14 ランジェリー(真央&理央)

 本当に買ったのか。俺は呆れた。


「早くつけてよー!」

「はぁ……」


 理央りおが持ってきたのは、黒地に赤のフリルがついた、上下の女性もののランジェリーだった。悪趣味にも程がある。


「なんつーか……もっと清楚なやつにはできなかったのか?」

「だって兄ちゃんには黒が似合うと思ったから」


 俺は全裸になり、まずは下からはいた。ゴムが食い込み、布地が突っ張り、なんとも醜悪だ。それから上をつけようとしたのだが、どうすればいいのかわからない。


「これ、どうやって留めるんだ?」

「オレがやってあげる」


 理央は背中に回り、ホックを留めた。息苦しい。女性は毎日こんな思いをしているのか。


「撮影タイムー!」

「いいけど、絶対スマホ外で落とすなよ」

「わかってる、わかってる」


 まずは立ったまま、全身を写された。それからベッドに上がるように言われた。


「いいよいいよー。ぐいっとお尻突き出してみようか」

「グラビアの撮影じゃねぇんだぞ?」


 とはいえ、要望に応えてしまう辺り、俺も甘い兄だ。下着をつけること自体に興奮はしないのだが、理央が喜んでいるのを見るとまんざらでもなくなってしまう。

 撮影が終わり、俺はベッドに腰かけた。理央が隣に座ってきた。


「兄ちゃん、下着の上から自分で触ってみて」

「えっ……それはちょっと」

「股開いてさぁ。見せつけてよ」

「嫌だよ」

「スタミナロースカツ丼、豚汁つき!」

「食い物で釣ろうとするな」


 すると、理央が耳を舐めてきた。ぴちゃぴちゃとわざとらしく音をたてながら。


「くふっ……」

「ほらほら、オレからはこれ以上触らないよ。自分でやりなよ」


 俺は手を伸ばした。シルクか何かだろうか。ツルツルする。


「ふぁっ……」

「あっ、濡れてきちゃったね。でも大丈夫だよ、これは兄ちゃんのなんだから」


 いよいよ苦しくなってきて、俺は理央に言った。


「なぁ……脱いでもいいか……?」

「しょうがないね。オレがおろしてあげる」


 やっと自由に動かせる。俺は手の動きを激しくした。


「あはっ、兄ちゃん可愛い。フリルもよく似合ってるよ。どうする? もう出したい?」

「我慢するっ……」


 俺はたまらず理央をベッドに押し倒した。唇にがっつき、舌を暴れさせた。


「兄ちゃんっ……」

「責任取れよな。最後まで面倒見ろ」

「わかってるよぉ……」


 理央は俺の背中に手を回し、ホックを外した。


「えへへっ、これしてみたかったんだよね」

「この変態」


 俺は理央の服を脱がしにかかった。やっぱり裸の方がいいな、なんて思いながら。

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