第21話 沢山久郎の疑問。
沢山久郎は本戦にあたり、ジャッカとサルドンに「敵対すればその場で殺す。黙ってついてくればナンバーズの上まで行ける。なんだったら最後まで大人しく着いてきてからなら戦ってやる」と言い、2人に邪魔をさせない事を命じた。
まあイェイロ達が裏切り一つ認めないと豪語していて、「久郎、安心してください」、「守ってあげるからね!あ!守ったらご褒美貰える?」、「何!?それならば早く裏切って来い!」と盛り上がっている。
戦闘では誰も何も心配をしていない。
世話人の老人から「できれば昨年のような、魅せる戦いを願っても良いでしょうか?」と言われていたので、圧倒して終わらせる事はやめていた。
「よう、ライターマン。元気?」
「…生き返るのに3ヶ月かかった。あれに懲りて鍛え直した」
「いい心がけじゃん。とりあえずサルドンに謝る?」
10番はバツの悪そうな顔で「すまなかった」と謝ると、サルドンは「貴殿は間違ってはいない。私は火炎に対する訓練を積んでいなかった。だが今度は負けない」と返した。
これだけで湧き上がる歓声。
沢山久郎は「やるか」と言って前に出ると「やれるな?イェイロ」と声をかける。
「はい!久郎!!」と喜ぶイェイロと、不満を口にするジェンタ達。
沢山久郎は火炎攻撃をものともせずに「イェイロ!奴の炎を無力化して見せろ!」と言って前に出ると、イェイロは言われた通り近付く炎の支配権を奪って散らしてしまう。
イェイロが火炎弾を放って、10番が必死に回避した瞬間に「久郎!」と声をかけると、沢山久郎が拳を放って「降参しとく?」と聞く。
軽く殴られて大怪我をした10番は理解不能な顔で頷くと、沢山久郎はキングに「俺とジャッカは勝利な」と言い、10番に回復魔法を使い「折角だからサルドンと戦えよ」と言って、サルドンにも「炎対策、してんだろ?」と聞いた。
「無論だ」と前に出たサルドンと、「お前…」と驚きながらもやる気になる10番。
大歓声の中始まった戦いは一進一退だったが、サルドンは炭化した皮膚すらすぐに回復してしまう回復魔法と、コロシアムの床をひっくり返して炎を受け止める回避策で前に出ると、「遂にここまで来た」と喜びを口にして、10番は「ちっ、強くなりやがった」と諦めを口にする。そして殴り合った結果サルドンが勝利を収めた。
9番以降の戦いには特筆点はない。
沢山久郎は世話人に頼まれたように見せ場を用意していて、キチンと相手に全力を出させてから倒していく。
周りの連中は沢山久郎の快進撃の他に沢山久郎とケィの戦いを楽しみにしていた。
沢山久郎は迫った復讐の機会に喜びを隠さない。
本来は発言を控えないといけないアルとジービィですら、「やってしまってください」、「思い知らせてください!」と言ってしまう。
本人達は毎日沢山久郎に頼んで強化をして貰っていて、今やハウスバッファローすら倒せてしまうくらいの実力もある。
日中は2人相手に強化を施し、夜は三姉妹に強化を施す。
復讐するにしてもやり過ぎだなと沢山久郎は思い始めていたが、一点だけ気になっていた。
「なあ、一つ聞いていいか?」
沢山久郎がアルに質問をすると、アルは「なんでしょうか?」と聞き返す。
「4番の毒ってどのくらいの強さだ?」
「コロシアムに撒いたのは、ハウスバッスァローでしたら10秒で絶命するような猛毒です」
「その中でケィの奴は生き延びていて俺に攻撃を喰らわしてきた…。アイツ、本当は強いんじゃないか…」
「まさか、そこまでの強者がずっと挑戦者でいる訳が…」
「何か引っ掛かるんだよな」
「なんにせよ久郎様は負けません。それとも強化が足りませんか?仰ってください」
何を話しても最後には強化に繋がるので困ってしまう。
これがなければもう少し話は楽だったのにと沢山久郎はボヤいてしまった。
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