別のお話

 大陸横断鉄道の終着駅、ウキグモは美しい駅だった。


 ホームもこれまで降りた駅とはひと味違って、落ち着いた雰囲気を醸し出している。色合いが落ち着いたブラウンxグレーなのもあるのだが、何より広告の類いが何一つないのがよかった。


「本当に長い旅だった……」


 エッジはスーツケースを3つ担ぎながら、1等客車からホームに降り立つ。


「確か今晩は『あなた』のコンサートじゃない? 間に合ったね」


 先にホームに降りていたシンシアはエッジを振り返る。


 その背には彼女の身長よりも遙かに長い黒い鞘に収まる太刀がある。


「今からチケットとれるのかな?」


「無理でしょ。というか、今とれるようだったら、『あなた』は嬉しい?」


「それは確かに嬉しくないなあ。しかし、どこかで当たりをつけよう。『君』の方がコンタクトとりやすいかな」

「『私』も一緒でしょうから、今日は無理かな」


潜むものダイバー、君はどう?」


 エッジは影の中の潜むものダイバーⅡに聞く。


『そろそろ念話が届きそうです。つないで貰いましょう。ここで潜むものダイバーザインと呼ばれている彼に』


「じゃあ、今日から君はツヴァイだ。区別つけないと」


了解コンセント、エッジ』


 2人(と影の中の1機)は改札口を通り、赤煉瓦のウキグモ駅から出て、ウキグモの街を見る。


 森のような木々が生い茂る大きな公園の向こう側にオンポリッジに劣らない大都会が広がっている。


「さて、どうにかして彼らの力を借りないと」


 エッジは辻馬車を捕まえ、シンシアと2人、車上の人となったのだった。

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セレーネとザイン 強化外骨格×自動人形×ラブ×スチームパンク×ニューウェイブ・ファンタジー 八幡ヒビキ @vainakaripapa

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