第11話推しが目の前に

縛られている。私の眼前に、立花杏の兄が、血を流して

倒れている。「はぁーはぁーはぁー」微かに、か細い

息を吐きながら。生きようとしている。立花杏の兄の

体を思いっきり、腹を蹴り飛ばす。「ぐぁぁ・・・・・・」

言葉にならない。声が、口から洩れる。「いやー先を

越されちゃたよー」立花杏の兄を蹴り飛ばしながら。

まるで、私を助けにきた。みたいな登場の仕方を

してくる。胡散臭い奴が出て来た。「いや‼君が

立花さんを殺した。一葉さんだねぇ」「何故、私の

名前を知っている?」私の疑問に、胡散臭い男が、

胸ポケットから。私の生徒手帳を出す。「どこで?」

「君が、家から、この男に連れされる所を。たまたま

 見かけてねぇ~」「たまたま?・・・・・・」眉間を

 狭くしながら。私が、尋ねる。「そこで、たまたま

 本当に、たまたま。拾ったんだよ」「そうですか・・・・・・」

 本当に、たまたまなのかは、疑問だけど。ということは

 私が、立花杏を殺した犯人だって。気づいているのか・・・・・・

 「まさか、キミが、立花さんを殺すなんて思わなかったよー」

 「なんで・・・・・・ころしたのかなぁ?」不適な笑みで

 私を見つめる。顔は、笑っているけど。目の奥が、全然

 笑っていない事に。私は気づいた。「教えたら、私を縄を

 解いてくれるの?」私が、男に尋ねると。男が、突然

 「ふふう・・・・・・」不気味に笑う。すると、目の奥の

 黒色の瞳が、さらに真っ黒になる。すると、男は

 「君を殺して、私は、今度こそなれるんだ。完璧な殺人鬼に」

 何かに浸るような恍惚の表情を浮かばせる。「君は、ここ

 最近、世間を騒がせている。少女連続殺人事件を知っているかな?」

 その言葉がでるなんて、驚く。私は、生唾を飲み込み。「テレビで

 報道されてる。内容までは・・・・・・」嘘だ。本当は、もっと

 知っている。でも、これ以上。アイツより、詳しいなんてバレたくない。

 だから、私は普通に答える。「そうか・・・・・・まぁ、その

 くらいか・・・・・・」男は、顔を天井を向けて。ゆっくりと

 笑い出す。「ふふふ、ふっふふ・・・・・・」男が、笑い。

 その後で、私の方に近づき。私の耳元で、甘く囁く。

「実は、私ねぇ・・・・・・その少女連続殺人の犯人の

推し活をしているの」「はぁ?」「私も、あの人みたいに、色んな

バリエーションで、人を切り裂きたいの~」まさかの答えだった。

私と同じで、やる事も一緒で。少しでも、推しに近づきたいから。

人まで殺して、推しと同じ景色を見ようとした。今、私の目の前に

推しが一緒の同族がいた。「だから、君に聞いたでしょ」「何を?」

「君も、あの子を殺したいの?ってさぁー」

「あぁ、あの時のアイツか・・・・・・」私が、立花杏を殺して。

 その殺害現場を遠くで、見つめて。そのまま、その場を後にした時。

 公園の出口の近くにある。ベンチで、鳩に餌をあげる。男に、そんな

 言葉をかけられた。「君も、僕と一緒だね」微笑み男に、私は

 「一緒にするな」と言葉を吐き出した。「そんなに、怖い顔

 しないでよ。せっかくの可愛い顔が台無しだよ」私の頬を自分の

 白いハンカチで拭こうとして。その行為を私は、拒絶した。

「僕は、好きだよ。その反抗的な態度♡」気色の悪い言葉をかける。

男は、私を置いて。立花杏の兄が倒れている場所に戻った。

「じゃあ、キミを殺すのは、後でいいか~。まずは、この男を始末

 しないと・・・・・・」男が、立花杏のお兄さんの体を持ち上げようと

 した。次の瞬間。ドカッと大きな音が建物全体に響く。

「何?今の・・・・・・?」辺りを見渡す。私と、何かを警戒しだす。

男。「まさか、警察がここに・・・・・・」そう言った瞬間。グサッ

「はぁ?」それは、一瞬の出来事だった。男の腹に、大きな鉈が差し込まれて。

 それを思いっきり引き抜き。その瞬間。男は大量の血をだしながら。

 その場に倒れる。その後ろから、何か、神々しい。お姿が、私の

 前に立たれる。「あなたは・・・・・・まさか・・・・・・」興奮する。

 私の眼前に、現れたのは。あの愛しの殺人鬼様だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る