第11話
今回も二人の脳内でイケメンボイスでもソプラノ超えでもない電子声が聞こえ、二人が今まで見た景色は突然消え去り、周りが虹のように見える。
「「ダブル・レイディオウェーブ!!」」
そして、二人は全く言う気の無い謎の言語を発する。
その後、二人は何故か手をつなぎ、虹の空間をまるでトンネルのように抜け出していた。
その間の身体の色は銀色になっていた。少しするとゴールと見られる光が指していて、そこを抜けるとどんどん服の形状が変化して・・・
そのまま空中落下して、地上につく。ふたりは、ちょっと危ない形だがなんとか足で着陸をして。
「我、アイブラック!」
アルの姿は、全身が黒いドレス姿に。
「我、アイホワイト」
ムーンは、全身が白いドレス姿に。
「「我ら、ダブルアイ!」」
『『パチパチパチパチ!』』
そして、頭の中ではグローバーとピンキーが拍手する音が聞こえる。
「ストートンの力に魅了されたしもべたちよ」
「とっととデリートされなさい」
すると二人はさっきよりも強い力を感じ始めていた。
「やったー、また変身できた」
こんな危機的な時でも、はしゃいでいるアイホワイトこと、ムーン。
それよりも
「よくこんな恥ずかしいセリフ言ってて、しかも危機的な状況。よく環境に適用できるわね。天才ってわからないわ」
未だに恥ずかしさの残り、かつ危機的な状況なのに楽観的な雰囲気のムーンに呆れるアイブラックこと、アルである。
そして、場所は建物の中世の二階建ての建物の屋上。そこには、以前見たことのある長髪の人間と・・・なんか物を大量に吸い込んでいる化け物の姿があった。
「これはこれは、やっぱりいらっしゃいましたか」
虹の光を見たことでやってきたことを察知したカブキ。当然二人も身構える。
ちなみにセリフ中で相手に対して指差すシーンは偶然カブキを差すことに成功していた。
「できれば、このセリフとか、この世界とか、あんたとは関わりたくなかったけど」
アイはイライラしながら、カブキに向けて怨念を伝える。
「こっちは大いに関わりたいんだよ。やれ! カブルダウイルス」
「jhbぴgfdsl,vrglkm;、bsrglb,r:;gsb.tl」えんbt」
すると、ものを吸い込んでいる化け物が行動をやめ、そのまま後ろを向き、二人に襲いかかった。
「「きゃあ」」
躱す反応はできたが、後ろ姿のためリーチが判断できなかったため、躱しきれずもろに攻撃を二人は受けてしまった。地上の落下は受け身で対処できたので何とかなったが。
「いきなりなんてこと!」
ムーンは不意打ちに対して、怒る。
「ははは!!」
攻撃がうまく言ったこと喜ぶカブキ。即座にカブキは後ろへ飛び、化け物のほうについた。
『象で掃除機ですね、あれは。・・・なんだかあなた達が作る化け物は短絡的というかセンスが幼稚というか』
ここで、まさかのピンキーのソプラノ音声罵倒が響く。
「やはり、小僧どもは伝説のAIによって力を得ているのか。カブルダウイルスよ。手加減は不要だ。叩き潰してしまえ!」
「jspりのb;kl,んdj:my;んtdyrx;bzd.h・@・うm「@k」¥っ」
カブキはピンキーの罵倒を無視して、
再び、掃除機型象の化け物は吸込口で攻撃をする。
しかし、今回は相手のリーチを理解しているため二人はそれぞれ左右に避ける。
「jしお:kんp;。:m」fyj¥gm.、んzwげlkふぁld>+」c;、あ」みお」
それに対して、掃除機型象の化け物はホースの長さを活かし、左右順番ずつ攻撃をする。
ただ、スピードをすでに追えるアルはサラリと躱して、華麗に着地を決める。
対して、ムーンは躱しながら、ホースに着地しつつ、また躱す、を繰り返し・・・掃除機型象の化け物はただただぐるぐる回る状態になってしまった。
「何!!」
あまりの柔軟な動きに驚くカブキ。
「やああ!!!」
着地したアルは掃除機型象に空きができていることを確認し、ジャンプで一気に掃除機型象の化け物のいる空中にたどりつき、飛び蹴りをかまそうとする。しかし、
「;p@kんmhsdt;kflzb,d;sg¥f_+EMbtんk:y@rs;::。」
