命や権利は時代や環境で変わることを突きつけられ衝撃を受けました
- ★★★ Excellent!!!
読み始めた瞬間、ドキュメンタリー映像が脳内を流れました。創作ではありますが、厳しい現実をこれでもかとつきつける作風をそう感じたのかもしれません。また、作者の豊富な知識が異国の生活を見事に浮かび上がらせていることも脳内に映像を呼び起こすのでしょう。人々の生活や息遣いが本当に感じられることに思わずため息をついてしまいました。
個人を大切にする現代からみると、この物語は異質に見えます。しかし、ほんの少し前まで、人の命はそれほど重くない時代でした。簡単に消えてしまうことを悲しみや怒りを押しやりながら、受け入れる環境にいる大衆がほとんだったはずです。
犠妃という謎めいた存在がこれでもかと命の重さについて問いを投げかけてきます。
人と動物と命の重さは同じ、という考えは今もありますが、それは「等しく尊い」という考えがベースになっているはずです。しかし、この物語では「等しく儚い」ことに焦点を当てて命について語られていると感じました。
実際にこのような環境がまかり通っている世界が身近にあればかなり辛い(現実にもありえる)ですが、異国の地での出来事というワンクッションが救いであり切なさを生んでいます。
命や権利が等しく平等であるということがどのようなものであるか。
そのことを深く考える物語に私は出会ってしまいました。