7.

「はい、昴あーん」



「うぅ…宇都宮君、それ恥ずかしいよ」



「なんで?昴の好きないちごアイス食べたくないの?」



「じ、自分で食べれるよ?」



推しとの距離感大事って言っていたのは誰だっけ?

はい、僕です。

そしてその言葉と行動が矛盾しているのは誰だっけ?

はい、僕です。


そうです、僕が宇都宮君にあの日一緒に帰る約束を断れなかった為に今では週4のペースで宇都宮君と一緒に帰っています。


いや、推しと一緒に帰れるなんてなんて幸せ者なんだって思うよ?なんなら数週間前の僕も思ってたよ?


でも、でもね、もう僕の心臓がドキドキしすぎて疲れてしまったのです!!

だから少し休憩したいのが本音なのです。

やっぱり僕には陰ながら宇都宮君を眺めてる方がよかったみたいです。


ニッコニコな笑顔で僕を見てくる宇都宮君を指の隙間からチラ見する。

……うぅ、相変わらず推しがカッコイイです。



「昴?顔隠してたらアイス溶けちゃうよ?」



「………」



「昴、もしかして俺といるの楽しくない?最近昴がちゃんと話してくれるようになったから俺に慣れてくれたのかな?とは思ってるけど…やっぱり迷惑だった?」



「め、迷惑だなんてそんな!!」



「それならよかった…昴とこれからも仲良く過ごせるんだね」



「な、仲よく…」



「あれ?友達だと思ってたのは俺だけ?」



「と、友達!?」



「うん、そうでしょ?」



「そ、そうだね!!宇都宮君と友達になれて僕は嬉しいよ!!」



まさかの推しに友達認定されてました!!恐れ多くてお腹がキリキリしそう。

けど普通に友達って言ってもらえるのは嬉しいね。

推しだけど友達がふえました。


さようなら陰ながら宇都宮君を眺める日々を過ごす僕…。



「じゃあ昴が俺の事を友達認定してくれたしカラオケでも行こっか」



「へっ!?か、カラオケ!?」



「うん、昴歌上手なんでしょ?三島から聞いたよ?」



突然何故カラオケ??

いや宇都宮君の歌声ずっと聴いてみたかったから聴けるのはありがたいけどね!!でも正直僕は人前では歌うのあまり得意じゃないんです。


あと将人、僕が歌上手いなんて適当な嘘つかないでよ…。



「ぼ、僕人前で歌うの苦手なんだ…あと歌上手いっていうのは嘘だから」



「そうなの?でも三島とはカラオケ行ったことあるんだよね??」



「い、1回だけ…桜ちゃんに連行さたことがあって…」



「桜ちゃん?」



「あ、将人の彼女さん…同じ大学の」



「ふーん、じゃあ昴の歌声聴いたのはその2人だけなんだ。じゃあ俺にも聴かせてくれるよね??」



「ひゃい」



ニッコニコな笑顔で推しにお願いされたら僕はもう断われないよ!!うぅ…推しの笑顔が尊い!!


でもなんだか宇都宮君のキラキラオーラが一瞬ブラックに見えたのは僕の気のせい…だよね??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る