第2話 愛さんを尾行する
入学式を終えてからクラスメート全員が自己紹介したんだが、俺は
俺は絶対、愛さんを彼女にする。たとえどんな手を使っても…。
放課後になり、愛さんが教室を出たので俺も後を追う。尾行の目的は彼女の家を知る事だ。愛さんはどこに住んでるのかな~?
……校門を出て間もないが、まったくバレていない。警戒心なさすぎだろ。今の君は、俺というハンターに狙われているんだぞ。
このままだとヌルゲーすぎてつまらんな。…そうだ、愛さんの後姿を動画にしよう。何でも良いから形に残したいし。
過激なシーンを撮るのは、これからのお楽しみだ。
進行方向からして、愛さんは駅に向かっている。俺と同じ路線を使って通学するとは、何という偶然だ。俺の彼女に相応しいぞ。
駅に着いてからは動画を撮るのを止め、少し離れた距離で愛さんを見つめる。駅員とかに不審者扱いされやすくなるからな。
…彼女の後ろ姿をずっと観ていると、スカートの中が見たくなる。気が利いた風吹けよな。そう文句を言わざるを得ない。
なんて考えてる内に電車が来たので、同じ車両で違う出入り口から乗車する。
…ようやく愛さんが下車したので尾行を再開させる。どうやら彼女は俺より遠くから通学するようだ。高校を起点とした場合、俺の最寄り駅は2駅目になるが、愛さんは5駅目になるからだ。
愛さんは1度も振り返ることなく、住宅街を歩いている。駅からそう遠くないのが幸いだが、住宅街は時間を潰すところがないのがキツイ。
つまり、偶然を装って会うのが難しいのだ。これは悩ましい問題だぞ。
そしてついに、愛さんはある一軒家に入っていった。ぱっと見だが良い家じゃないか。間違いなく、俺の家より数ランク上だな。
何はともあれ、愛さんの家みーつけた!
俺は念のため、愛さんの家の前を通って表札を確認する。あり得ない思うが、入った家が如月家じゃない可能性を考えたのだ。
…ちゃんと“如月”って書いてあるな。これで一安心。
家の前でUターンするのは不自然だから、一旦通り過ぎて別の道でUターンだ。そう思った時、犬に吠えられた。うるせーな、どこの犬だ?
声のほうを観ると、愛さんの家の敷地にいるミニチュアダックスが吠えている。どういう性格の犬か知らんが、俺の下心が読まれてるとか?
…まぁ良いや、あの程度の小型犬に吠えられても怖くない。尾行を終えた俺は、さっきの駅に戻る。
自宅に戻る際中、ある事に気付いた。犬がいるって事は散歩するよな? 散歩するとしたら、愛さんかその兄弟、または母になるだろうか?
張り込んでる時に偶然愛さん家族に会ったら適当にごまかすとして、その後の会話に犬を利用すれば良い。話題にはもってこいだろ。
愛さん以外の家族と距離を縮めれば、結果的に彼女と接しやすくなる。…このプランで行こう。張り込む頻度は、俺の気分と状況次第だ。
方針が決まってスッキリした俺は、軽やかな足取りで帰宅する。
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