日常

@kazungoro

少女

僕はとある田舎のそこそこ栄えてるところに友達と旅行に行っているんだけど、そこで無気力な少女と出会って旅をしている。彼女は美しい景色とかおしゃれな喫茶店とか恋愛話とか同い年の女の子が感情を揺らしそうなことに何も興味を示さない。僕がちょっとエッチないたずらをしても無反応。その代わりに藪はとても好きなんだと。ええ?なんでw?とちょっと小馬鹿にした感じで聞いたら、何でもかんでもあなたの想定した私を押し付けないでってつまらなそうに言われた。その時、プロジェクターで投影したかのような彼女の姿を見たんだ。中身はなくただのハリボテの白体に外側から光を当てて実体を形成しているように見えた。その次の瞬間にはまた普通の身体の人に見えていたけどね。そうこうしているうちに山に登ることになった。登山家が攻める山というよりも、そこそこ整備されていてハイキングとかで結構賑わっている山。眼下の美しい湖畔を見ても案の定彼女はなんの興味も示さずスマホの充電が切れそう…と呟いていた。じゃあ充電器を探そうということで、探していたんだけど山の中に充電器などあるわけもなく降りてから充電しようよと提案すると、嫌だとかなり強い拒否反応を示した。ヒステリーみたくなるんじゃなく物静かに、だけど今までで一番感情が動いていたと思う。僕はとてもがっかりした。そんなスマホの充電ごときが一番感情を動かす要因になるのかと。なにかこう一気に冷めたんだけど、と同時に自分を振り返ってみて自分もスマホに多くを依存しているからな。とよくわからない理由をつけて充電器を探し続けた。多分彼女の感情の大きな波を逃したくなかったのかもしれない。程なくしてなぜかコンセントに刺さった充電器が見つかり僕は驚きとともにとても喜んでいた。ふと彼女を見てみると、また出会った頃のつまらなそうな顔をしていた。僕は少し苛立ちに似たような感情を覚えていた。この辺りでこれが夢だと気づいた。もう少し続きを見たいと願うが、それを頑なに拒否するかのように目が覚めた。もう彼女と会うことはないのだろう。僕のいつもの日常が幕を開けた。君だったのかと思った。

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