古代遺跡の戦い(三)

 夜の薄闇が完全に解けたころ、いくさは始まった。


 事前に得ていた情報と敵軍の初動、それに長年のいくさ働きで得た勘をもとに、じいさん[オヴァルテン・マウロ]がおもしろい策を考えついたので、鉄仮面はそれに乗ることにした。


「[ファルエール・]ヴェルヴェルヴァは敵の左翼におるようです。好都合なことに、こちらの右翼を任せているズヤイリ[・ゴレアーナ]どのの兵には、火縄撃ちが多くおります。むりに敵を攻めさせず、我が軍の中央にヴェルヴェルヴァを寄せつけないようにさせましょう。そして、敵の中央先鋒にいるらしい、[スウラ・]クルバハラをおびき寄せるのです」

 じいさんの説明に「どうやって?」と鉄仮面が疑問を述べると、「鉄仮面を使ってですよ。鉄仮面をえさに、ここまでおびき寄せて、兵が間延びしたところを……」と、彼は嫌な笑みを浮かべた。

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