171日目 異世界-2

ガギンッ!!

ドドド……


前線から激しい金属音と打撃音が聞こえてくる。


【エリアハイヒール】!!


僕は回復が必要なタイミングを見計らって【エリアハイヒール】を使用する。


しかし、魔物の数が多すぎるだろ。

さすがは外界だ。

ものすごい勢いでジョブ経験値が入る。


しかし、現在のジョブが【大司祭】であるため、爆発的なレベルアップはしていない。

僕が習得しているジョブの中で一番レベルが上がりにくいのが【大司祭】だ。

この騎士団の中で、僕が役に立つとしたら完全に【回復魔法】なので、このまま【大司祭】のレベルを上げておくべきだろう。


「狭間様ぁ!!」

「了解です!!」


ビュンッ!!


たまに魔法やら石やら、敵のツノが飛んでくる。


【ガード】!!


バキンッ!!


僕はそれを棺桶の蓋で防御する。

前回と一緒だ。


しかし、前回と異なるのは、【大盾】のスキルを習得していることだ。

こいつをうまく使っていけば、新しいジョブやスキルを習得できるかもしれない。


【エリアハイヒール】!!


うーん……

どうやら今のは微妙だったみたいだ。


ステータスの神聖か魔力操作の影響だと思うのだが、【回復魔法】を使ったときにどれくらい回復したかがなんとなくわかるようになってきた。


今のはちょっともったいない。

それほどHPが減っていなかったのだ。


今この騎士団は100人程度の【聖騎士】がいて、動きは完全に統率されている。

しかし、個人の耐久やHP、それからカウンタースキルの成功率には差がある。

理想を言うなら、彼らの大まかなステータスを把握し、それから【エリアハイヒール】を使った方が無駄がないだろうな。


ゴトッ!!


棺桶の中に使用済みの魔石が置かれる。

僕も回復はしているが、何しろ規模がでかい。

魔石も少しずつ消費しているのだ。


僕は使用済みの魔石を【魔力庫】に収納する。

補充が必要な魔石は全て日本へ持ち帰るためだ。










「はぁ……はぁ……」

前線の【聖騎士】たちが呼吸を整えている。

しばらくすると、魔物の波が落ち着いたため、休憩を入れることができた。

とはいえ、数名は周囲の警戒にあたっている。


「狭間様のおかげで非常に順調ですぞ」

トロゲンさんが言う。

「ありがとうございます」


「団長!! 【解体】が完了したものからここに置いていきます!!」

「ご苦労!!」

「すごい手際が良いですね」

「この騎士団の中にも役割がありますからな。

 【解体】スキル持ちのものも複数名所属しております」


【解体】が終わった魔物の肉を串に刺し、手早く焼いている人もいる。

食事の時間だ。


「食料もある程度持ってきていますが、各自の【ストレージ】には限りがありますからな。

 現地調達できるものは、最大限利用するのです」

「なるほど。無駄がありませんね」


「遠征では補給が命に関わりますからな」

「あの、【解体】後の魔物の骨など需要がない部分はもらってもいいですか?」


「ほ、骨ですか?」

トロゲンさんがぎょっとして確認をする。

「はい。【魔石生成】という錬金術師のスキルで魔石を作ることができるんです。

 それでもったいないなと思いまして」


「それは構いませんが……錬金術師のスキルはMP消費ですよね?」

「はい。ですから、睡眠中(日本)にいる間におこなうんです」


「それは素晴らしい!!

 なるほど、だからシトン様が魔石を狭間様に全て渡しておくように言っていたのですね」

「え? そうなんですか?」


「はい。遠征中に魔物から入手できる魔石は全て狭間様に渡すように言われています」

「おぉ!! ありがとうござます!!」

シトン様ありがとう。

聞いてなかったけど……


「えっと、さらに【エリアハイヒール】の魔石を作成しておけばいいですかね?」

「それは非常にありがたいですな。

 あとは可能でしたら【転移】など非常時に役に立ちそうなものをお願いします」


「了解です。

 【転移】はクールタイムが長いので大量に作ることはできませんが、他にもいろいろと作っておきますね」

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