第4話 海の女の子SIDE
そぉっと浜辺に登った。私の胸が少しずつ高鳴りを早める。
綺麗な光が私を包み込み、私が亀から人間の女の子の姿へと変わっていく。
あれ?今日はなんかウェットスーツになってる。でも、おしゃれだし、なんか安全そう。
「わぁっ!」
綺麗な便箋に入った手紙。間違いなく、カイくんからの手紙。
だって、海の女の子へ カイより ってちゃんと書いてあるんだもん!
嬉しくてたまらなくてふわふわしていたら手から水が吹き出た。
「!?」
何これ?海から出たから海水?でも、私は人間の姿になる時、完璧に乾いてるけど…。気のせい?
それより、カイくんの手紙を読みたい!
待ちきれない気持ちを抑えながら、そぉっとカイくんの手紙を開けた。
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海の女の子へ
助けてくれてありがとう。僕が溺れてしまうかもしれなかった時に僕を助けてくれたのは君だったんだね。どうして君は僕を助けてくれたの?君についてもっと知りたいのはダメかな?
カイ
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カイくんが私のことを知りたい?
その一つの質問が私を少し複雑な気持ちにした。
私はどうしたらカイくんに説明できるだろう。変身ができることは言ってもいいの?実は亀ということは?私が全然人間について知らないことは?私が海の王女ということは?
色々モヤモヤしていると、誰かが近づいてきた。
「あ、こんにちは。」
なんとサーフィンボードをカイくんが私に話しかけてくれた。
「こ、こんにちは。」
なんとか笑顔で挨拶できたみたい。
「サーフィンかぁ。楽しそう。」
実は私、いつもカイくんがやるサーフィンに憧れてたんだよね。
なぁんて思っていたらカイくんが思いがけないことを言った。
「教えてあげようか?」
「え!?そんな、悪いよ。」
あたふたしていると急にカイくんが手を引っ張ってきた。
「いいから。僕が教えたいだけだし。」
なんかぶっきらぼうな話し方。
「ほら、こうやって砂の上に立って。」
優しく手を取って支えてくれた。人間の歩き方とかも私下手なんだよね…。
心臓の音も聞こえるぐらい近い。
どくどくと鳴っているのは私のもの?それともカイくんの?
「ご、ごめんなさい。その、こんなことやっぱり悪いから。」
チャンスとして受け止めちゃダメだ。やっぱり断らなくちゃ。
「別に僕はいいけど。まぁ、いいか。そういえば、君、あんまここでは見かけないけど、別の街の子?」
どうしよう。なんて答えれば…。
「あぁ、うちのカイがごめんなさい。ほら、早くいくわよ、カイ。」
お姉さんかな?カイくんを無理やり引っ張っていった。
私もとりあえず人の見えないところで亀にならなくっちゃ。
人がいない浜辺の端に言って亀になって帰ろうとしたら。
「なにこれ?」
綺麗な貝殻をポケットの中から見つけた。
開けてみると私が変身をするときのような光が輝き出した。
中に入っていたのは蝶々のような形の真珠。
「綺麗…。これ、私のポケットに入っていたから私のものなのかな?それとも、誰かが間違えて入れたの?」
蝶々を指で描いてみると小さく光って本物の蝶々が現れた!
「ふふ、私は一応海の王女なのだから蝶々は描くことはできるのよね。」
綺麗な海みたいな色。
「あなたの名前は蝶水はどう?綺麗なあなたにぴったり。」
『ご主人様、ありがとう!』
「え?蝶々が喋った?でも、心の中でしか聞こえない。」
『ご主人様、使い魔の蝶水でございます!』
「使い魔…。ねぇ、蝶水。私を元の姿である亀にしてくれない?」
『お安いご用!』
綺麗な光に包まれて私は亀になった。
『蝶水はその貝殻の中にいつもいます。』
「そうなのね。使い魔だけじゃなくて、あなたには私の友達になってほしいの。ひみつの友達よ。」
そっとそういうと私は泳いで海の底にいった。
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