シゥハンジン寺院



しばらく飛行していると岩山と岩山の谷の隙間から大きな寺院が見えてきた




「お疲れ様!シゥハンジン寺院についたよ!


今回は長かったねー、10日くらい飛んでたしやっぱ大陸は広いね!」




洞窟になってる空間に寺がいくつかある。


中央の大きな寺からスキンヘッドに袈裟を着た、坊主が出てくる。




「やっほー、ゾリデ君!久しぶりー」




「おお、エアクラ殿。100年ぶりくらいですかな」




「え?もうそんな経つっけ…?」




仲がいいのかお互い笑いあっている。




「……それでエアクラ殿、本日はどの様なご用向きかな?」






「あ、そうそう!彼はマナト君!私の眷属だよ!


で、マナト君が強くなりたいって言ってるから修行に来たんだ!」




「…………念の為お伺いしますが、入教は……」




「ん?しないよ?」




「………はぁ、本来は許されないのですよ…?


とはいえ断れませんからね、分かりました。ただし、途中までですし期限も2週間とさせて頂きます。」




話はついたようだ、奥に来いと言われ付いていく。




「はじめまして、マナトです。よろしくお願いします。」




「ゾリデと申す。短い間であるが師範を勤めさせていただく。若輩の身ではあるがよろしく頼む。」




 道着を渡された。準備ができ次第道場に来るようにと言われた。


荷物などはエアクラさんが預かってくれた。あとで迎えにくるとのことだ。


着替え扉を開けると女性が片膝を付いて待っていた




「はじめまして、マナト様。私はスンと申します。


マナト様がご滞在中は私を側仕えとしてお使いくださいませ。」




このような対応をされたのは初めてで戸惑ってしまう。


「あ、いや、立ってください。私は偉くもないですし、お世話になる身なのでそんなにかしこまるのはやめてください。敬語じゃなくてもいいですし」




「そ、そう仰られましても…マナト様こそ敬語はお辞めください。


周囲からの目もございますし…」




そうか、そういうものか。俺が良くても彼女が後から何を言われるか分からない。ここで我を通すのは彼女の為にならない気がする




「そうだよね、分かった。よろしくねスンさん。」




「あ、ありがとうございます……あの、できればさんもやめていただけると……」






 いまいち締まらなかったが同意をする。


スンが道場まで案内してくれた。






「マナト殿、道着もなかなか似合っておるよ」




「ありがとうございます!」


ゾリデさんも道着に着替えていた。武道家にしか見えないくらい似合っていた。……いや、馴染んでいた。




「とりあえずはマナト殿が今どの程度できるか知りたい。好きに打ち込んできてくれ、無論血力も使って全力で来なさい」




このパターンか、今回は油断しない


それにゾリデさんは見てわかるくらいに強い、威圧的ではないが圧倒的に強者であるのが分かる。例えるなら岩山である


俺が何かしたところでドッシリと受け止めてくれる、そんなイメージだ。




「……では、胸をお借りします!」




 血力を滾らせると同時に駆け出す。


どうせ勝てない、なら傷くらいは負わせてみせる!




 殴ると見せかけ爪を伸ばし貫く。


キンッと音がし爪がゾリデさんの皮膚で止まっている。ギリギリと爪を押し込むがビクともしない。




「敵の前で唖然とするのは良くないな」




 ゾリデさんの腕が横薙ぎにされる、唖然としていた俺は避けれず簡単に吹き飛ばされる。


分かってはいたが圧倒的だ。全く傷になっていない。




「まだまだぁ!」




 一人で練習しているときに作った新技を披露するときだ!


爪の根本から血液を出し纏わせる!




 血で吸血剣を作るのはまだ安定しないがこれなら戦えるくらい安定して出せるようになった。何より剣より見た目で分かり難いところが気に入っている。




名付けるなら


      吸血爪きゅうけつそう!






「何度やっても無………なるほど、考えたものだな」






 今度はガードした腕を数cmは貫けた、成功だ!




「なるほどな、【継戦】と戦うのは初めてだがなかなか吸血というのは厄介だな。


吸血というがその実、吸っているのは血力そのものか」




………そうなんだ…






「だがまぁ、力の差を覆せるわけではないな。


さぁ、次は防御を見せてもらおうか!」




 ゾリデさんはそう言うと全力でタックルをしてくる!まるで岩山が動いたかのような迫力だ


避ける、としても恐らく全身避けれはしないだろう。かするだけでどうなるかわからない迫力がある。


それに防御を見せろといわれた、やるしかない




「死なない程度に手加減はお願いしますよ!!」






 腕をクロスしその前に羽で覆う、視界は塞がるがクッションになるだろう。


さらに羽を自らの爪で穴を開ける。そうすることで血でできた棘を生やす。






 棘から血力が流れ込んできたと感じた瞬間にはダンプが突っ込んできたような衝撃が全身に走った。




「マナト様!!!」




タオルを持ったスンの青ざめた顔を横目に、派手に吹っ飛んでいった。




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