第79話 死闘
一気に突っ込んでいき。緩んだ首元に急接近。それを援護しようとほかの首が向かってくるが、一瞬でその首を切り落とす。
「すごいですからすみさん」
「璃緒こそ」
そして、首を切り落とした後、別の首へと璃緒が突っ込んでいく。
璃緒も、俺に負けないくらいの剣さばきでもう一つの首を切り落とした。もう少し──そう考えて璃緒とアイコンタクトを取り同時に八岐大蛇へと突っ込んでいったとき、八岐大蛇はこっちを睨んだまま後方にジャンプ。
背後にはないもなければ、罠のような魔力の気配もない。行くしかない。
そして後ろを向くと、加奈とろこはコクリとうなづいて再び八岐大蛇に攻撃を放つ。
2人の攻撃は人質への直撃を避けて、その首に直撃。爆発した首の口元から、さっきと同じ様に人質が地面に落下。そして、その首元まで迫ろうとする。
その首を切り落とせばもう人質はない──後は残りの首を切り落とすだけ。
「行きましょう!」
「ああ」
そう声をかけて。1歩踏み込んだその時だった。
「何?」
八岐大蛇は俺たちを飛び越えて、加奈とろこの方へと大きくジャンプしていった。予想しなかった行動。
「逃げろ!」
そう叫んだが、急な行動だったせいか2人は逃げることができなかった。
いや、2人の足が震えている。さっきまでは有利な状況で何とかなっていたが、状況が悪くなってトラウマがなぶり返してきたのだろうか。
「からすみさん」
「そうだな」
八岐大蛇のところへ行こう。間に合えばいいのだが。
それから2人が八岐大蛇と交戦するが、どこがぎこちない。今までの2人なら、踏み込めるような場面でも引いて戦うような場面が連続していく。
表情も、だんだん引きつっているのが目に見えてわかる。
「やっぱり、引かせた方がいいんじゃないですか?」
「いつもの2人ではないみたいなのじゃ……」
璃緒とネフィリムもそれに気づいたようだ。このままだと、2人は実力を発揮できないまま致命傷を負うことになってしまう。
仕方がない。一気に2人の元へと向かっていった。俺が八岐大蛇の前に立とうとした時、すでに八岐大蛇は2人に急接近している。
やはり一方的な展開、猛スピードの突進が2人に直撃。慌てて障壁を張ったものの、一瞬で障壁は崩壊。2人は崖の下に吹き飛ばされ、その先に歩きに叩きつけられた。そして、そのまま倒れこんだ2人に八岐大蛇が突っ込む。
「まずいです」
「俺が行く」
そして、両足に魔力を込めて2人を守るために大きく飛ぶ。間一髪で間に合い、2人の前に立ちはだかった。
そして、代わりに攻撃を受ける。こっちも力負けしないよう、思いっきり攻撃を放つ。全力で攻撃を放ったおかげで、何とか相打ちまで持ち込んだ。威力を殺しきれず、体が数メートルほど後退し体が加奈に当たるた。追撃を防ぐため、八岐大蛇から目を離さず立ち上がる。一瞬だけ後ろを振り向くと。後ろには明らかに罪悪感を感じている2人の姿。
「澄人君、本当にごめん」
「いや、2人は悪くないよ」
2人を何とか励ます。そうだ、自分の状態をわかってて、勇気を出して戦っている。2人はここに来なかったら、あの時点で俺たちは負けていた。
2人の頑張りは、決して無駄なんかじゃない。2人の勇気を無駄にしないためにも、俺たちが何とかしないと。もう1度2人の方に振り返って、笑みと作っていった。
「絶対、守り切って見せる。加奈とろこが出してくれた勇気、無駄にはしないから」
「そうです。加奈さん、ろこさん。カッコよかったです、後は、私たちに任せてください」
璃緒も駆けつけて──剣を八岐大蛇に向けた。
再び戦闘開始。八岐大蛇は口から光線を吐く。人質がいなくなったおかげで放たれる光線は8つ。
さっきまでと違って口が開いた瞬間にこっちに向かって放たれる。
どれも一撃でも食らったら致命傷になりうる威力。それでも、逃げるわけにはいかない。ネフィリムの援護で2発ほど爆発して残り6発。攻撃をかいくぐって、腹の正面へ。
「援護するのじゃ。ミラージュライト・ストーム!!」
「ありがと」
さっきよりタメが少なかったせいか、威力が低い。だから今のネフィリムの攻撃で相打ちに出来たみたいだ。
「行きましょう!」
「うん」
お腹の前に突っ込んだ俺と璃緒。璃緒と一緒のタイミングで攻撃を放つ。
「集いし願いの結晶よ・今悠久の時を超え、聖なる力を放て・スターダスト・スレイシング!!」
「満たされぬ輝きの力よ、光届かぬ闇より力を放て!! ダークナイト・ブラット!!」
俺と璃緒の完璧な攻撃。八岐大蛇の腹は大きくえぐれ、血しぶきがこっちにかかる。崖から大きく落ち、奈落の谷底へ。
ようやく八岐大蛇に致命傷を与えられた。回復するスキを与えることなく、一気に倒そう。
「行こう」
「はい」
璃緒と一緒に、谷底へと進む。
手負いになった八岐大蛇、倒せるチャンス。罠が来るかもしれないことを警戒しながら、八岐大蛇に迫る。
しかし、八岐大蛇もただでは倒されないようだ。
「グォォォォォォォォォォォォォォ──」
一瞬だけ灰色に光ったと思ったら、傷口が治って──再び光線を吐いてきた。
魔力で傷を治癒したのだと思うが──一瞬で治すとは。
光線はまた8発、しかし背後から加奈とろこが援護してくれて、半分も消し飛ばしてくれた。
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