第168話 一段落
「香辛料も結構置いてあるにゃ」
「船がありますからね。色んな所から仕入れられるんです」
アンジーに誰かに見られてるって、言われてしばらく。宿に帰って一旦秘密基地に戻ろうと思ったけど、色々目移りしてしまう。
今もとある商会で、調味料やらなんやらを吟味中。ワンチャン醤油とかもないかなと思ったけど、どうやらなさそう。
それでもスパンダ帝国や、フレリア王国では見られない香辛料とかがあって、中々面白い。なんかカレーとか食べたくなってきた。
カレーなんてレトルトか、出来てるカレールーしか見た事ないから作り方が分からないんだよねぇ。適当に混ぜれば良いのかな? 色々買って帰って、料理人達に実験してもらおう。
「ありがとうございましたー!」
結構爆買いしたから担当してくれた商人さんはにっこにこで宿に送ってくれると言ってくれた。
アンジーが商会から出て、またどこかを見て笑ってるんだけど、まだ尾行というか、監視はされてるっぽい。こっちから接触しようかと思ったけど、それはそれで面倒だって事で、結局放置する事に。
宿に帰りましょうか。
「ただいまー」
「お帰りなさいませ」
宿から秘密基地へ。
カタリーナがお出迎えしてくれたので、早速情報を共有する。
「お米があったようで。何よりです」
「うん。土地もゲット出来たし、万々歳だね。こっちはなんかあった?」
「特には…。ああ。以前こちらに手を出してきたデッカー領の商人を覚えてますか? 一応見張らせていたのですが、どうやらスラムで死んだみたいです」
「ふーん。何か一発逆転でやらかすかと思ったのに。あっけないね」
念の為一応見張らさせていた商会長は、安宿に泊まってるって報告を受けてたけど、お金がなくなってスラムに転がりこんだらしい。
デッカー領のスラムは既に俺達の支配下だから、監視もし易くなって良かったーと思ってたら、酒場で揉め事を起こして、ぽっくり逝っちゃったと。ご愁傷様です。
「まあ、そんなのはどうでも良いや。それよりも人員は派遣出来る? 土地を買ったし、なるべく早く営業したいなって思ってるんだけど」
「ディエルの商会を任せるのなら新人に行かせる訳にはいきません。それなりの数が育ってきましたが、経験不足ですね。デッカー領とペテス領のベテランを何人か向かわせて、新人はその穴埋めに使うべきでしょう」
「ふむ。教育自体は順調って事?」
「ええ。二つの商会は既に安定してきてますので、ホルトが暇してるみたいで。積極的に教育してくれていますね」
「なるほどね」
ホルトは本来まだまだ教育を受ける側の人間なんだけどねぇ。まだ成人してないし。まあ、これは今更な話か。
「問題は戦闘員ですね。ペテスのスラムもまだ手を出せていないので…」
まあ、そこは仕方ない。とりあえずの数は揃ってきたけど、俺達が求める基準は高いからなぁ。
「ディエルのスラムは今までで一番デカいからな。生半可な奴を送る訳にはいかん。マーヴィン達に準備させておいて」
「かしこまりました。ペテスの方は後回しという事でよろしいですか?」
「うん。あそこは領主も支配下に置いてるし、そこまで急ぐ必要はないかなって」
ディエルのスラムは、スラムっていうより、ディエルとは別の街って感じらしいんだよね。まだ軽くしか情報収集出来てないけど、力のある組織いくつかで、牽制しつつ治めてるとか。
ここを支配下にするのは、中々骨が折れる作業になりそうだ。場合によっては、俺とカタリーナも姿を隠しつつ手伝う必要があるかもしれんな。
「こんなもんか。まあ、急いでる訳じゃないから、焦らずゆっくりといこう」
「かしこまりました」
さてさて。
後はみんなにお土産を配って、今日はゆっくりさせてもらおうかな。
あ、そういえば最近恩恵持ちを見つけられてないな? ディエルには絶対いると思ってたんだけど。やっぱりここは原作に関与してない感じの場所なのかなぁ。
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