんがダービー以降だと母体への負担になると思ったので、名義上のオーナーとして三冠レースで口取り式に参加出来る最後のチャンスという事でお願いしました。


 当然身重の美和子さんを見守る為、晴彦さんも参加、ブラザーズもテイオーに再度会えると参加、最終的に全員参加となった訳


「それじゃあ私はいつもの準備がありますので」


「僕も言ってくるよ!」


 美香子さんと小次郎は応援幕の準備に行ってくる様です、先に馬主席に向かうと


「やあ大輔君、今日は孫の晴れ舞台楽しみにしとるよ!」


「はい外村さんも元気そうですね」


 当然この方も誘っております、三冠レースは全て観戦お願いしてますからね、そのまま風間夫妻と挨拶を交わしております、少しすると小次郎達も帰って来ました


「兄貴、凄いよ僕ら以外の応援幕があった!」


「テイオーちゃん人気も遂に全国区ですね〜」


 そう臨戦態勢を嫌われたのか、前日2番人気だったテイオーだが本日は堂々の1番人気、やはりテイオーの強さは全国にも知られていた様だ


 まあ前哨戦の弥生賞に勝ったライバルの関係者が、関西にもう一頭とんでもない馬がいるってTVで発言しちゃったしね、という訳で今日は関東圏にカザマテイオーの初披露の舞台でもある


 正直輸送で問題がなかった事は祈りたい



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「そろそろか、小次郎パドックへ行こうか?」


「行こう!」 「行きましょう!」


 パドック馬主エリアに向かいます


「見て兄貴、あそこあそこ」


 其処には『天馬カザマテイオー、目指せスピードの向こう側へ』の応援幕が、いや何処へ向かうつもりだよ、俺はハードラックとダンスっちまうつもりはないぞ?


 それから少しすると入場のアナウンスが流れる


「来た、テイオーだよ!」


 だが皆が何やら騒ついています、なんとテイオー+10kg


「これは重いんじゃないか?」

「やっぱり直接皐月賞に来た影響なんじゃ?」


 周囲のざわつきが止みません、不安になった小次郎が俺を見つめます


「大丈夫、ダービーに向け少し残してあるのは事実だけど大部分は成長分だよ」


 事前に大谷さんから聞いていたので説明してあげます、ホッとした小次郎が


「頑張れテイオーー!」


と応援したのが聞こえたのか、機嫌が良くなったテイオーがいつものテイオーステップを披露これは勝ったな!


 さて本馬場入場の時間の様だ、俺達は再度馬主席に戻ります


 外村氏と会話中の家族に報告してレースを待ちます、数刻後スターターが台に上がり、G1のファンファーレが鳴り響来ます、そして


『態勢完了、スタートしました、カザマテイオーも好スタート、先団に付きます』


 よっしゃ、最高のスタートを決めたぞ!


 所が好事魔多し、最初のコーナーを回った辺りでテイオーが先頭に立たされてしまった、ちょっと日原騎手聞いてないですよ?


 史実でもテイオーが逃げた事はなかった筈、俺があわあわしてるも日原騎手は手綱を抑えてる様にも見えない、そのままテイオーは先頭のまま第四コーナーへ向かう


『カザマテイオー先頭のまま第四コーナーへ、さあ後続がやって来る、大外からシャトーグレイドがやって来た、凄い勢いで先頭に取り付く、カザマテイオーが先頭、シャートーグレイドが迫る』


「「「頑張れテイオーーー!」」」


 俺達も必死に応援する


『シャトーグレイドが迫る、だが差は縮まらない、いや差が開いていく、カザマテイオー先頭、カザマテイオー先頭、これは強い、後続を引き離していく、カザマテイオー先頭、持ったまま後続を更に突き放していく、天馬の走りだカザマテイオー今1着でゴールイン』


「「「おっしゃーーーー!」」」


「「「やったーーーー!」」」


 メインスタンド前では日原騎手が人差し指を一本掲げるパフォーマンスを披露、これで後には引けなくなったな〜、お願いしてやって貰ったのだ


 道中は内心ヒヤヒヤした物の、終わってみれば圧巻の横綱相撲ぶりおみそれしました、さあ口取り式だ


「大谷さん、初G1おめでとう御座います!」


「なに言ってるんですか、こちらのセリフです、オーナーおめでとうございます」


「日原騎手も有難う御座います、いきなり逃げるんですから内心ビックリしましたよ」


「ははは、いやなにテイオーがイケるっていうもんですからね」


 いやテイオーと語れるのかよ! 天才はやっぱすげ〜わ


「それに例のパフォーマンスも」


「オーナー、僕も本気ですよ、テイオーならやれます」


 俺達は固く握手をかわした、その後関係者全員で語り終えた後、美和子さんがメインでの口取り式を終え皐月賞の幕が降りました


カザマテイオー 4戦4勝無敗 皐月賞制覇

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