956 声援
カジ&グチ君の演奏レベルが尋常じゃなく上がっていて驚く倉津君。
そして、それと同時に、自身が置き去りにされてる様な気分に成って凹んでいるのだが。
その頃、眞子はと言うと……
***
―――サイド眞子。
『はぁ~~これは凄く疲れるね。メンバーの個性が凄過ぎて、こりゃあ、中々手強いよ』
いやはや、イキナリ愚痴みたいな事を言って非常に申し訳ないです。
……っと言ってもですね。
これ自体は、バンドに対しての不満や不平を言ってる訳じゃなくて、ただの……なんとも贅沢な悩みなんですけどね。
普通は、高々公立の中学校の文化祭に、普通こんな凄くて個性的な面子なんかが集まりますか?
だってだって、見て下さいよ、これ。
VO:向井奈緒 ……全米GUILDヴォーカル部門ランク2位にして【Nao with GREED-LUMP】所属。
DR:マーニャ=ミラー ……全米GUILDドラム部門ランク1位にして人気バンド【Kimera】所属。
GU:ステラ=ヴァイ ……全米GUILDギター部門ランク3位【無所属】
BA:向井眞子(私) ……全米GUILDベース部門ランク3位【おまけ】
まぁまぁ、私の評価については。
恐らくはコンピューターの判断ミスか、モジャモジャ先生の悪戯だから、別に良いとしてもですよ。
なんの虐めなんですか、これは?
今回ヴォーカルを勤める奈緒ネェの実力は、既に全米が認める所だし。
ドラムを担当して下さるミラーさんも【Nao with GREED-LUMP】に匹敵する人気バンド【Kimera】のドラマー。
しかも、全米でドラムのランキングで1位ですよ1位!!
この時点で、もぉ訳がわかりませんよ!!
そんで久しぶりに会ったステラさんなんですが……この人は、間違いなく本物の鬼ですよね。
なんで人(真琴ちゃん)を探しながら、HELPのフリーで演奏してるだけなのに、楽器で一番人口の多いギターランキングで全米の3位とかにランキングされてるんですか?
ホント、もぉこの人だけは訳がわかりませんよ!!
……これね。
幾らウチの文化祭がド派手な部類に入るって言ってもね。
公立の中学校じゃ、絶対にやっちゃイケナイ事の部類に入るんじゃないですかね?
なに考えてるんだろうね……ホント?
(特に奈緒ネェ)
まぁまぁ、そうは言いましてでもですね。
見方によっちゃあ、これ自体は『崇秀討伐』には、絶対に欠かせないメンバーが集結したって言えなくもないし、私自身も一緒に演奏させて貰えるのは非常に楽しみ。
凄く有り難い話なんですけどね。
こうやって、ナンダカンダ言いながらでもですね。
結論から言えば、こう言うのには結構慣れてるんで、わくわくが止まらなかったりしてる訳ですよ♪
一秒でも早く、このメンバーでステージの上で演奏をしたい気分です!!
……まぁそんな感じでですね。
ゾウさんチームより先に演奏する、私達キリンさんチームは軽く練習を終え。
ステージ脇まで、みんなでやって来ましたぁ~~♪
あぁ因みにですね。
今回キリンさんチームが演奏する曲は【Nao with GREED-LUMP】結成時に発売されたファーストシングル『The lump of a desire (欲望の塊)』を、お送りしたいと思います。
皆さん、どうか私達キリンさんチームを応援して下さいね♪
間違っても、ゾウさんチームを応援しちゃダメですよ!!
(。◕ˇдˇ◕。)/メッですよメッ!!
***
……っと。
そんな風にステージへの期待感から、自己のテンションがドンドン上がって行ってるとですね。
とうとう、歌謡コンクールお馴染みに成っている、例の空気を読まないダメな方向の音が鳴り響く訳ですよ。
『キンコンカンコン・キンコンカンコン・キン・コン・カン』
……うん、今此処でハッキリ解った事はね。
来年こそは、この間抜けな音でコンクールをスタートするのだけは、本気で辞めた方が良いんじゃないかな?
もぉこの鐘を鳴らすのも、そろそろ潮時だよ。
若い子が集まった会場が……去年に引き続き、また今年も酷いドン引きだよ。
寧ろ、みんな白けきって、悟りを開いた仏像みたいな顔になっちゃってるよ。
これさぁ、幾ら町内会の歌謡コンクール主催者が無理にゴリ押ししてるとは言え。
ホント来年からは、心から辞めた方が良いと思いますよ。
その方が身の為だよ。
まぁまぁ……そんな場違いな音に苦笑いしながらも。
今年もコンテストのMCを勤める人気漫才師のケン山本さん。
そして、去年から今年に掛けて人気が爆発した3B-GUILDの素直ちゃんと、大谷さんがステージに入ってくる。
頑張れ素直ちゃん!!
大谷さんも頑張れ!!
