第16話 知らないっ!

居間の掘り炬燵に足を入れて、僕達は三人で固まっていた。

僕の隣に東山さん。

対面に西河。

玄関の隅には、『プレアデス君』が伏せてじっとしていた。

寒そうにしていたので毛布をあげたら、喜んで噛みついて振り回してからくるまっていたので、気に入ってもらえて何よりです。

でも、僕の使い古しなんだけど何がそんなに良かったんだろうか?


西河に押し切られるように、三人と三匹で僕の自宅へ。

小さな、一人暮らしの二階建て一軒家。

元は大きな農家の造りだったけど、維持が大変だったので祖父の代で減築しながら改築していて外見よりは住みやすくなってたりはするけど。

庭はソコソコ広かったりする。

前庭には畑が少し有って、ガレージ代わりの整地して屋根の付いたスペースが。

裏庭には、果樹を少しと木の実が成る雑木林。

脇には、小さな二階建ての物置き兼作業小屋と同じく小さな土蔵が。

典型的な農家の建屋で、広い敷地の真ん中にポツンと家が建っていた。


「………………………………………………」

「………………………………………………」

「………………………………………………」


気不味いっ!自分の家では無いみたいに、気不味い。

にも関わらず、法川さんに僕は睨まれ続けている。

僕が何をしたって言うんですかっ!


ピンポ〜ン!


呼び鈴がなると同時に、


「は〜い、今行く〜!」


西河が躊躇いもなく玄関へ駆け出して行く。

思わず法川さんと顔を見合わせる。

二人で頷いて、遅れて玄関へ。


法川さん?

何で僕と手を繋ごうとするんですか?

無意識ですかそうですか。


黒服サングラスの男女二人が大きな段ボール箱と紙袋をいくつか抱えて開け放った扉を潜って、西河と話していた。


「アリガトね、あと、私の着替えとお泊り道具一式を後で持ってきてね!」


「????????????????」

「????????????????」


着替え?

何の事かな?

お泊り道具一式?

どういう事かな?

まさかね!


「………………………………………東山君っ、私もお泊りするからっ!」


僕の手をギュッと握り締めながら叫ぶ法川さん。


「えっ、あっ、なっ…………………………」


「へぇ〜、法川さん、着替えは、お泊り道具一式は、どうするのかな?」


「………………………………………一度帰って、取ってくるわよっ!」


「へぇ〜、その間、私と東山君は二人っきりだ〜?」


「………………………………………………」

「………………………………………………」


「冗談よ、そんない怖い顔しないでよっ!」


「えっ、あっ、なっ…………………………」


「着替えとお泊り道具一式は、二人分ね。彼女に合いそうなのを下着も入れてすぐに持ってきて。東山の分の寝間着と着替えもお揃いで持ってきて。」


「えっ、あっ、なっ…………………………」

「えっ、あっ、なっ…………………………」


「「………………………………………承知しました、お嬢様。」」


黒服サングラス男女に指示した西河が、


「さあっ、ワンコとにゃんこのお世話をしましょうか。ほらっ、何呆けてるのよっ!」


法川さんと顔を見合わせながら、


「………………………………………どういう事?」


「………………………………………知らないっ!」


また、法川さんに睨まれてしまった。







作者より


他の投稿にも書きましたが、昨年職場が企業買収され修羅場になっており私の所属する拠点でも退職者が続出しております。

その影響で創作活動が滞っています。


更新を気長にお待ち頂ければ幸いです。

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