最終試練2
「マナト様………申し訳ありません……見捨ててください……」
スンが人質に取られていた
「人質が惜しかったら抵抗はやめるんだな!」
……本当に苛つく奴らだ。弱い者しか狙わず人質すら厭わないと
スンを人質に取っているやつの後ろから更に5人ほど出てきた。
人質を取ったから安心して出てきたのだろうかニヤニヤと不快な表情をしている。
ボスと思わしき人物が前に出て抵抗するなよ?と言いながら何か準備をしている
""存在証明"" 「薔薇園」
ボスがそう宣言すると地面から赤黒く染まった棘のついた足ほどの太さの薔薇の蔓がそこらから生えてきた。
存在証明を使えるということはそれなりに高位なのだろう。
イライラする。
「お前らいい加減にしろよ、もう知らないからな」
スンに全力で駆け寄り鎌を逆手に持つ。気づいたのは俺が目の前に来てだ。
「トゥド・センザ、分かってるな?」
-ああ、しょうがない。協力してやろう-
ぞブリ。とスンの腹に鎌をさす。そのまま後ろにいる吸血鬼の血臓を破壊する。
鎌といった刃の曲がった武器だから出来る技だ。逆手で持つことによって上に沿っている刃はスンの腹を割き後ろにいる吸血鬼には胸の所、血臓に当たる。
「お前ら、吸血鬼は腹刺されたくらいじゃ死なないんだぞ?バカか?」
それにスンは刃が当たる瞬間に気絶している。トゥド・センザも協力しているので血も敵からしか吸っていない。
気を失ったスンを庇いながら戦うのは大変だが雑魚は問題にならない。存在証明を使えるやつだけが敵となり得るがもうここから生きて返すつもりはないので楽か。
「覚悟はできてんな?」
そこからは相手にすらならなかった。
蔓で防御しようとしても簡単に切り裂かれる。俺は疲れたらそこらの吸血鬼を捕らえて吸血して回復、ジリ貧になる
「お前なにもんだよ…こんな吸血鬼が無名なわけ無いだろうが!」
産まれたばかりでね、しょうがないだろ?
「気が散ったな?くらえ!」
スンに向かって茨を飛ばす、大した物でもなかったのでスン前に立ち切り払う。
瞬間地面から大量の蔦が生えて拘束してくる!!
「どうだぁ!とんでもねぇ切れ味だけどよぉ!振れなきゃ意味ねぇだろ!」
ため息。
全身から細く長い血液針を生やし血力を吸収する。
枯れゆく蔦の隙間から敵の絶望が見て取れる。
「終わりだな、もういい。トゥド・センザのいい試し切りになった。」
ドサッと座る相手の背を足で抑え鎌をかける。
「………言い残す事は?」
「…バケモンが」
そうか、と一言だけ返し首を飛ばし血臓を破壊する。
-スンは大丈夫ですか?-
「お前が吸血鬼の心配するなんてな」
-彼女は私に触れられないにも関わらず優しく拭いてくれましたからね、吸血鬼にも良い吸血鬼と悪い吸血鬼がいるのだと分かりました。-
俺は?と聞くと鼻で笑われた
-しかし、無茶苦茶しましたね。いくら再生するとはいってもお腹を貫通させるとは-
「あれで人質に気を使って負けたら二人とも殺される、連れ去られてもどっちせよいい未来はないからな、合理的だろ」
-イカれた吸血鬼ですね-
傷は……塞がりかけている。これならもう動かしても良いだろう。
スンを抱えて空を飛ぶ。
「やっちゃったなぁ………」
-…………………-
コイツは刃を閉まってるときは寝てるのか喋らない
スンは寝息を立てて寝ている
正直かなり強くなった自信があった。そこらの吸血鬼や神聖騎士団と戦っても負けないだろう。
だが誰かを守る事は想定していなかった、素人同然であると思い知らされたのだ。
────────
寺院に戻るとエアクラさんが待ってくれていた。
「おかえりなさい、マナト君。……何かあったの?」
「ゾリデさん読んでもらってもいい?彼女をあまり動かしたくなくて」
ゾリデさんが駆け寄ってくる。どこから話を聞きつけたのか侍従のみんなも駆け寄ってきた。
「うむ、さして重症なわけでもなし。傷もほぼ塞がっている。切り口がキレイなのでほっといても治るだろうが…
皆が心配する、治しておこう」
ゾリデさんが手を当て血力を注ぐとスンの傷が一瞬で塞がり傷跡も消えていく。
俺には真似の出来ない【慈愛】の血族能力だ。
「で、マナト殿。何があったのか聞いてもよいな?」
スンを守れなかったこと。盗賊をすべて排除したこと全てを話した。
ゾリデさんは苦虫を噛み潰した顔をしていたのが記憶に残っていた。
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