172日目 異世界-1

ガタッガタッ!!

目覚めると暗闇の中地面が激しく揺れている。


そうだ。

あの異常な装飾の棺の中だった。


ガコッ……


僕は棺の蓋を開ける。


ガキンッ!!

ガキンッ!!

バシュッ!!

ドゴンッ!!


戦闘中だ。


うぉ……

魔石だ。

補充が必要な魔石が大量にある。

夜のうちに使用したのだろう。


とりあえず【ストレージ】と【魔力庫】に片っ端から魔石を入れる。


「おはようございます!!

 【エリアハイヒール】補充したものです!!」

「ありがとうございます!!」

僕は【聖騎士】の一人に日本で補充した【エリアハイヒール】の魔石を渡す。


そして、僕自身も魔法を使う。

【エリアハイヒール】!!

【エリアハイヒール】!!

【エリアハイヒール】!!


あ、クールタイムだ。

【エリアハイヒール】は3回使うとしばらく使えなくなる。

一回ごとではなく、複数回でクールタイムが必要な魔法もいくつかある。

もちろん、一回ごとに時間をおけばまた使えるわけだが。


「これ!!少ないですが、【転移】の魔石です!!」

「おぉ!! ありがとうございます!!」


【回復魔法】を使ったので、再び魔石を渡す。

戦闘中の音が大きいので、こちらも大声で話す。


あ、やばい……


おしっこ行きたい……


戦闘中の騎士団の方々はトイレどうしているのだろうか。

後列の【聖騎士】の方も、トイレに行っている様子はないな。

よく考えたら、勇者が数日にわたって魔王と戦い続ける物語……あれって勇者はトイレどうしているんだろう?


「おはようございます、狭間様!!」

「おはようございますトロゲンさん!! 朝から戦闘が激しいですね!!」


「狭間様のおかげで、疲労はそれなりにありますが、補給は問題ないようです!!」

「あの!! トイレに行きたいのですが!!」


「この棺ですが、【聖騎士】の鎧と同じで【浄化魔法】が使ってあります!!」

え……?

もしかして、【浄化魔法】が使ってあるからこの中でしろってこと?


いや……それは厳しい……

ゲロ風呂で修行した僕が言うのもなんだが厳しいな……

日本で育ってしまった僕には非常に厳しい……


そして【聖騎士】の鎧か……

ということは、彼らはそのまま垂れ流しているわけだな……

たしかに【浄化魔法】があれば、おしっこも蒸留水のようになるだろう。

そして、大きいやつも乾いた土のようになる。

だから衛生的には問題ないのだが……



いや、僕には【ストレージ】がある!!

そして、【ストレージ】から外に捨てればいいわけだ!!










まぁ……これでなんとかなるが……

クラールはどうしているのだろうか。

彼ならば、必ず対策をしているはずだ。

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