第17話

エルバサに咥えられながら山を登る事数分。途中に魔物が襲ってくる事が何度かあったがエルバサの爪撃とやらで全部葬られてしまった。


「まだ山の中腹辺りじゃというのに、魔物のレベルがやたらと高いのう。本当じゃったらここは、E〜Dランクの奴ぐらいしかいないというのに、今回はBランクやらAランクの魔物がちょくちょく現れおる。」


「夜だからランクの高いモンスターに会ったりするんじゃないのか?」


「それにしてはおかしいのじゃ。さっきのキラーイーグルは普段高度1000〜2000m付近にいる筈じゃというのに今回200m付近で出てきたのだぞ。」


そう言われるとやっぱりおかしいと思うな。


「でもまぁ、余程の事がない限りはエルバサが対処してくれるんでしょ?」


「うむ。余程の事がなければな・・・・。」


おい、不吉なこと言うんじゃねぇ・・・・


「・・・・・・・・む、その話は一旦終わりにするかの。Aランク級の魔物の気配がするのじゃ。」


「おいマジかよ。・・・・一体何処にいるんだ?」


「ふむ・・・・今回は正面からのようだな。」


そう言われて正面を見ると、確かに奥の草むらが揺れているのが見えた。すると突然咥えられていたのが後ろに投げ飛ばされてしまった。


「ちょ!投げ飛ばすならそう言ってく・・・・れ・・・・。なんじゃコイツ!?」


さっきまで俺のいた所には全長15mはあろうかというほどのデカさがある紫色の蛇がいた。


「此奴はタイラントスネーク。読んで字の如く毒を使ってくる。此奴の行動一つ一つに毒が含まれており、とても危険なのじゃが・・・・なぜ此奴がこんなに傷ついておるのじゃ?Aランクの魔物の中でもトップクラスの毒使いじゃというのに・・・・。」


確かによく見ると、鋭いナニカで傷ついたと思われる場所が複数見る事が出来た。


一回鑑定で調べて見るか。


【タイラントスネーク】A 凍傷

毒を扱うモンスターの中でもトップクラスの毒の強さがある。移動も素早く、本気で走れば車より速く走る事が出来る。


「エルバサ、コイツ凍傷らしいけど・・・・。」


「なんじゃと凍傷じゃと?此奴を凍傷にさせるのは・・・・アイツぐらいかの?いや、アイツは雪山にいた筈じゃ。わざわざこんな所に来るのか?」


なんかエルバサが不吉なこと言っているんだけど・・・・


「ええい!考えても仕方あるまいし先に此奴を倒してから考えることにしようかの。」


そう言って爪撃を放ったがタイラントスネークは軽く避けそのまま当たらずそのまま空を切った。


「ぬぅ・・・・やはりこのランクになってくると魔法を使わなければならないのか。仕方あるまい。特別に見せてやろう。儂が聖天龍たる理由の一端を。」


エルバサは金色のオーラを纏い、周りが歪んで見えるほど強大な物だった。タイラントスネークは余りの出来事に後退りも出来ていないようだった。


「すげぇ・・・・最初あった時は残念龍だと思ってたのにちゃんと聖天龍らしい所もあるんだな。」


「見よ。これが儂の力の一端じゃ・・・!」


エルバサはタイラントスネークを地震で地中にめり込ませ、そこに光の束がタイラントスネークを包み込み、辺りには雷が落ちたような音が響き渡った。


音が収まってタイラントスネークがいた場所を見ると黒焦げになったタイラントスネークがいた。


「やり過ぎじゃないか?」


「む?やり過ぎではないぞ。此奴はとてもしぶといのでな、最初に放った爪撃程度では精々傷をつけるぐらいになるだろうの。」


「流石Aランク。凄いな。」


Aランクを褒めると目の前のエルバサが少し不機嫌になってしまった。


「なんじゃ、儂の事は褒めてくれんのか?」


「いつも褒めてるだろうに・・・・はいはい、エルバサも凄いぞ。」


「それで宜しい!では、褒美の焼きおにぎりをくれ!」


「・・・・まあ、頑張ってくれたのは事実だし、それくらいだったら良いんじゃないかな?」


そう言うとエルバサはさっきの不機嫌が嘘のように翼をパタパタさせ、喜びを表していた。


俺はアイテムボックスから焼きおにぎりを2つ取り出しエルバサに食べさせようとした瞬間、上空を物凄いスピードで飛んでく生物が通って行った。


「・・・・やはりアイツじゃったか。」


「アイツって?」


そう聞くとエルバサは直ぐに分かるとだけ言いしばらく空を眺めていた。


「そろそろか。」


「何が?え?本当に何が?」


「お主がAランク程度を殺し損ねるとは・・・・弱くなったんじゃないのか?」


その瞬間真上から巨大な何かが降りてくるのが見えた。


それは幻想的な水色の美しさを放っており、見た者を魅入らせる魅力があった。


「のう・・・・氷天龍よ・・・・。」


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