応援コメント

第29話 予言――稀代のモテ男、十蘭」への応援コメント

  • 名前を見てて思い出したんですが、久生十蘭には「ハムレット」という、そのままずばりな短編があります。公演中の事故で頭がおかしくなってる(と思われている)役者と、その妄想につきあって、ある事件のことを調べる主人公、及び関係者達が織りなしている心理サスペンスっぽいミステリー、という内容なんですが、話がすごく錯綜していて、「狂人ネタの芝居に没入している狂人」を相手にしているうちに、みんなだんだんおかしくなっていって、筋書きそのものが本家「ハムレット」のパッチワークみたいになっていく、幻想小説と言ってもいいような作品、だそうです。

    「だそうです」、というのは、私はその話を読んだことがないからで、なのになんでここで取り上げるかと言うと、この久生十蘭の「ハムレット」をさらに下敷きにした、知る人ぞ知る迷作がありまして、そちらを読んだからです。樺山三英の「ハムレット・シンドローム」です。基本設定が久生作品とほぼ同じで、作中でも繰り返し旧作に触れられていますが、話の錯綜ぶりにさらに磨きがかかっている作りになってるんだそうで 笑、正直、私は筋書きなんてすっかり忘れてますが、しまいにはなんだか全員が「私は誰?」状態になりつつ、なおも芝居をつづけていく、みたいな、すごいカオスになってたような印象が。
    で、特筆したいのが、こんなイカれた幻想小説がどこから出版されているのかと言うと、なんとガガガ文庫なんですね。いやもう、国書刊行会の仕事でしょ、と思うんですが、あのレーベルは妙に懐が深いところがありますねー。初期の電撃っぽいと言うか。

    という、小ネタを語りたかっただけで、本文並みの長さで書き込んでしまいました。まあ、作品同士の関連を語っても、久生十蘭、ネタがつきませんね、ということで。

    作者からの返信

    おお、樺山三英がそんな本を出版していたのですか。
    国書刊行会か、せめてハヤカワ文庫から出してくれないとわからないですよね。

    このエッセイは、読者さまからいろいろな本を紹介してもらえて、そこも楽しかったです。