第12話 買ってきた食材でピザトースト!

 火に続いて水、氷、光の初級魔法を修得した俺は、2000ポイントでクーラーボックスを購入し、簡易冷蔵庫を作ることに成功した。

 これで買ってきた食材も安心して保管できる!

 2000ポイントは今の俺にとってかなり大きな出費だし、本当なら冷蔵庫が欲しいが、冷蔵庫は最低でも2万5000ポイントするので当分買えない。


「にしても、力の源でもある精霊と友達になれるなんて、【レイヤー透過】は案外チートスキルなんじゃないか?」


 あのあと水、氷、光の精霊たちも、ぜひ友達になってほしいと言ってきた。

 こちらとしては断る理由も特にないし、と承諾したら、フラムの時同様ものすごく喜んで帰って行ったのだ。

 ちなみに水の精霊はアクア、氷の精霊はアイス、光の精霊はシャインという名前らしい。覚えやすくてありがたい。


「――さて、そろそろ夕飯の準備でもするか。せっかく食材を買ってきたし、何か作ってみようかな?」


 キッチンには流し台と水道はあるが、ほかは小さな作業スペースとコンロ置き場があるだけだ。コンロ自体は欲しけりゃ買えということだろう。

 でも、さっき覚えた魔法があれば――!


 俺はフライパンをコンロ台に直置じかおきし、斜め切りにしたソーセージを投入。火の塊をフライパンの上に固定して、じわじわと熱を入れていく。

 一度出現させた魔法は、望んだ位置に移動したり固定したりできるらしい。

 今のうちに、パン(カンパーニュ)をスライスしてトマトを刻んでおこう。


「――お、いい感じに焼けてるな」


 ソーセージに焼き色がついたら端に寄せて、パンを二枚並べる。

 パンがこんがりしたらひっくり返し、その上に刻んだトマトと塩、黒コショウ、それから焼いておいたソーセージ、削ったチーズを乗せる。

 あとはチーズがとろけて香ばしい色がつけば完成だ。


「できたぞ! ピザトースト!」


 皿に乗せ、水を入れたコップとともに床に並べる。

 本当はテーブルが欲しいところだが、わざわざ宿屋側に戻るのもめんどくさい。

 ちなみに水は、お試しで水の初級魔法で出したものを飲んでみることにした。

 腹を壊しませんように……。


「いただきます! ――――うん、うっま! やっぱり食品は素晴らしいんだよな、ここ。チーズもコクがあって味が濃い。俺好みだ」


 簡易ピザの味つけはシンプルに塩と黒コショウのみだが、ソーセージから出た脂で香ばしく焼いたためか物足りなさはまったくない。

 トマトのうまみや甘さも程よく引き出されていて、俺ってこんなに料理うまかったっけ? と自画自賛してしまうほどだ。


「水も、水道水より格段にうまいな。角がなくて柔らかいし、ほのかな甘みすら感じる気がする……」


 自分の魔力量や回復速度が分からないため、あまり無駄遣いはできないが。

 とはいえ訓練も必要だろうし、飲み水や料理に使う水は魔法で出すことにしよう。


 第二の人生では、曲がりなりにも貴族の子息だったため、立場的にキッチンへ立つことは許されなかった。

 そのためこうして自炊するのは、第一の人生以来だ。


「人に作ってもらう料理ももちろんいいけど、こうして自分で作るのも楽しいもんだよな。――そうだ、あとで精霊たちのことと料理のこともレポートにしてみるか」


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 所持金:4,767,100ボックル

 ポイント:3610ポイント

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