ペットを飼おう(VRゲーム版)


「先日ペットの話があったじゃないですか」


”ん? ああ、犬派・猫派で戦争になったやつ”

”結局セバス大勝利だったやつな”

”ネコもかわいいけどな? ネコと和解せよ”

”鳥もいいぞ。文鳥最高ー!”

”いっそうさぎも良いぞ。吸うぞ”

”馬鹿め、猫だって吸うわ”

”犬も吸うし?”


「ちょいちょいちょい。皆さま、ペットを吸うのは一旦置いといて私の話を聞いてくださいまし?」


 コメントが暴走してたので口をはさむカロナ。


「そんなわけで、私、ちょっとペットを飼ってみようと思いますの」

「!? お嬢様にはわたしがいますよ!?」

「コクヨウは大事なメイドですわ。ペットではありません」

「…………くぅっ! 喜んでいいのかどうか分からない!」


”コクヨウさんぇ……”

”ペットのように溺愛されたかったんだなって”

”さすコクヨウ”


「まぁそんなわけですが、実際のペットを買うにはとてもお金が、そして飼うには責任がかかりますわ。それこそちょっと飼ってみよう、など軽く言えませんわね」


”責任わかる。大事。命を預かるわけだし”

”一度手を付けたらちゃんと最後まで面倒見れない人はペット飼うべきではないな”

”買っといて捨てるとかありえんよな……”


「なのでこちら!!」


 ドン! とカロナはVRヘッドセットに入れたとあるソフトを見せた。


「VRでペットを飼える『子島』ですわ! 先日いただいたスパチャでおススメされて買いましたの! ありがとうですわー!」


”いいってことよ”

”お、電子ペット。”

”お、これあれだな。犬と猫の他にもウサギとかペンギンとかと戯れられるやつ”

”しかも島で、子犬とか子猫とかと遊べるやつ”

”ゲーム配信回じゃったか”


「本当はBCDでペット機能とかテイムとか実装されると嬉しいんですけど」

「だからお嬢様にはわたしがいますよね?」

「……そういえばAI秘書、動物タイプとかもあるのかしらね?」


 少なくとも猫耳があるわけだし、とコクヨウを撫でるカロナ。

 もっと動物っぽい獣人や、トカゲみたいなAI秘書もどこかには居るだろう。


”喋る犬とかいたな。四足歩行の柴犬で”

”そういうのもいるのか、幅広すぎだろ……”

”尚、吸うのがセクハラ扱いになって警告されてた”

”世知辛い……! 吸えないなんて……!!”


「ま、それはさておきゲーム開始ですわ!」



 ゲームがスタート。

 まずは小屋の中に現れた。


”おー、VRゲームの配信もできるんだ”

”お嬢の姿が見えないぞ? 一人称視点だな”

”あ、これ元々一人用のVRゲームだからこうなるのか”


「ええ、だいぶ前のゲームで、元は普通のVRゲームですわね……残念ながら今回は私の姿は出ないようですわね。画面酔い注意ですわー」


[コクヨウ]:”あ、お嬢様の姿を配信画面横に表示しますね”

”有能メイド”

”助かる”

”一昔前の動く立ち絵配信っぽさある。いいぞー”


 と、スタートした部屋の中に黒い柴犬とアメリカンショートヘアーの猫がいた。どちらも子犬、子猫で見た目がふわっふわとしている。


「おっ、早速第一ペット発見ですわ! 第二ペットも発見ですわ!」


[コクヨウ]:”もちろん猫の方が第一ですよね?”

”コクヨウさんwww”

”ブレへんなwwww”


「……この黒柴、黒いトコがコクヨウに似てますわー!」


[コクヨウ]:”ぐふぅ!? お、お嬢様、複雑な気分です!”

”斜め上からのパンチきたなw”

”お嬢、コクヨウさん弄りやめてもろてw”


 と、抱き上げるとちゃんと子犬が持ち上がる。


「むむ、リアル触感ではないですが、コントローラーごしに触ってる感じありますわ」


”古いゲームだししゃーない”

”でも配信画面通してみる分にはイッヌさんやで”

”かわいい”

”吸いたい”


 子猫の方も撫でたりしてみていると、餌を要求するアイコンが2匹の上に浮き上がってきた。


「餌がありますのね。えーっと、お、これは餌缶? これを餌皿にあけて、っと。お、お、寄ってきましたわね。さ、おあがり?」


 餌を入れた皿を床に置くと、子犬と子猫ははくはくとそれを食べ始める。


[コクヨウ]:”お嬢様手づからの餌やりとかそこかわってください”

”だからコクヨウさんwww”

”ほんまお前さんはよぉwwww”


「あー、癒されますわぁー……可愛らしいこと!」


[コクヨウ]:”わたしだってお嬢様の手からご飯食べられますもん!”

”もん、じゃねぇwww”

”俺だってお嬢の手からご飯くれたら食べるわ!”

”それただの「あーん」では?”


「へー、ロケーションを替えて部屋の外に出れますのね。というか、実際にやったら狭い室内で歩くのも一苦労なところ、BCDでやると制限なく好きに歩けるのがリアル感マシマシでいいですわね」


”あ、それは良いな”

”没入型でVR機器エミュレートしてる強みよな”


「島の探索ですわー!」


 とはいえ、このゲームは特にストーリーがあるわけでもなく、ただ動物たちと戯れるだけのゲームである。釣りをしたり、ボートに乗ったり、ボール遊びしたり……

 カロナはのんびりと動物たちと遊び、いつしか犬派とか猫派とかの話はすっかり忘れていた。


 そして本日のハイライト。


「カピバラ! カピバラですわよ!? こんなのもいますのねぇ!!」


”お嬢過去一ウキウキで草w”

”これはカピバラ優勝だな”

[コクヨウ]:”お、お嬢様ー!? 猫は、猫もよろしくお願いしますってばぁ!”


 まぁダンジョン配信者にも穏やかな休息は必要なのだ。うん。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

(あ、10万字いった。やれるもんですわねぇ……


 あとがきとかで稼いだ分がありますし、もう少しやっときますわ!!



 そして前回のコメントを見るに、皆様方カロナイトはなんか猫派多いですわねぇ? コクヨウ、なにかしまして?)

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