星空プロダクション


 スカウトメールを見て、お嬢様はコクヨウを呼びつける。


「これは……す、すす、スカウトぉおお!? こ、コクヨウ! コクヨウーーー!!」

「ほう。この星空プロダクションとやら、お嬢様に目をつけるとはなかなかやりますね……」


 早速コクヨウが現れ、メールに目を通し眼鏡をクイッと持ち上げる。

 同時に、星空プロダクションについての評価をネットで検索・口コミ調査・現在所属しているB-Casterについての情報を確認。


「これ、偽物とかじゃないんですの?」

「BCGの運営を介しての問い合わせなのでそれは無いでしょう。ただ……言ってはなんですが、弱小の箱ですね」


 箱、というのは事務所プロダクション等で、グループを指す表現だ。大手有名どころで言えば『HoloSanzi』や『にじらいぶ』等。

 大手の箱に所属できれば、それだけで事務所についたファンたちがチャンネル登録してくれて、デビュー前から登録者数10万人を越えたりもザラである。グループの先達とのコラボだってできる。


 カロナの推しである天王寺ミカドも『にじらいぶ』の所属だ。

 (むしろ『にじらいぶ』が天王寺ミカドの起ち上げた事務所という説もある)



 今回話があった星空プロダクションについては弱小ではあるが、それでも企業枠。個人とは知名度が段違いだ。


「どうしますかお嬢様?」

「えっ!? ど、どうって?」

「一応、返信はするとして。この話を受けるのか、断るのかってことです」


 受ければ、企業所属のB-Casterになり、断ればこのまま個人勢。


「そ、そんなこといわれても、急には決められませんわ……!?」

「でしょうね。もう少し情報を集めたり、実際に話を聞いてみてから判断しても良いと思いますよお嬢様」


 確かに、現状だと弱小事務所だということしか分からない。


「……こういうのって、どうやって調べたらいいんでしょう?」

「実際に所属B-Casterの配信を見たり、雑談配信して視聴者に聞いてみたりとかどうです?」

「なるほど……」


 そうしてカロナはコクヨウと一緒に星空プロダクションについて調べ始める。


 現状、集まったデータは以下の通り。


  事務所名  :星空プロダクション

  所属B-Caster:3人


 星空アカリ

  赤いポニーテールと緑の瞳が目立つ女性B-Caster。

  明るく元気でおしゃべりな性格。戦闘スタイルは前衛。

  火の魔法を使って敵に炎をぶつけたり、火の玉や火柱を発生させたりする。得意な武器は、火の力が込められた魔剣。


 ユキ・スターダスト

  白髪のロングヘアと青い瞳が特徴的な女性B-Caster。

  冷静沈着で知的な性格。戦闘スタイルは中衛。

  氷の魔法を使って敵を凍らせたり、氷の剣や盾を作り出したりする。得意な武器は、氷の刃がついた長い杖。


 ソラ・ムーンライト

  黒いショートヘアと紫の瞳が印象的な男性B-Caster。

  クールで無口な性格。戦闘スタイルは後衛。

  風の魔法を使って敵に強風を巻き起こしたり、風の刃や竜巻を作り出したりする。得意な武器は、風の力が宿る弓矢。



「ううむ。そこそこバランスのいいパーティーですわね……っていうか、箱でパーティー組んで攻略してるのに、私も混ざる感じなのかしら? それとも、他にもスカウトされていて、2期生的な感じで新パーティーを作るのかしら?」


 むむむ、と考えるカロナ。


「カロナイトの皆さんにちょっと聞いてみましょうかしら」

「あ、その場合まだスカウトについては伏せて、さりげなく聞いてくださいね」

「おほほ、守秘義務ってやつですわよね! 常識ですわー!」


 あぶない、うっかりスカウトされたことを言うところだった。

 ……雑談配信をして、視聴者から星空プロダクションについて聞いてみようかしら。と、配信ツール画面を立ち上げた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――

(皆様ぁー!! 星空プロダクションについて(想像で)教えてくださいましー!! 雰囲気とかー!)


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