はやりか
二人が逢瀬を続け、幾日か過ぎたとある宵。直之進の寝所を訪れた凪の顔は、物憂げに染まっていた。
「どうした。浮かぬ顔をしておるが」
直之進が尋ねると、凪はさめざめと語る。数年前より村々で神隠しが起きていること。年若い娘ばかりが行方を
「再び天狗が
「天狗など俺が切り捨ててやろう」
直之進は冗談めかしてのたまうと、枕元に備えていた太刀をすらりと抜いた。質実な
「直之進さまは、あやかしを斬ったことがあるのですか?」
太刀に目を奪われた凪が問いかけると、直之進はまるでそれが滑稽なことであるかのように笑い飛ばし否定した。
凪は重ねて問う。今度は、探るような視線を向けて。
「では、人を斬ったことは……?」
心の奥底を見透かさんばかりの瞳に、一瞬、直之進の顔から表情が抜け落ちる。が、すぐに取り繕い口角を上げた。
「
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