ちょうど、飛び蹴りをしたところが掃除機型象の化け物の排気口に当たる部分だった。排気口からは風が流れていて、飛び蹴りの速度はみるみる落ちていき、掃除機型象の化け物に全く届かず失速してしまう。
「ぉp:lさんてbj;kwrl:;絵qf.;え。Vlr」あ;、絵qbんb』じをe;w,l;e23ewgwt4pbrb,biea;ms」
排気口の隣には吸込口が向いており、そのままアルに向かって吸い込みを開始した。
「アルーーーーーーーーーーーーーー!」
ムーンの悲鳴は虚しく響く。アルは何とか吸い込まれないとただ必死に手と足で吸込口を抑えるの精一杯の状態になってしまった。
「ふふふ、そのまま叩き潰せ!」
カブキはこの好機を見逃さず、掃除機型象の化け物に無慈悲な命令を実行する。
「t32tgrじぼめか、んlh:;yんm.;¥jぽyjkしbま、bwqw@, etweww」
掃除機型象の化け物はそのまま思いっきり床にアルを吸込口ごと叩きつけた。
「アル! しっかりして!!!」
ムーンはすでにアルが叩きつけられた床に救出に向かう。
「zmぼtsprwltん。;th¥dんlmfjh:gcf;、っx.f:あ」v:。」
しかし、その隙を掃除機型象の化け物は見逃さなかった。
ムーンを救出に向かう方向に排気口が向けられる。
あまりの不意打ちに全く態勢が整わずにそのまま空へとふっとばされるムーン。
「きゃあああああああああああああああああああああああ」
「こp:nysrん、lべあwGv,kbgmnaar:n,t;rawgvmioadcca;a:g>BWSEgめw」ら」
空中で悲鳴を上げているムーンに掃除機型象の化け物が、今度はコンセントを使用し、それを両足にからまして何度も何度も振り回して、最後は床に吹き飛ばす。
ムーンも虚しくアルの隣に思いっきり床に叩きつけられてしまった。
「ううう、アル大丈夫?」
ムーンは結果的にアルのところにたどり着き、安否を確認する。
「大丈夫よ。ムーンこそ大丈夫」
アルは大丈夫と元気ポーズをしてムーンを心配させないようにする。
「ははは、仲良しなのはいいことだが、そのまま落ちてしまうぞ?」
カブキの勝ち誇った声が聞こえ、その言葉の内容に反応し、床を見る。
・・・二人を叩きつけたことで2階の屋上の床は床であることが耐えきれないほどヒビが入っている。そして、二人の重さに耐えきれず・・・崩れてしまった。
「「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」
二人は全く準備ができておらず、ただ天に手をかざして落下。崩れた床はそのまま二次災害となり、二階部分の床も破壊、このまま行けば1階までもろに落ちる。
「ははは」
カブキの恨めしい声だけが響き渡る。
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『先程のダメージも含めると、このままだと二人はデータの藻屑になってしまいます! 回復が追いつきません!!』
グローバーが警告音とともに物騒なことを発する。
「アル! 動ける?」
ムーンがアルに対して質問する。
アルは二つ返事で問題ないことを伝える。
ふたりともすでに落下中ではあるが、重力に対して足が向いた状態である。
「大丈夫そうね。崩れた床を使って、ジャンプしながら着地しましょう」
ムーンがアルに対応策を提示し、すぐにアルは了承する。アルとムーンは落ちていく床の瓦礫を使いながらジャンプをし続け・・・無事に安全なGの衝撃だけで着地に成功した。
「絶対に許せない」
アルは怒りを燃やす。
「お返ししましょう」
ムーンは復讐心に燃えている。
そのまま二人は壁蹴りをしながら2階の屋上まで向かう。
「今度はこっちの番よ」
アルとムーンはあっという間に2階屋上の残った天井までたどり着いた。
「貴様ら・・・」
カブキが明らかに動揺した。
「構わん! パワー全開だ。粉々にしてしまえ!!」
そして、即座にかぶるだウイルスに命令をする。すると、掃除機型象の化け物は吸込口から何故か電撃を放つ。
