罪!
「いや、違う!! この者達は追い剥ぎだ! 襲われたんだ!」
それを聞いてラミッタは拘束魔法を詠唱し、剣士の女と、黒魔術師と、ついでにマルクエンを縛り上げた。
「ちょ、ちょっと待て! 何で私まで縛られているんだ!?」
「うるさいバカ」
拘束魔法を食らった黒魔術師は驚いた。いくら解除しようとしても身動きが出来ない。ここまで高度な拘束魔法は、かなりの上級者でなければ使えないはずだ。
「あなた達何者なの!?」
「それはこっちのセリフよ」
ラミッタは剣を黒魔術師に突き付けながら言う。
「あっもしかして、こいつ等最近話題の女盗賊じゃないっスか!?」
ケイが言うとラミッタはそちらを振り返り「そうなの?」と尋ねる。
「はいッス。黒魔術師とちっこい女の盗賊がいるって」
「誰がちっこいだ!!」
黒魔術師の手下はそう言い返す。
「確か賞金も掛かってますから、ついでに治安維持部隊に連れて行けば金と冒険者の実績が貰えるっスよ!!」
「そう、それじゃ……」
ラミッタが言い掛けた時にマルクエンは待ったをかける。
「ちょっと待ってくれ! この国で盗賊はどんな罰を受けるんだ?」
その質問にケイが答えた。
「まぁ、良くて右手首の切り落とし。悪くて縛り首って所っすかね」
それを聞いて手下のちっこい女はブルブルと震えだす。
「確かに彼女達は盗賊で、私にも襲いかかった。しかし、飢える者が居るのは国の責任だ!!」
「飢える者?」
マルクエンの言葉にケイは疑問符が浮かぶ。ラミッタは何かを感づいたみたいだが。
「戦って分かった。剣や動きに力がない。そして痩せて顔色も悪い」
見抜かれた事に黒魔術師は驚いていた。
「どうしてそれを……」
「確かに、ウチも姉御も一週間は食ってないけど」
ラミッタはため息を付いて全員の拘束を解いた。マルクエンはカバンから昼食を取り出す。
「これしか無いが、良かったら食べてくれ」
「施しのつもりかしら? 要らないわ」
黒魔術師は今にも差し出されたパンを食べたかったが、意地を張る。手下もそれを見て目を背けた。
「食べて欲しいんだ」
重ねてマルクエンが言う。すると、いきなり黒魔術師が高笑いをした。
「なに? 気が触れたのかしら?」
ラミッタが言うと、黒魔術師はこちらを見る。
「施しではないのなら、これは貢ぎ物ね。あなた殊勝な心がけだわ。特別に下僕にしてあげても良いのよ?」
「は、はぁ……」
マルクエンは困惑しつつも食料を渡す。受け取った黒魔術師は礼の代わりに指さして言った。
「今日の所は見逃してあげるわ!! でもいつの日か打ち負かして下僕にしてあげる!! 私の名はシチ・ヘプター!! 偉大なる黒魔術師よ!!」
「ねぇ宿敵。こいつ等やっぱり治安維持部隊に突き出した方がいいんじゃないかしら?」
ラミッタが言いかけている途中だが、追い剥ぎの二人は物凄い勢いで逃げていってしまった。
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