なんだけど……一応、大谷さんは知らない設定なんで、大きな声では応援出来ませんけどね。
そんな思いの中、ケンさんの司会が始まった。
「はい、ど~~もぉ。ケン・山本です。今年もお呼ばれして来ちゃった訳だけど。今日も最後まで楽しく行っちゃおうなぁ」
「「「「ケンさ~~~~ん!!格好良い!!」」」」」
あっ……どうやら、今年のケンさんは一味違うみたいですね。
去年は、全く貰えなかった女の子の黄色い声援を結構な数で貰ってるみたい。
昨年は、ただ只管ブーイングの嵐だったのにね。
ふ~~~ん。
こうやって考えると、やっぱり冠番組を持ってるだけの事はあるけど、TVの影響って凄いんだね。
「おぉ、ヤッタァ!!今年は、念願叶って女の子からの声援が貰えたぜぇ!!去年のリベンジ成功!!だったらもぉ此処からは、最後まで行っちゃうぜぇ~~~!!やるぜぇ~~~~!!みんな、俺に付いて来~~~い!!」
「「「「あぁ?あんま調子のんなぁケン!!キモイんだよ!!なにオマエが仕切ってやがるんだよ!!ブッ殺すぞ、テメェ~~~!!」」」」
あぁ~~~、ヤッパリ泡沫の夢で終わっちゃったよ。
余計な調子に乗るからだよ。
でも……芸人さんだから、このシュチュエーションって美味しいのかなぁ?
ちゃんと、そう思える様になりましたか?
「すんません。調子乗っちゃいました」
「「「「ったく!!毎度毎度オマエだけは、自分が3B-GUILDのオマケって立場を忘れんなよぉ!!」」」」
「そうッスね。……じゃあ、早速、今日お手伝いして貰う、3B-GUILDの……」
「ハイ、皆さん、こんにちわぁ~!!今年もケンさんのアシスタントを勤めさせて頂きます。有野素直です。……っと」
「大谷由佳で~す♪皆さん、今日はこの3人で一生懸命頑張って会場を盛り上げて行きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いしま~~す♪」
「「「「「素直ちゃ~~~ん!!由佳にゃ~~~ん!!頑張れ!!」」」」」
あぁ……素直ちゃんは、元々ステージ慣れしてるから、いつも通りの安定感なんだけど。
去年のハワワな状態を考えたら、大谷さんも、凄くアシスタントをするのが上手くなったもんだね。
凄いよ、凄いよ!!
伊達にケンさんの冠番組でレギュラーを張ってないですね。
まぁ、私にとっては……知らない人の設定だけど。
「由佳にゃ~~~ん!!頑張れぇ~~~!!俺も此処で応援してるよぉ!!」
「ブッ!!」
はっ、はい?なんですかね、この人?
舞台の袖から、常識外れなぐらい大きい声で声援してるよ。
なにしてるの、この眼鏡の人?
奈緒ネェも、ミラーさんも、当然、ステラさんも、突然の大声に凄いドン引いた顔で、その人の事を見てるよ。
「あっ、あれ?今、舞台の袖から、由佳ニャンの声援があったねぇ。流石、人気者。今日出演するバンドの中にも、由佳ニャンの熱烈なファンの方が居るみたいだね。……羨ましぃ~~~!!」
「あっ、そっ、そうですね。バックヤードから声を掛けて頂けるなんて光栄ですよ」
「アリス、頑張りやぁ~~~!!由佳に負けんなやぁ~~~!!」
誰かは知らないですけど、さっきの声援に対抗して観客席から声援を送ってるあの関西人の人。
馬鹿ですね。
一体なにが、彼をそこまで捲くし立てるんですかね?
……ってか。
自分の立場も考えずに、最前列でなにしてるんですか、あの関西系の芸能人は?
ホントアホですね。
「オホッ!!今度は、会場最前列からの素直ちゃんへの声援だねぇ。やったね、素直ちゃん!!流石、3B-GUILDのリーダー。グループ内での1番人気は伊達じゃないね」
「そっ、そうですね。うっ、嬉しいですね」
あぁ~~あっ、素直ちゃん顔が引き攣ってるね。
ホント、ウザイよね、あの関西人の芸能人さんって。
でも、素直ちゃんの事が本気で好きらしいから、早々に諦めてね。
可哀想に……素直ちゃん。
ある意味、これは呪われてるね。
けど、この論争……このまま変な方向に勃発して、嫌な方向に行かなきゃ良いんだけどなぁ。
なんか妙な胸騒ぎが……
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたです<(_ _)>
いやはや、コンクールが漸く始まろうとしているのに。
佐藤さんと、山中君のせいで、なんかコンクールをそっちのけにして【3Bの推しの子合戦】に成りつつありますね(笑)
まぁまぁ、これだけで事態が収拾すれば良いのですが。
当然、他の3Bメンバーにも「固定ファン」って言うのが付いていますので、これを黙って聞いてられるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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