第17話 屈しない心




次の日、僕は、学校に行くと、何故か周囲の人達が気まずそうにコソコソと、こちらをチラチラ見ては小声で話していた。


気にせず、自分の席行くと、僕の机にはたくさんの落書きや花瓶に一本の花が添えられていた。


僕の反応を楽しむように周囲はニヤニヤしている。


呆れて言葉も出ない。


今時、こんな事する奴がいるのかと思いながら、花瓶の花を後ろの黒板前の棚に置き、雑巾を水で濡らしてから、無言で落書きを消していく。


それが、つまらなかったのか、数人の男子と女子が僕を取り囲んだ。


「お前さ。東堂さんの邪魔してるんだろ。いい加減に諦めて、この町から出ていけよ。」


その中の体格のいい男子が僕を見下ろすように言った。


他の男女も同じ意見だというように頷いた。


「君には関係ないだろ。それに迷惑だからこういう事は辞めてくれない?」


男の眉毛がピクリと動く。


「東堂の取り巻きの君達に何を言われても、何をされても屈したりはしない。もちろん東堂にも。」


それが、男子生徒の感に触ったのか?

勢いよく、僕の胸ぐらを掴んできた。


「お前、キモいんだよ。陰キャオタクで根暗の癖に東堂さんの周りをうろついてんじゃねぇよ。」


すると、それを見かけた蒼太が慌てて止めに入り集団はぶつぶつ言いながら去って行った。


「誠一。大丈夫か?」


「うん、大丈夫。平気さ。」


僕がそう言うと、蒼太は安堵したようだ。


「何かあれば、何でも俺に頼れよ。」


蒼太が僕の肩をポンっと叩く。

それに、僕は、分かったと無言で頷いた。


落書きを消した後、昼休みに僕と蒼太は町おこしについて話し合った。


東堂家の圧力で、誰に相談しても町おこしに協力して貰えないかもしれない。


ちなみにネットショップは、両親から了解済み。


蒼太は、徹夜で作り上げたホームページをスマホで見せてきた。


かごいっぱいに野菜を乗せて、それを両手で抱えた満面の笑みのこはるの写真もあった。


あとは、ネットショップ立ち上げに必要な届出、販売許可などなど、意外に細かい事があるらしく、それは、僕の両親と要相談らしい。


まだ、ホームページも手入れが必要らしく、時間がかかるそうだ。


一晩でここまで仕上げるなんて、蒼太は凄いなぁ。


どうやら、ホームページ作成は蒼太に任せた方が良さそうだ。


それじゃあ、僕が出来る事は何だろう?と、考えた。


東堂家に忍び込んで、あかねを救出する?


待て待て、今は、町おこしをする為の仲間を集める時であって、そんな事したら、状況はより悪くなってしまう。


あかねを奪えるものなら奪いたいが、相手が悪過ぎる。


ふと、地域ふれあい掲示板のことを思い出して、スマホを取り出し、掲示板を開いてみた。


そこには、僕が書き込んだスレに書き込みが一件あった。


開いてみると、あの都会からこの町に引っ越して来て、カフェを営んでいる夫婦からだった。


書き込み内容は、私達でよければ、お話し致しませんか?お待ちしております。と、だけだった。


すぐ、蒼太にそれを話すと、蒼太は学校帰りに行こう!と、言った。


僕も同意見だった。


僅かな希望が見えて来た気がした。



































































































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