心癒される物腰柔らかイケメン店主とその飼い猫の生活

それは私の心が荒んでいた時のことです。
ふと、Twitterになんとも美麗なイラストが流れて来たのでした。

それは、緩くうねる黒髪を持ち、柔らかい笑みをこちらに向けた眼鏡イケメンが、オッドアイの黒猫を抱いているイラストでした。

桃源郷かな?

そう思いました。
私は、ムッキムキパッツパツの分厚いマッチョからひょろひょろのマッドサイエンティストまで、正直自分でもイマイチ把握しきれていないくらいに様々な『ちゅき』を持つ女。当然のようにこの手の品の良さそうな眼鏡イケメンだって大好物。そしてもちろん、動物も大好きです。

そこへ来て、『ほっこりほのぼのしたショートストーリー集』、『ほぼ一話完結』。

鴨が葱を背負い、さらに鍋を被って火を熾していると思いました。レジャーシートを用意し、パラソルを立て、食器の用意も完璧です。

確実にこれは私に食べて(読んで)もらおうとしている――!

ここまでの据え膳です。読まない選択肢はありませんでした。
何せ私の心はギャンギャンに荒んでいるのです。『急募:癒し』の状態です。心の掲示板にでかでかと貼りだされた求人に、即戦力の経験者が「我こそは」とやって来たのです。

私の心情ばかり説明しても埒が埒が明きませんので、内容に触れさせていただきますと、もうズバリ「尊い」の一言。この一言で片づけて良いのかわかりませんが、なんかもうとにかくまぶしいのです。

飼い猫ディアナちゃん視点が多めなのですが、このキュートな美人さんの語り口がまぁー可愛い。とにかく飼い主である柳都さんへの愛が溢れまくっているのです。こんな美人さんに愛されまくるとか、この飼い主、幸せ者すぎるな?!

私の『猫』に対するイメージといえば、とにかくツンツンのツンデレ。

ちょっと何よ、勝手に触らないでちょうだい。
だけど、私がOKを出したら気が済むまで撫でてもらうわ。
ほらとっととちゅ〇る出しなさいよ。

これです。
ですが、噂には聞いたことがあるのです。

めっちゃ懐く甘えん坊もいるぞ、と。

都市伝説かと思ってました。いやいや、猫ってのはツンデレなのよ。猫を飼ったこともないくせにそう思っていました。

いました。このディアナちゃんがそうでした。
ハイパー飼い主大好き猫ちゃんです。えっ、何これ。幸せすぎんか?

そして、飼い主である柳都さんもですね、ディアナちゃんへの愛がカンストしているのです。飼い猫に対しても丁寧な物腰の品の良いイケメンです。そんなのもうほぼほぼ恋人への接し方でしょ。どれだけ大事にしてるの?!もうご馳走様です!当方、種族を超えてお互いを想い合っているパートナー大好き侍にて!

何だか相思相愛のカップルの日常を覗いているような、じんわりあたたかな気持ちになるお話です。これは荒んだ心に効く。