私は世界に染まらない
@kuromaru9696
子どもたちの国
とある農村では子供たちが集められていた。
家が貧しく、育てきれない子供。愛人との間に作った子供。存在を公にはできない子供……。
その数はゆうに百を超え、様々な年代の子供たちが暮らすようになっていった。
そして数年後、この農村は国として名乗りを上げた。国色は白、『白の巣』を自称する小さな国である。
周辺諸国は当たり前だが本気にせず、相手にすらしなかった。それ故にまだ知らない、中心となったのは子供たちだったということを……。
【白の巣 王の部屋】
「………以上が本日の報告になります」
「なあ、やっぱり王やめちゃダメ?」
「ダメです。……今の私の話はちゃんと聞いてましたか?」
私が昨日までに各部署からあげられてきた報告と、今日の日程を簡潔に伝えた。なのにこの王様ときたら、私が毎度毎度分かりやすく伝えているのに、その返答がいつもこれなのだ。
「早く慣れなよ……。もう近隣の国には周知しちゃったんだからさ」
「そうなんだけどさ……。でもさぁ……」
「はぁ……。こんな感じで大丈夫なのかね、うちの王様は」
私が王様相手にこんなにも砕けた話し方をしているのは、同い年だからだ。さらに、同じ施設で過ごした仲である。だから私が側近としての今の役目を引き受けた訳だが……。
「だって俺まだ15だよ?」
「……私もですよ?」
「ぐぬぬ……」
「はぁ……。では、まもなく時間なので最初の予定に取り掛かりましょう」
「………最初の予定ってなんだっけ?」
王様じゃなかったら蹴飛ばしているところだ。込み上げてくる黒い感情を抑えながら、最初の予定を再度伝えた。
「最初に
「あぁ!そうだった!どこか準備が出来たところはあるの?」
「はい、まずはこちらをご覧ください……」
私たち、子供が中心となって出来た白の巣には目的がある。その目的を達成するためには他国と戦うことになる。
「うん、良いと思う。いよいよ始まるね」
「はい。ですが、もう覚悟は決まっているのでしょう?」
「この国の王だからね。王になると決めたときから、覚悟は決めてあるよ」
そう話す顔は15歳の子供ではなく、一国の王の表情だった。
「最後まで付き合いますよ」
この先、幾度無く辛い思いをするだろう。その度、私たちがやろうとすることを迷うかもしれない。心が折れるかもしれない。
そんなとき、私が支えるしかない。側近として、そして友として……。
私は世界に染まらない @kuromaru9696
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