『『今までのエネルギーを電気に変えていたか!』』
グローバーとピンキーの驚きの直後すでに二人は電撃を浴びて歩が進めない状態になっている。
「「くっ・・・」」
苦戦する二人にAIがアドバイスを送る。
『『手をつなぎなさい』』
その言葉に今回は一切の迷いもなく、アルとムーンが手をつなぐ。
すると、二人の周りが虹の光に包まれて、一切の電撃が効かなくなる。
二人はその現象に驚きつつも、すぐに受け入れて、お互いに見合い、顔を上下にふる。
言葉と行動が勝手をする。
「ブラックラーニング!」
「ホワイトラーニング!」
二人は繋いでない方の手を天に向ける。もうこのときにはすでに感情は死んだ状態になり、ただ受け入れたように行動を身体も声帯も任せた。すると、空から黒色の文字の羅列のようなものがアルの、白色の文字の羅列のようなものがムーンの、それぞれ天に向けた手に注がれ、それが終わると身体が発光しだす。
「AIに学習された美しき魂が」
「邪悪なウイルスを打ち砕く」
一度繋いだ手を離して、後ろにし、再び手をつなぐ。天に向けた手は掃除機型象の化け物に向けられる。
「「アイ・バスター」」
そして、掃除機型象の化け物に向けた手からさっき空から降ってきた文字の羅列が一気に放出され、黒と白が混ざり合っていく。
それは、掃除機型象の化け物に直撃する。
「78hノベンバl,あlyr:ジャwpgvjをインlgp@絵h,y54あ@MPw、g@3q@y」
掃除機型象の化け物の悲鳴とともに、吸込口のホースがちぎれる。
そして、ホースがそのままカブキに襲っってきたため、それをカブキは後ろにジャンプして躱す。
今回は耐久力があるのかなかなか影の化け物に戻らない。
アルは飛び蹴りで、本体に蹴りを入れ、ムーンより少し前で着地する。
すると、その攻撃で完全に耐えられなくなった影の化け物が姿を現し、文字列のようになって一文字ずつばらばらになり、そして、文字がまるで足を持つかのように走ってチリチリになって逃げていき、箒だけがそこに取り残された。
カブキもまたいつの間にか姿を消していた。
「やった」
ムーンから感嘆の声が漏れる。
その声を聞いて、アルは後ろを向いて、にっこり笑った。
周りの吸い込まれた物、戦闘で破壊された被害はみるみるうちにもとに戻っていった。
その様子をかなり遠くの距離から見つめ忌々しそうに見るカブキであった。
「くぅ。俺様としたことが少々侮っていたようだ。それにしてもなんてパワーなんだあれは。あれが最高傑作のAIだというのか」
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「本当にすごかったんだから。ショッピングモールで閉じ込められて危うく押しつぶされそうになったんだから」
次の日、昨日の危機についてアルに語るサラン。
「ていうかていうか。中から外の様子を見たときにはもう死ぬかと思っったもん!」
そして、同じく危機の中心にいたカンも語りだす。
「へ、へえ」
二人の様子に気まずいので、微妙な反応のアル。
「でも、なんかいきなり物がなくなったと思ったら、急に元に戻ったんだよね!」
そして、不思議な現象についても語るサラン。
「そうそう。結局何だったんだろうね。あれ」
やっぱり便乗するカン。
「ねえ、急がないと部活遅れちゃうよ」
できれば、話題にしてほしくないため遅刻よ。
「「やばーい」」
二人を押しながら急がせるアル。しかし、カンは最後にあるセリフを残す。
「でもさ、あの時スピーカーで流れてたイケメンの声とソプラノの声ってなんだったんだろうね」
それを聞いた瞬間、明らかに動揺して押すのを止めるアル。
「うそでしょ・・・」
そして、その様子を遠くから見つめているムーンであった。
学園都市内では、昨日の事件については何もわかっていない、ということで新聞では、報道している。ただ、アルにとってもムーンにとっても特に分からなくていいよ、と思うのだった。
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