動かなくなった左手を治して欲しいと、千手観音像に祈る刀鍛冶、堀部虎徹。
観音像は自分の腕の一本を貸す代わりに、必ず返しに来るという条件を付け、その願いをかなえる。だが、約束は守られることはなかった。そして、堀部に連なる者たちには、末代まで続く呪いがふりかかる。
昔話の教訓めいた色合いもある和風ホラー。
千手観音の手は、あまねく世界の衆生を救うためにあるはずだから、こんな形で人に貸し付けたりするコイツは、仏になりすました何かだな……。
親の罪を子に着せたりしないのは現代法の常識だが、そんなの関係ねえ! とばかりに子々孫々に至るまで呪い続け、現代まで至る執念深さには戦慄する。500年間どれだけの人間が苦しめられてきたのだろうか。
そして、突然に登場する設定の作りこまれた現代の退魔師の人々。彼らの扱いはまるで白石晃士監督の映画みたいだと思いました。
和風ホラーが好きな方、因果応報という言葉に昏い悦びを覚える方にはぜひ。