第13話 経験値稼ぎ

 一度現実に戻って、またゲームの世界へ。


――シュルシュルシュル!


 またしてもログインした瞬間に進む道と退路が絶たれました。

 そして開くボス部屋への道。

 どうやらログインし直すとボスとの再戦が可能になるようです。

 ……これ、バグなんじゃないですかね?


 私はボス部屋に入りました。

 もう三回目なので驚きはしませんが、孤立させられます。

 そして現れる黄プディン――



――五体。



「増えてる!?」


 不測の事態が発生していました。

 あのままログアウトしていたら。


 そういえば、あの人たちがここのボスは難易度高いとか言ってましたっけ……。

 ボスの数がランダムで、想定していた数より多くの敵と戦わなければいけなくなったなら、確かにそれは対処ができない状態に陥れられるかもしれません。

 まさに最難関ダンジョンといったところでしょうか?



 一体が敵意を持って向かってきたので猛毒薬Lをふりかけます。


 七秒でパーン。


 すかさず黄プディンの粘質水を回収し、猛毒薬を製薬。

 猛毒薬に『ポーション昇華』を使って猛毒薬Eに。

 襲ってきた黄プディンBの攻撃を躱してふりかけ。


 二十五秒でパーン。


 このタイミングでレベルアップ!


 あとは回収、製薬、昇華、投薬の繰り返し。



 五体もいましたがなんとかなりました。

 やはり猛毒薬、強すぎませんか?


 あっ、レベルアップしたステータスはこんな感じです。


========


名前:セツ     レベル:6(レベルアップまで18Exp)

職業:薬師(生産系)

HP:16/16

MP:11/20

攻撃:14

防御:15

素早さ:19

器用さ:21


========


 そしてこちらがアイテム一覧。


========


・特大フラスコ(聖水)10/16

・フラスコ(猛毒薬R)

・フラスコ(金プディンの粘質水)

・フラスコ(金プディンの粘質水)

・フラスコ(黄プディンの粘質水)

・黄色い魔石×24

・黄金の魔石×3

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

(二ページ目へ)


========


 黄色い魔石二十個と黄プディンの粘質水二十個分、ドロップしました。

 黄色い魔石はスタックされるからいいのですが、黄プディンの粘質水は十五個分も消失させてしまっています。

 こうなるとますますフラスコがほしいです。

 特大フラスコ、黄プディンの粘質水用と猛毒薬用であと二つもらえないですかね……。


 猛毒薬と言えばあと一つの組み合わせがどうなるのかの確認作業がまだでした。

 聖水と猛毒草、黄プディンの粘質水、黄金の魔石の組み合わせ。

 結果は猛毒薬Rでした。

 「金プディンの粘質水×黄金の魔石」の組み合わせで一回やってしまったのが本当にもったいなく思えてきました。

 もう一回黄金のプディン、出てこないですかね……。


 ……ほしいものは黄金の魔石と特大フラスコ。

 ということは、



――黄金のプディンが出てくるまでログアウト→ログイン→ボス戦を繰り返せばいいのでは?



 もちろんMPの管理には気をつけなければいけませんが、それをやるメリットは大いにあると思います……!

 えっと、感覚ですが黄プディン一体の経験値は4みたいなので、あと五体倒せばレベルアップする計算になります。

 これまで猛毒薬Lと猛毒薬Eで戦ってきたため、猛毒薬Rではどうなるか調べていません。

 数が多いとあまり長く残られた場合対処できなくなる可能性がありますから、品質をEよりも下げるのは危険な気がします。

 ということは最低でもMP15は必須というわけで……。

 今は残りMP11ですので、この世界の時間であと二時間はお休みということになりますね……。

 手持無沙汰になってしまいました。


 とりあえず今つくった猛毒薬RをLまで上げておくとして。

 確認も済みましたし、一旦現実に戻りましょう。

 現実では体感三十分でMPが「4」回復するはずです。



 そんなわけで私は現実に戻りました。

 今日は朝早くに起きていたため、まだ朝の八時でした。

 私は家の掃除などをして三十分という時間を経過させました。



……………………



 そして三十分後。

 ログインすると、決まってボス部屋に誘導されます。


 ステータスを確認するとMPが12になっていました。

 猛毒薬Lを既に一個つくっているので問題のない数値です。


 私はボス部屋に入りました。



 今回も黄プディン五体でした。


 戦闘のコツが掴めてきたのでしょうか?

 攻撃を躱すのが上手くなってきている気がします。

 慢心は禁物ですので、たぶん気のせい、ということにしておこうと思いますが。


 最初の頃を思えば、危ない場面は大分減っているのではないでしょうか?

 五体の黄プディンをさっきよりも早く倒すことに成功します。


 そして予想していた通りレベルアップしました。


========


名前:セツ     レベル:7(レベルアップまで32Exp)

職業:薬師(生産系)

HP:17/17

MP:21/21

攻撃:14

防御:16

素早さ:20

器用さ:23


========


 こちらは所持アイテム一覧です。


========


・特大フラスコ(聖水)5/16

・フラスコ(猛毒薬R)

・フラスコ(金プディンの粘質水)

・フラスコ(金プディンの粘質水)

・フラスコ(黄プディンの粘質水)

・黄色い魔石×39

・黄金の魔石×2

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

・猛毒草

(二ページ目へ)


========


 ちょっと聖水の量が心配になってきましたね……。

 このまま行ってもいいか、水を汲みに行くべきか、悩みどころです。

 でも、このゲームは鬼畜仕様なんです。

 死んだら一からやり直し。

 「命を大事に」というスタンスで行くべきでしょう。


「はぁ……。やりますか。水汲みチャレンジ……」


 私はカラスの声が鳴り響く中をひた走りました。



……………………



 ちゃんと特大フラスコの容量いっぱいまで聖水を入れ、ついでに猛毒草も補充して安全地帯セーフティエリアに帰ってきた時のことです。

 一本道の入口が塞がっていました。


「え? ……あっ、他のプレイヤーさんがボスと戦ってるってこと?」


 中に入れないということは、そういうことであるはずです。

 そういえば、二階では十組ほどのプレイヤーさんたちと会っていましたね……。

 それからはあの人たちしか会っていなかったし、そんなあの人たちからはひどい仕打ちを受けたものですから他プレイヤーのことは記憶から消し去ってしまっていました。

 ……そうでした、いるんでしたね。


 ……入ったばかりなのでしょうか?

 なかなか開きません。

 開いてくれないと困るのですが……。

 だって、ここ安全地帯の外でしょ?

 ってことは――


「カァーーーーッ!」

「ひいっ!? やっぱりいいいい!」


 現れたカラスグモさん。

 早く!

 早くボスを倒しちゃってくださいいいいいっ!

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