最終試練


今日は最終試練の日だ。


 あの後も少しだけ大鎌を手に馴染ませる為に体を動かしていたがスンに早く休めと怒られてしまった。






 大鎌「トゥド・センザ」は想像以上に手に馴染む。あとで聞いた話だがゾリデさんとエアクラさんが話し合って作った形らしい。ゾリデさんが動きなどを見て最適な重量バランスにしてくれたそうだ。




 最終試練だから、と多めに配膳された血液を一気に飲み干す




「よし、行くか!」




─────






 洞窟の出入口でエアクラさん、ゾリデさんが待っていた。


挨拶を返し詳細を聞く




「ここ最近侍従の間で度々話に出てくる山賊の話は聞いたことがあるな?


ここまで輸送している血液を途中で奪ってしまうもので大変困っている。血液が載っているときのみ襲われるのでおそらく吸血鬼だろう。想定は10人程度、高位のものはいないようだ。


なかばお願いになってしまうのだがな、頼む」




「まぁちらっと見てきたけどマナト君なら余裕だと思うよ!」




「「いってらっしゃい!」」








 見送られ向う、二人の話だと山1つ超えると花畑が見える。


そこでスンが花摘みしてるからそこからは聞いてくれとのことだ。


トゥドセンザを軽く小突き飛んで向かった








────────




マナト様が明日で行ってしまいます。


 何かお渡ししたかったんですがお金も無いし、いつも摘んでいるお花を贈ろうかなと思います!この季節のこの場所でしか咲かない花があるですがそれがすごく綺麗で、香りがいいんです!


 今日の試練が終わり、1泊して行くみたいなのでこのお花でお部屋をいっぱいにしていい眠りをしてほしいんです!




 ここには良く来るのでお花に水やりもしているんですが盗賊っぽい方々も通るんですよね。私は地上にいて彼らは空なので見えないと思いますけど。




 ゾリデ様に報告したらマナト様が来るから案内するように言われましたがいつも来る時間を待って追う感じですかね?


そうしたらまだ沢山時間があるからお話でもして、二人で花を見てもいいです、花の冠作っちゃったりして!!






 恥ずかしくなっちゃいました。夜風に当たるために空を飛ぶとキレイな満月が輝いていました。






「…………おい、いないぞ?ここに女がいるんじゃなかったのか?」


「っかしーなー………あ、隊長!上!」






 声が聞こえ下を見ると吸血鬼が3人ほどこちらを目掛けて飛んできました。剣は鞘から抜かれています。




「大人しく血晶になれ!食われろ!」








「や!こないでください!!」








───────────








 よく考えたらこんなところで花畑探すのもなかなか大変だよな。まぁ飛んでてもわかるくらい広いのか?






 盗賊の話は色々聞いていた。侍従たちと混ざって働いてた時途中からその話しで持ちきりだったレベルだ。


食事用の血は奪われるし、血晶目当てに殺される。挙げ句の果てには半殺しにして神聖騎士団に売却までしている劣悪な連中らしい。


謎に甲冑を着ているので幽霊説なんて出てくるぐらいには話題になっている。




「まぁそれなら容赦なく殺せ……るかなぁ…?


話し合いで済めばそれが一番か……」






あーでも試練的にはどうだろうな。殺さないことが合格条件!寺だし!とか?………いやぁ、ないなぁ


 いってもシゥハンジン寺院はもともと寺の居抜きなだけでその流れで寺院になった程度のもの、教義は後付だとゾリデさんも笑ってたし






「や!こないでください!!」






声の方向を見る、空に吸血鬼が1人。栗色の髪の毛のウルフカットが肩に少し乗る長さで整えられている。小動物の様な顔。




スンだ!! 


 地上に1人、スンに向かって飛んでいってるのが二人。


状況は不明。スンの保護が最優先だ。




 血力を全身に巡らせる、山賊の動きが遅く見える。これなら間に合う。






全力で羽を動かしスンを抱き抱えて更に上空で待機する。


スンは何が起こったのかわからないと言った顔をしているので声をかける。




「急に抱きかかえちゃってゴメンよ、大丈夫?」






スンは顔を伏せて手で抑えてしまった。よほど怖かったのだろう。


 地上におり、スンを下ろそうとするとギュッと服を掴まれた。


怯えてしまって心細いのだろう。申し訳なく思いながら戦うために話してもらった。






「さて、君達はスンの友人かな?怯えてるようだ違うと思うけど」






 邪魔しやがって!とかの意味のない罵詈雑言が飛んでくるのだけだ。




 中世時代の騎士が吸血鬼に襲われた成れの果ての様な格好だ。甲冑にロングソード、家紋が刻まれてたであろう場所は削れている。鎧もところどころ破損している。手入れの跡は見えるが限界なのだろう。




「山賊だよね?君達は…………うわっ!」






 容赦なく攻撃してくる。話し合いの余地もない様子だ。いや、スンを狙った時点で話し合う気もないが。






 剣で刺突をしてくる腕を爪を立てるように掴む。


 普段ゾリデさんにやる勢いでやったら吸血鬼の腕が鎧ごと潰れもげてしまった。しまった、繋がってないと本体を吸血できない。




「脆すぎる、手加減が必要だな」




 聞いていた数より少ない?少なくとも一人は捕らえないと…


山賊とはいえ統率が取れている。勝つのは難しいと判断したのか一人を逃がそうとしている。






「逃がすかよ!」




 血で出来た短剣を投擲する。逃げた吸血鬼の首にヒットした。神経が切れ、しばらくは時間が稼げる。






「起きろ!「トゥド・センザ」!」




-言われなくても起きてますよ、吸血鬼-




 ガシャッと刃が起きると同時に頭の中に声が響く


山賊は急に声がして驚いている。




 そう、コイツは喋るのだ。鎌のくせに。


 エアクラさんも頭をかしげてたのでイレギュラーなのだろう


コイツに起こされた時はビックリしたが俺は受け入れた。吸血鬼が存在するしもう何でもありだ。




 敵が切りかかってくるが関係ないと言わんばかりに剣ごと鎌で切り裂く。バターを切るより簡単に切れる。




 悲鳴を上げる間もなく吸い尽くす。




-汚い、不味い血です。-


 淡く青く鎌が光りながら血を吸う。




-それに私の扱いが雑なのでは?-




 2体目の、腕が千切れた吸血鬼の剣を柄で受け止めると文句を言われる。




「うるさい武器だな!お前こんなのじゃ傷つかないだろうが!」




-そのとおり。吸血鬼の癖によく分かってるじゃないですか-




 舌打ちをしつつ右手で作り出した吸血剣を鎧の間に差し込む。




「さぁ、決着だ。」


後頭部に探検が刺さり倒れている吸血鬼に告げる。




 どうやら神経が切れて体が動かないがために血力を集め傷を治そうとしているようだ。普通の短剣なら傷が治るにつれて抜けるだろうが……




「残念。この短剣は血力を吸う、ごちそうさま」




 回収し短剣を口に運び食べる


吸い終わった吸血鬼2体は灰になり崩れ落ちる。




「さぁ、お前らの家を教えてもらおうか」




「バカが!後ろ見てみろ!」






「マナト様………申し訳ありません……見捨ててください……」






スンが人質に取られていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る