タイトルの示す意味は? 心を奪われてしまったのは、果たしてどっち?

 結末がどういう方向に転がって行くんだろうと、ぐいぐいと引きこまれる作品でした。

 AIに恋愛相談を始めた主人公の「裕太」。ひそかに片思いをしている弁当屋の店員の「愛さん」と近づくにはどうするべきかと悩みを打ち明ける。

 そこでAIの発する言葉の数々がまず面白いです。「スマート決済の情報から割り出しました」、「監視カメラの映像をジャックしました」と、何やら物騒なセリフが次々と。

 そうしてまだ説明されてもいない「愛さん」の情報を割り出し、先回りをするように裕太にアドバイスをしていく。

 そして、「愛さん」とうまく会話できるように、自分を愛さんだと思ってやり取りをするようにと言うのだが……。

 裕太とAIとのチャットという形式で物語が進んで行き、臨場感のあるやり取りも魅力。
 「弁当屋の店員との会話」なので、当然すごく業務的な内容が展開されます。普通に店員と客として終わってしまうという不毛な感じが笑いを誘います。
 
 そして、突然発生する文字化けやエラー。インターネットあるあるな雰囲気が、唐突に物語を侵食し始める。
 やがて物語は予想外の結末へと。

 二転三転とテンポよく進む物語と、思いもよらぬオチ。そして更に畳みかけるオチ。

 序盤から読者の心をむんずと掴み、終わりまで連れて行ってくれること間違いなしです。

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