第47話 ナターシャの……
俺、美空遥はスタッフオンリーの奥にある会議室のような場所にてスーツを着たお偉いさんからの指示を受けていた。
「にわかには信じがたいけど……君、ほんとになんもしてない?同性だからって、今時許されるようなことじゃないんだけど」
「いやその、許されるも何も、私のほうが引っ張られて頼まれたというか、まあ私にとっても渡りに船だったというか」
どうやら古閑さんは、イベントを催すに際して重要な人物だったらしい。お若いのに、ご立派に……
というか、あれだな。これ取り調べを受けてる犯人みたいな……もしかしてかつ丼とか出てきたり?そういう感じの緊迫演出てきーなテキーラ?
「何ににやけてんの。真面目に聞いてる?」
「はい!カツはマシマシで!」
「聞けや」
「うぃっす」
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「もーナタちゃん!いままでどこ行ってたのさ!ステージ出番もすっぽかしちゃうし」
「……すみません。ちょっと体調が悪くて」
「嘘。ナタちゃん今朝ぴんぴんしてたでしょ。なんなら自分で今日は気分が最高だって言ってたし」
「あれから、カレーを食べて体調を崩してしまって」
「それも嘘。仮にそうなんだとしたら、私は真っ先にナタちゃんといた彼女のことを疑うけどね」
「それはッ!」
「ほら、一体どういうことなの?お姉さんに話してみ?」
私の一期上のミナさんが優しい口調で、しかし真剣な表情で私に問いかける。正直今回ここまでスタッフさんに怒られる要因を作ったのは全部私だ。ハルはただ私に振り回されて付き合ってただけに過ぎない。
けど改めてその事実を噛みしめると、気持ちが下がるというか……
「あの……前に話してたネッ友いるじゃないですか」
「ああ……ゲームしたり音楽語ったりとかしてる子でしょ?」
「はい。実はさっきの彼女がその子だったんです」
「なるほど……ナタちゃんはあんまりわいわいしに行く人じゃないし、一緒にご飯食べたりしてるってことは多分本人だって確証ができてるんだろうけど、だからってイベントをほったらかしていいとかってさ。違うでしょ」
「……おっしゃる通りです」
「せっかく前もって準備して大勢の人が作り上げたものを、それだけで壊しちゃうんだよ。正直、仕事なめんなって思った」
ぐうの音もでない。もし最初に声をかけた人がハルじゃなかったら、きっともっと多くの時間迷惑をかけていたと思う。そもそも、私がペアチケを断ってるんだから、それから執念深く探すだなんて、見当違いだったんだ。
「はい!私の話はこれでおしまい。ここからは激談義の19:00からの歌ステについてのお話です」
「はい。如何様にもしてください……」
「じゃ、決定だね」
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「なんだかんだてんぷらを食べてくると、やっぱり蓮根なんだわな」
「いやいや、ここは長いもですよスタッフさん」
「ふん、エビとかほざくかと思ったら、なかなか渋いところを突いてくるな」
「そちらこそ……」
俺が勝つ丼の話ばっかりしていたら、スタッフさんとなんやかんやあっててんぷらの中で何が一番うまいかを語り合っていた時だった。
がちゃりと扉が開いて、古閑さんと……金髪の綺麗なお姉さんが入ってきた。
「や、少女。元気してる?」
「はい。絶賛お腹がすいております」
「僭越ながらわたくしも……」
「なんでスタッフさんも?まあいいわ。あなたにお仕事よ。ちっちゃい少女」
「ちっちゃい言うな!って、お仕事って?」
「この古閑ちゃんと、今日だけナターシャちゃんのサポート役になってほしいの」
「「え……え!?」」
なぜか古閑さんも驚いていた。
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Vtuberとかタレントさん系のお仕事書くのがむずいのと、受験もあるので更新頻度が下がりそうです
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