第16話
エルバサに乗って西の山脈を目指す事数分。少し遠く離れた場所に山が連なっているのが見えた。
「あそこが西の山脈じゃ。そうじゃのう・・・・とりあえず手前の山の麓に降りてみるとするかの。」
そう言ってエルバサはさらに急加速して、山の麓を目指した。
無事山の麓に降られたが、最後の急加速のせいでグロッキーになってしまった。・・・・マジで許さんエルバサ・・・・!
「困ったのう・・・・そこまで速度は出してなかった筈だが・・・・。」
ジェットコースターよりも早かったんだが?それが遅いだと?
「エルバサ、俺はな、あんな速度経験した事ないから、吐きそうになってるんだよ!」
「ぬぅ・・・・それはすまなかったな。今度からもっと遅くするかの。」
「そうしてくれるとありがたい。」
なんとか立ち上がるとだいぶ酔いも治ってきた。
「それじゃ、行こうとするかの。」
そう言うとエルバサの体が光始め、最初に小さくなった時と同じくらいの大きさまで縮んだ。そして、また肩にエルバサが乗り込んだ。
「早く行こうぞ!主人よ!」
「お前浮けるだろ・・・・わざわざ肩に乗る必要あるか?」
「浮くのも疲れるんじゃよ。それにさっきの飛行で体力を使ってしまったからの。」
「・・・・本音を言えば?」
「浮くのめんどいのじゃ!」
はっ倒すぞ!
「はぁー、全く、ちゃんと戦闘はするんだろうな?」
「勿論じゃ!じゃなきゃ、こんな所来んわい。」
ちゃんと戦ってくれるなら良しとしよう。
ちゃんと酔いが治ったのを確認して、目の前の山を歩いて登って行った。
現在、山に入って20分が経過した辺りの所。特に接敵する事もなく、順調に山道を登って行っき、そこから少し昇ると開けて場所に出た。
「ふむ、敵の気配がするの・・・・。」
え?まじ?
「何処らへんに居るとかって分かるのか?」
「ふむ・・・・上空じゃな。」
「へ?」
上?上を見ても・・・・暗くて見えないけど確かになんか居る気がする・・・。
「あれは・・・・キラーイーグルか!」
「キラーイーグル?それって強いの「構えろ!来るぞ!」か・・・・って・・・・え?」
咄嗟には反応出来なかったが、エルバサが服の襟を掴んで投げ飛ばしたお陰でナニカからの攻撃から身を守る事が出来た。
「こんな所にいるのは珍しいが・・・・。まぁ、儂の敵ではない。」
なんかめっちゃ好戦的な事言ってるな。とりあえず、今は鑑定して何かしら情報を得なきゃな。
『キラーイーグル』B
別名、空の守護者とも言われる程の強者。翼は鋼鉄の如く、嘴はダイヤモンドの如くとも言われるほど硬い。
「成程。」
うん、絶望的だな。弱点何処?目?
「なぁエルバサ。アイツの弱点って分かるか?」
「彼奴の弱点か?そんなものないぞ。」
「え?じゃあどうすんの?」
「決まっておろう。彼奴が耐えられないほどの威力の攻撃を放てばいいだけの事よ。」
そんな攻撃なんて・・・・可能なのか?
そんなことを考えていると、眼前にキラーイーグルが迫っているのが見えた。
咄嗟に目を覆って衝撃に備えたが、いつまで経っても自分への攻撃は来なかった。目を開けて見ると、デザートイーグルの攻撃が何かに阻まれているのが見えた。
「ふん。お主如きが儂の結界を壊す事が出来ると思うてか。最低でも、もう2回りほど強くならなければお主にはこの結界は破れぬ。」
そう言うとエルバサは爪を光らせ、眼前にいるキラーイーグルに向けると、高速でナニカが飛んでった音がしたのも束の間、雷が落ちたように錯覚させる程の轟音が響いた。
キラーイーグルに視線を向けると、鋼鉄の如く硬いと言われていた翼を貫通する程のナニカが通って行ったのが分かった。そして、キラーイーグルは倒れていった。
「爪撃・・・・お主程度の奴にはこれで十分じゃ。しかし、本当に妙じゃな。」
「ん?なんでだ?」
あまりの衝撃に少し気をやられ、その場に座り込み、エルバサの言葉に思わず聞き返してしまった。
「彼奴は普段もっと高い所・・・・つまりはここからお主がこの山を登って3時間程度の高さにいる奴じゃ。彼奴がここにいると言うことはこの山を登った所にキラーイーグルにすら恐れられる・・・・儂と同程度の奴がいるかもしれんの。」
「それって安全なのか?」
「ふむ・・・・お主達人間が定義するSランクの魔物はすこぶる知能が高い。縄張りにさえ入らなければ襲われることはまずないだろう。」
この山にSランク・・・・どれ程の奴か分からないが・・・・会いたくないなぁ。絶対厄介な事が起こるだろうし。
「ほれ早く行こうぞ。」
「ちょっと待ってくれよ。疲れたんだよ。」
「一回の戦闘で根をあげてはこの先不安じゃな。」
「仕方ないだろ・・・・Bランクの魔物なんて初めて見たんだからよ。」
「全く・・・・早く行かないと朝日が昇ってくるだろうが。早く行くのじゃ。」
「あ、ちょ!その持ち方怖いんだけど!」
「この方が速いのじゃから仕方ないじゃろ!」
エルバサに襟を掴まれそのまま山の上に運ばれて行った・・・・。
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