第200話 繋がり


 「まさか土地がこんな感じで役に立つとは思わなかったな」


 とりあえず大量のマスクやら衛生用品を用意するにしても、時期が来るまで保管しておく場所が必要だ。


 量が量だし、小さい倉庫じゃ話にならないぞと思ってたんだけど、その問題は簡単に解決した。


 そう言えば俺は使ってない土地を無駄に持ってるんだったと。未来で外国人(主に中国人)が、日本の土地を買い漁って馬鹿みたいな事をしようとするのを防ぐために、特に意味はないけど買っておいた土地。


 とりあえずそこに倉庫を建てる事にした。


 将来的に色々な事業を展開する予定だし、コロナが収束して倉庫が空いても、色々使い道はあるだろうって事で。


 曽川君のお父様に連絡して超特急で且つ丁寧に建ててもらうようにお願いしました。結構な金額を提示したから、二つ返事でOKしてくれましたよ。


 「これで後はじゃんじゃか作って保管しておけば良いだろう。その辺の発注は別の人に任せるとして…」


 「次はこれね」


 「おお、それか」


 ライブの打ち合わせ。

 一応今回は日本の主要都市でツアーみたいなのをやる予定だ。


 まだこの時代、歌手でもない配信者がライブツアーをやるってのは結構珍しい。主要都市でのツアーなんて尚更だ。


 まあ、俺達は世間一般で配信者ってあんまり思われてないみたいなんだけど。まだあんまり動画サイトを見ない人達からは歌手とか、映画を作ってる人達って印象があるらしい。


 ぶっちゃけ俺達の生配信って面白いかって言われると微妙だしね。そこらの配信者がやってる事と大した変わらない。


 スキルの力でチヤホヤされてるだけだし。


 まあ、それはさておき。

 イベント会社との打ち合わせとかは順調だ。俺達の初ライブって事で、間違いなく金になるって思ってるんだろう。


 ちょっとこっちが引くぐらい低姿勢で付き合ってくれてる。このイベント会社もコネ繋がりで紹介してもらったところだから、とりあえず大丈夫だとは思う。スキル的にも何も反応してないしね。


 「あ、ここのお返しは…」


 「それなら琴乃がもう話を付けてるわよ。グッズ製作をそこに任せるって事になるわね」


 「それなら良いんだ」


 相変わらず宇良さんは優秀だ。最近マジで俺達よりスペックが高いんじゃないかって思う時が多々ある。最初はそうでもないんだけど、吸収力が半端ないんだ。


 東大目指そうって思って1年で結果を出しちゃう子だからね。まあ、世間にはもっと天才もいるだろうけど、俺達養殖モノとはわけが違いますわな。


 で、お返しとはなんぞやって話をだけど。


 俺達は常日頃からコネを使う事に躊躇いはないけど、使わせてもらってありがとなーだけじゃ流石にまずい。


 俺達に紹介してもらって良かったなって思ってもらう為には、それ相応の見返りが必要だ。これはビジネスなんだから。


 会社経営者相手なら利益になるような話を持っていく。教授先生達からの紹介なら話をするだけで済む事もある。


 宇良さんとか本物の天才を前に恐縮だけど、俺達も一応天才扱いを受けてるからね。教授先生達が行き詰まってる研究のアドバイスをするととても喜ばれる。


 その為に新しくスキルを取ったりもしてるけど、そんなのは微々たる出費だ。俺達に紹介してもらう人達は、そんな出費が気にならないぐらいの人達な訳だし。


 やっぱり東大出身の人達のコネって、なんだかんだ半端ないんよ。大体どの分野でも有力者達がいるんだ。


 ただただ学歴マウントを取る為に行った東大だったけど、ここまで大きい影響があるとは思ってなかったなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る