第201話 違い
「なんか歴史がちょいちょち食い違ってきてる感はあるよな。くっそ今更だけど」
「そうねぇ」
梓の美味しい晩御飯を食べながら話をする。今日は俺の大好物の唐揚げです。うみゃい。
母親ーズは最近、ラウンジに設置したビリヤードにお熱。今も楽しくお酒を飲みながらわーきゃーやってらっしゃる。
因みに日中は普通に俺達の事務仕事も手伝ってくれてる。なんか俺達が忙しくしてると、ダラダラしてるのに罪悪感が湧いてくるらしい。まあ、気持ちは分からんでもない。
で、俺達はお喋りしながら晩御飯を食べてるんだけど、最近歴史というか、主に配信業界で知ってる人が出て来なかったり、知らない人が頭角を表してきたりしている。
知らない人は回帰前でも俺達が認知してなかっただけの可能性はあるけど、人気だった配信者が全然バズってなかったりしてるのは、明らかに俺達が原因だろう。
「でもあれでしょう? 迷惑系配信者ばっかりでしょ? 出て来てないの」
「そうなんだよなぁ。何があったのやら」
居ない訳じゃないんだけど、回帰前より明らかに迷惑系配信者の数が少ない。別に身内だけで迷惑掛け合うの系の配信は良いんだけど、一般人とかに迷惑を掛ける配信者は嫌いだった。
だからその数が減ってくれてるのは個人的には嬉しい。けど、なぜ減ってるのか。
「まあ、俺達が顔出しした時に突っ込んできたやつをすぐに裁判沙汰にしたのは大きいだろうけど。それだけでこんなに変わるかね?」
「意外と抑止力にはなってるんじゃない? やり過ぎると訴えられると分かれば、大体の人は足踏みするもの」
「まだこの時代はネットリテラシーと言うか、その辺が曖昧だからなぁ。あの件が良いように働いてるなら良かった」
迷惑を被ったら泣き寝入りするんじゃなくて、すぐに弁護士やら警察に相談する。これを最初に見せつけれたのは大きかったかな。これで他のそういう配信者が二の足を踏んでるような感じはある。それでも完全に消滅してないから、人間は恐ろしい。
「バカッターは減ってないけどね」
あの迷惑な配信者も身を犠牲にして役に立ってくれたなと思ってたら、梓が別件を。
バカッターはね。主に飲食店なんかが、学生バイトに被害を受けた一種のテロみたいなもんだ。あんなんやられたら経営者はたまったもんじゃないだろ。
俺は最初、ライバル企業が送り込んだ刺客かと思ったよ。イメージを下げさせる為にやってるのかなと思ってました。
「承認欲求の塊なんだろ。どうしようもないよ。俺達が言えた事じゃないけど」
「まあそうね」
ああいうのは注目されたいから馬鹿な事をして、SNSに写真をアップしたりするんだろう。
俺達もチヤホヤされたいから超常の力を世の為人の為じゃなくて、配信に使ってる。手段は違うけど、やってる事は似たようなもんだ。
「チヤホヤされたい気持ちは痛いほど分かるけどな。やり方が悪すぎる」
飲食店の冷蔵庫に入ったり、なんかその意味の分からないバイタリティを別の方向に向けれたら良かったのにな。
本人は軽い気持ちでやってるんだろうけど、結構凄い事やってるからね。褒めてないけど、その行動力を違う事に活かしましょうって事だ。
その発想力をちょっと変えたら、普通に配信者として面白い事が出来そうだけどな。
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