海外


「やっとついたー!」




5時間ほどかかって中国についた。飛行機で寝ていたが夜型の生活が定着してしまったので眠い




「夜になるまでなるべく郊外の方に移動しましょ、いくら夜でも飛ぶのも都市部からは目立つしね」




──夜──




あれから移動し少し時間が余ったので一眠りしていた。


夜になり空を移動する。




「そういえば神聖騎士団ってどんな奴らなの?」




「それが分からないのよね、吸血鬼を殺すわけじゃなく捕獲までしかしないし。


捕獲後どうなるかも分かってないのよ。大義名分としては捕らえて浄化するためって言ってるけど浄化っていうのもよく分からないのよね」




 教会で殺すのであれば最初から捕らえる手間は取らないだろう。


なにか吸血鬼を使っている…?生命力が強いので人体実験とかには最適かと思ったが人間とは構造が違う。なんの意味もないだろう。




「戦うときは気をつけてね、再生し辛いように断面は焼かれるから。


焼かれたところを自分で切っちゃえば良いんだけどね!その隙を見つけるのが難しいけど私達は吸血剣でやっちゃえばいいしね」






吸血剣。血を武器の形にし操る技、【継戦】の血族能力である。


未だに使えない技だ。




「それと血臓に銀の針を打たれると血力生産できなくなるから気をつけてねー


これも普通に取っちゃえば大丈夫なんだけどね!」




 こう聞くと脅威には感じないがアスラさんが苦戦したことを考えるとエアクラさんが圧倒的に強いからの余裕だろう。




「でも、あいつらの使う武器、神聖礼装は注意が必要ね。私達の"存在証明"みたいに固有能力があるみたい。


ある程度偉い人じゃないと持ってないみたいだけど、持ってる人は強いから今のマナト君は逃げたほうがいいと思う」




この前の奴らは赤く光る剣を持っていた、それだろうか?




「あれはただの熱した金属の鉄、切り傷を再生できないように全員に配布されてるみたい


神聖礼装は青い結晶とか、樹脂みたいな見た目をしてる素材が多いイメージね」




ふぅ、と一息つきエアクラさんは続ける




「血力の代わりに神聖力?とか使ってるみたい、人間本来の力じゃないみたいなのよね。神聖力持ってる人間は私達と身体能力は変わらないわ」




「え、それって人間……?」




「戦った感想としてはほぼ吸血鬼みたいなものね、欠損部位の再生能力は無いみたいだけど簡単な傷なら治せるみたい」




「えぇ…それもう人間って呼んでいいのかなぁ……化物の類じゃんか…


まぁ吸血鬼に言われたくはないだろうけどね」




笑いながら言う




「あら、マナト君は吸血鬼を化物だと思うの?」




まぁ分類したら、人間から見たら化物だろう。




「じゃあ私まなと君から見たら私も化物ってこと…?」




目を潤ませながらこちらを見てくる




「いや、エアクラさんは違うでしょ。人間とも仲良くしてたりしたし。可愛いし?」






「ふふっ。ありがと!照れちゃうね」




 力の抜けたにへらとした笑顔をこちらに向けてくる、少しして俺の前に周り込み止まる。


飛行中に止まりホバリングするのは難しいが今では慣れた物だ。


どうしたの?と問いかけると真面目な目線で俺の顔、頬を両手で挟み込んでくる




「人類に理解できない力を使うと化物?それとも人類を食べると化物なの?


野生の動物は?神聖騎士団の人は?人を殺す人は?


なにが化物でなにが化物じゃないのかしらね?」


悲しそうな顔をしながらエアクラさんは続ける。


「………これはね、マナト君。私の持論なんだけど……


化物かどうかは精神性だと思うのよ」


目をのぞき込まれる




「人間と吸血鬼だって共存できる。私達はそもそも戦ったりしなければ吸血量も少ないし、あの村はそうしてたでしょ?」


「マナトは化物じゃない、優しい人だよ?」




手が離れそのまま目的地に向かう。


なにかエアクラさんの地雷に触れてしまったのだろうか…


真剣な表情をしていた。










  この時エアクラさんの涙には気付なかった

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