第十話 蜥蜴人の族長
湖沼地帯は、湖や沼が無数にある低地の湿地帯に森林が点在しており、多数の両生類や爬虫類の生物が生息していた。
程なく、飛空艇は
飛空艇は、集落の直上で停止する。
「着いたわよ! まずは挨拶代わりに!!」
そう言うと、
飛空艇の大砲から斉射された砲弾は、集落の外側を囲むように着弾し、轟音と共に爆煙を巻き上げる。
ジカイラ達が飛空艇の船舷から下の集落を見ると、驚いた蜥蜴人達が住居から飛び出し、集落の中心に集まって上空の飛空艇を見上げながら気勢を上げていた。
ジカイラが呟く。
「・・・なかなか手荒い挨拶だな」
「集落の中心に強行着陸するわよ!!」
ホドラムがジカイラ達の方を向いて、ぼやく。
「手荒いなんてもんじゃない! 無茶苦茶だな!!」
海賊旗を掲げて高度を下げてくる飛空艇に、
飛空艇からデッキを降ろし、ジカイラ達は
ジカイラ達の周囲を
ジカイラと
ジカイラが口を開く。
「話がしたい! 言葉が判る者は居るか? 族長は何処だ!!」
「コイツらに話が通じるかしらね?」
ジカイラは、
「・・・通じなければ、一戦やるしかないな」
しばらく睨み合いした後、一体の
「
ジカイラと
「私達は海賊ではありません! 私は、自治都市デン・ホールン領主の娘、ツバキ・デン・ホールン! あなた方
「フン! 我が娘を攫った人間どもなど、生かしておけん! 皆殺しだ! 覚悟しろ!!」
族長の言葉に
ツバキが声を張り上げる。
「娘さんを誘拐したのは、私達ではありません! 誤解です!!」
族長のダグワ・ドルジが言い返す。
「あの時、集落の男達は漁に行って居なかった! しかし、女達が目撃したのだ! 『全身黒ずくめで丸眼鏡の人間達が娘を攫って行った』とな!!
「全身黒ずくめで・・・丸眼鏡って・・・」
ジカイラは、族長の言葉を聞いてピンときた。
ジカイラの他にも、ヒナやケニー、ティナも気がついたようで、互いに顔を見合わせる。
ジカイラが族長のダグワ・ドルジに問い質す。
「おい! 今、『全身黒ずくめで丸眼鏡の人間達』と言ったな!? そいつらは、猫背の『せむし男』で、両手の指先の爪が長くて、刃物みたいになっていなかったか!?」
族長のダグワ・ドルジがいきり立つ。
「何故、お前がそれを知っている!?」
ジカイラ達には、心当たりが合った。
全身黒ずくめ。
猫背の『せむし男』で、両手の指先の爪が長く、刃物みたいになっている者達。
暗殺と破壊工作の専門部隊。
革命党秘密警察の戦闘員達だ。
ジカイラが族長のダグワ・ドルジに向かって言う。
「そいつらは、オレ達も探している奴等だ! しかし、此処に居るツバキ達のデン・ホールンの街は関係無い! 襲う相手が違うぞ! 勘違いするな!!」
族長のダグワ・ドルジは、持っていた両手剣を降ろして数歩前に出て、口を開く。
「どういう事だ?」
ジカイラも構えていた
「詳しい話をしよう」
ジカイラと族長のダグワ・ドルジのやり取りを見ていた
「どうやら、
ジカイラ達は、
ジカイラ達は、ツバキとホドラム、
無論、ラインハルト皇帝から受けた探索の勅命については、彼等には伏せた。
あくまでジカイラ達は『巡礼者一行』だという偽装を崩さなかった。
話を聞いた
そして
「・・・なるほど。我が娘を攫ったのは、『革命党秘密警察の戦闘員』という奴等なんだな?」
ジカイラが答える。
「・・・そうだ。ほぼ間違いない。」
ダグワ・ドルジが、ジカイラ達を睨みながら話す。
「それで、そいつらは何処に居るんだ?」
ジカイラは、ツバキとホドラム、
「ここいらで、犯罪組織が潜伏できる規模の街といったら・・・」
ホドラムが口を開く。
「港湾自治都市群の中核都市、デン・ヘルダーだろうな」
ジカイラが呆れたように口を開く。
「・・・繋がったな」
ホドラムも理解したようだった。
「ああ」
ティナがジカイラに尋ねる。
「ジカさん、どういう事?」
ジカイラがティナに教える。
「こういう事さ。中核都市のデン・ヘルダーの領主は、帝国政府に追われている秘密警察の残党を匿う代わりに、秘密警察に
ティナが感心する。
「・・・ジカさん、凄い!」
ジカイラが照れながら答える。
「まぁな。中核都市のデン・ヘルダーの領主がツバキを愛人にするために、秘密警察の戦闘員に族長の娘を誘拐させて、デン・ホールンを襲わせたってところだ」
「・・・それで、どうするつもりなの? 中核都市のデン・ヘルダーなら、傭兵も大勢抱えているわ。 この人数で攻め込んでも、落とせないわよ?」
ケニーが意見を言う。
「まず、族長の娘さんの居所を探して助けよう!」
ルナも口を開く。
「私も同じ意見です。捕まっている娘さんを助け出しましょう」
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