第15話 逆方向
「法川さん、あの〜、僕ん家、逆方向なんだけど?」
………………………………歩き出したはいいんだけど、こっちは僕の家と反対方向なんだけどな?
急ブレーキをかけたようにして立ち止まった彼女が、まるでロボットのようにぎこちなく首を回して振り向いた。
『クゥ〜ン…………………………………』
『フミャ……………………………………』
「……………………………………………」
「えっ?…………………………あの、その、ふぇっ?」
「じゃぁ、戻ろうか。」
真っ赤なお顔の彼女を促して、手を繋いだままでもと来た道を引き返す。
もう、気にしている場合じゃ無いよね?
黙り込んでしまった法川さんと歩き続けると、当たり前だけど、当然だけど、西河とすれ違う。
そのままやり過ごそうとしたら、
「………………………………………ねえ!」
「っ、なんだよ?」
無視しようかと身構えていたけど、反射的に応えてしまった。
「………………………………二人とも、その子達の面倒を見られる道具、あるのかな?」
「えっ?」
「あっ!」
『クゥ〜ン…………………………………』
『フミャ……………………………………』
「……………………………………………」
「……………………………………………」
「………………………………よかったら、うちは猫もいるから、あんたん家に持ってってあげるけど?」
『クゥ〜ン…………………………………』
『フミャ……………………………………』
『ハッハッハッ……………………………』
「………………………………いいのか?」
「良いも悪いも、あんた達何を揃えればいいかわかってるのかな?」
法川さんと顔を見合わせて、そっと彼女の耳元で囁くように聞いてみる。
「………………………………西河にお願いしてもいいかな?」
途端に不機嫌になる法川さん。
それ以上に険しい表情になった西河。
「………………………………いいんじゃない?実際、何も持ってないし何を揃えればいいかわからないんだし?」
同じ様に僕の耳元で囁くように答える法川さん。
………………………………二人とも、お顔が怖いんですけど!
僕、また、何か間違えましたか?
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