第61話再会
レイナと別れたあと私達は奥に進む。
敵の奇襲等はなく、問題なく木々の間を進む。
森を抜けると湖が見えた、横には複数のテント……ペドフィリアの野営地だ。
「アン・ガールの言った通りてしたね…」
「私がわからせたのです、偽りなど言えません」
「しかし……罠でしょうか?敵は先程のユリアン殿一人だけでしたし……」
アレクさんの疑問は最もです、ここは敵の本拠地、警備の者がまるで居ない。
少数精鋭にしたって少なすぎる、罠だと考える方が自然でしょう。
「後方の警備に人を割く余裕がないのでしょう、ペドフィリアは少数精鋭ですが、こちらには数の利があります」
今は互角ですが数の暴力で戦況は覆る、あと数日の内に、それはペドフィリアもわかっているのでしょう。
「彼等が勝利するには短期決戦しかありませんからね、戦力の殆どを前線に出したのでしょう」
「もう一つ勝ち筋がある……」
男の声がした。
私達が声の方を見ると小さな女の子を連れた、 ブを身に着けた男が居た。
「お前を殺す事だ……聖女よ」
「貴方が……幼女神…」
私は一目見て男の正体を察した。
ペドフィリア特有のネットリとした気配、そして強い意志と性癖へのこだわりを感じる。
「そうだとも聖女よ……フェイク聖女に挨拶を…」
幼女神の後ろに控えていた少女が前にでた。
ウルフカットの茶髪な女の子だ、年齢の割にやや筋肉質に見える。
「マキシマムさん!」
私の問いかけに彼女は答えない。
「はじめまして……ペドフィリアの三幼星…フェイク・ガールです……」
何と言うことでしょう?
完全にわからせた筈のマキシマムさんが!
私の言葉を無視した、あり得ない事です。
「予想より強い洗脳を施したようですね……」
ああ……
ペドフィリアに幼女にされただけでなく、心まで壊されてしまったのですね。
「聖女を殺せ!」
幼女神の命令に機械的に剣を構える。
「マキシマムの相手は私がします、アナ様は幼女神を!」
「ええ、遠慮はいりません!即死で無ければ何とかします!!」
私の言葉にアレクさんは頷き前に出る。
「死んで……」
マキシマムはそう呟くと打ち込んできた。
「その剣筋………やはりマキシマムか……」
一撃受けてアレクさんは確信したようです、思えば仲間になって以降、幾度どなく二人は剣の稽古をしていました。
「思い出してくれ!その剣はアナ様を護る為に二人でしたものだ!!」
「何言っているの?綺麗なお兄ちゃん?私の剣はペドフィリアの大きなお友達を護る為に……」
――お兄ちゃん
――お兄ちゃん
――お兄ちゃん
とんでもない破壊力です。
もとの姿を知らなければニヤけていたところでしょう。
アレクさんもお兄ちゃん呼びに動揺しているようで、わなわなと震えています。
「正気にもどれよ!お前そんなキャラじゃなかっただろうが!」
アレクさんが動揺の余り言葉があれてしまいました。
そして次のマキシマムさんの言葉に、私達二人は脳を破壊されてしまった。
「竿の大きなお兄ちゃんか……チュキかも……」
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